君へ・・・「ありがとう」と「さよなら」
このページは藍那サイドの話です。
私は高校を卒業した。
毎日の様にたっちゃんの所に通った。
「たっちゃん・・・私も卒業したんだよ。たっちゃんが起きたら旅行に行きたいなぁー」とたっちゃんに話しかけた。
「旅行先は私が決めてもいい?」とたっちゃんに笑いかけた。
私は高校を卒業してからは何もせずたっちゃんに付っきりだった。
ママは「好きにやりなさい・・・藍那の人生だもの。答えはあなたが知ってるから・・・」と何も言わなくなった。
藍紅は社会人になって家を出て1人暮らしを始めたらしい。
「私が幸せになんかなったら駄目なんだよ・・・」と私は事故の日から藍紅とは会わなかった。
それからさらに2年が過ぎ私は20歳になった。
「たっちゃん!ちょっと家に荷物取りに行ってくるね。」と私は病室を出て家に向かった。
家の前に着くと藍紅の家の前に車が止まってた。
誰か来たのかな・・・と見ていると。
「久々だね。藍那・・・」と藍紅が車から降りて来た。
久し振りに見た藍紅は大人っぽくなっていた。
私はドキドキする胸を服の上から強く押さえ付け「元気だった?」と無理やり笑った。
「藍那こそ・・・先輩はまだ目が覚めないんだって?」と藍紅は答えた。
私は藍紅との会話が息苦しくて「ごめん。すぐ病院に戻らなきゃいけなくて・・・」と家に入って行った。
「待って・・・」と藍紅は「お邪魔します・・・」と家の中に入って来た。
私は部屋に急いで入った。
藍紅は部屋まで来た。
「藍那・・・少し話そう?」と藍紅は辛そうな顔で私を見た。
「ごめんね・・・あの時、俺が一緒に行かなきゃ良かったんだよ。」と藍紅は私の手を握り「自分勝手な行動に藍那を巻き込んで、先輩も事故に遭わせた。」と言った。
「最低だよね・・・でも嬉しかったんだ、藍那と気持ちが繋がったことが嬉しかった・・・。」と私の手をギュッと強く握った。
「ありがとう・・・でも藍那とサヨナラするね。先輩、早く目が覚めるといいね・・・」と私の手を離してにっこり笑った。
だけど藍紅の、その笑った顔には涙が流れていた・・・。
そして藍紅は自分の家に戻った。
私は心臓が壊れる程高鳴る鼓動と悲しみでギュッと締め付けられる心が痛くて、そのまま座り込んだ。
その時オルゴールが手に当たった・・・
「最後のプレゼントになっちゃったね・・・」とオルゴールを開きメロディーを流した。
「さよなら・・・藍紅。」と私はオルゴールを閉じた。
その日の夜たっちゃんは目が覚めた。
たっちゃんは「藍那・・・」と涙を流した。
私は「おはよう・・・?」とたっちゃんに笑顔を向けた。
たっちゃんは「藍那の独り事聞こえてたよ・・・」と笑った。
私は泣いた。
たっちゃんに抱き付いてそのまま寝てしまった。
次の日、私は焦って起きた。
素早くたっちゃんを見ると「重たい・・・」とたっちゃんは言った。
「夢じゃなかった!!」とたっちゃんに抱き付いた。
たっちゃんは外傷は沢山あったが身体は何ともなかった。
それから3ヶ月ほどしてたっちゃんは退院した。
そして私はたっちゃんと同棲を始めた。
「今日も遅くなるかも!いい子で待っててね・・・」と私は働きに行った。
たっちゃんは「俺も働けるのに・・・」と拗ねていたけど私は、たっちゃんを外に出すのが怖かった。
そして更に年が過ぎて私は25歳になった。
たっちゃんも働きに出ていた。
私はたっちゃんの幸せだけを考える様になっていた。




