神様、決着後のお茶会
天界に戻り中庭のガゼボに向かう。ファントムとテレサは仕事をしに各自持ち場へ戻って行った。中庭のガゼボに差し掛かる所でルシエラとセーレが見えた。
「待たせたな2人共」
「ロキ様お帰りなさい」
ルシエラが抱きついてくる。セーレも、
「ロキ様お疲れ様です」
と挨拶をしてくる。中庭のガゼボにはお茶の準備がされていた。イヴが気合いを入れたのかアフタヌーンティー仕様になっている。イヴは傍らで立って給仕をする様だ。
「イヴ、俺ミルクティーでお願い」
「畏まりましたわ旦那様」
そう言い前もって用意していたのかポットから紅茶を注ぐ。ルシエラは、
「私はアッサリ目のが良いのでセイロンティーのレモンでお願いしまーす」
「畏まりました」
もうひとつのポットから紅茶を注ぐイヴ。セーレも、
「あ、ボクもセイロンティーでお願いします」
「分かりましたわ」
皆お茶が行き渡ったのでセーレには事の経緯を伝えた。セーレは、
「はぁ…何と言うか呆気ない最後だったんですね」
紅茶を口にしながら返答するセーレ。あ!次いでにサタンの贈り物を贈るついでに帰らせる方向なのも伝えた。
「ボクは構いませんがサタン様への贈り物ですか?」
「あぁ、何だかんだで今回ウィル・オ・ウィスプ連れて来てくれたからな…礼も兼ねてだよ」
「それは直ぐに用意出来るモノなんですか?」
ロキはんーっと少し考えて、
「アトリエ内を見て回らないとちょっと分かんねぇ。でも1日あれば用意出来ると思う」
紅茶を口にしながら応える。そう言えば、
「そうそう。ルシエラから聴いたけどブライトが成長したらしいな?」
セーレは少し噎せてから応える。
「そうなんですよ!!今部屋に居ると思うんですが、可愛いから何か綺麗になっててビックリしました」
ロキは懸念していた事を伝える。
「ブライトは式神だけど人型になれるの言っておこうと思ってたんだが知らせない方が良かったか?」
「え?!ブライトって人型になれるんですか?!」
驚くセーレ。
「あぁ、ルシエラの報告だとセーレにベタ惚れしてるみたいだぞ?」
「…え?」
きょとんとするセーレ。
「ブライト渡した後に言うのもなんだけど雌だから。女の子。式神だけど生殖行為も出来るんだよなぁ」
「え?!」
セーレはまた驚いている。多分コレも伝えておくべき情報だから付け足す。
「多分雌だけど俺に変化位は出来る力持ってると思うぞ?サタンに刺されないようにな」
ロキは溜め息混じりに応える。
「いきなり不穏な事言わないで下さいよ?!」
鳥肌でも立ったのか二の腕を擦るセーレ。
「だって俺ソックリに変化出来るブライトがセーレにベタ惚れなんだぞ?サタンが見たら発狂しそうじゃん?」
「有り得そうで怖い…ブライトと2人きりの時だけ変化して貰おうかな」
「対応は任せるよ」
ロキはサンドイッチに手を伸ばす。ルシエラはケーキとマカロンを選んで食べていた。セーレが、
「そうか、もう魔界に戻れるんですね」
と零すとロキが、
「一悶着も二悶着もあったけどな平穏になったと思うぞ」
「それはそうですけど…無事に事が終わって良かったです」
安堵の微笑みを浮かべるセーレ。ルシファーの件で領地を1週間近く離れてるもんな。
「領地に戻ったら仕事溜まってるんじゃねぇのセーレ」
うぐっと言葉に詰まるセーレ。
「確かに仕事は溜まっていると思いますが配下の者も優秀なので纏めていてくれている…ハズ」
それは何処も変わんないんだなと思ったロキだった。お茶もお開きになりイヴに労いの言葉をかけた後、セーレは荷物を纏めに部屋に戻りルシエラは裁断室へ行き俺はアトリエに向かう事にした。