《ツインヘリックス改》
イヅナの工房に、金属音が響いていた。
ツインヘリックスが作業台の上に固定されている。
両端の螺旋刃は外され、内部フレームがむき出しになっていた。
ゼノが重力固定ユニットで武器を浮かせながら、端末を操作する。
「構造は素直だ」
「芯が太い」
「拡張スロット、ここに増設できる」
イヅナは溶接トーチを構え、刃の基部に新しい金属リングをはめ込んだ。
青白い火花。
ミーニャは尻尾を揺らしながら、落ち着かない様子で見守っている。
「私の武器、どうなるにゃ?」
「暴れるな」
イヅナが言う。
「今は繊細な工程だ」
レアは横で 《認知加速》を軽く走らせ、構造の変化を追っていた。
出力経路。
カード接続ライン。
魔力循環ループ。
「……なるほど」
「オルタナティブ用の受け口、ちゃんと作ってる」
セレスが感心したように頷く。
「これで、ミーニャの武器にも融合回路が組み込まれますね」
アリエルはそっと杖を抱えた。
「……すごい……」
ゼノが端末を閉じる。
「仮組み完了」
イヅナが最後の固定ピンを打ち込んだ。
カン、と乾いた音。
ツインヘリックスは元の形に戻っている。
だが――
刃の根元には、見慣れない小型スロット。
魔力伝導ラインが内部で新設されていた。
「試作品だ」
イヅナが言う。
「オルタナティブ対応モデル」
ミーニャの目が輝く。
「えっ、えっ!?」
レアが武器を持ち上げて確認する。
重心、問題なし。
回路反応、安定。
「……うん」
「成功だよ」
ミーニャが跳ねた。
「やったにゃ!!」
イヅナは工具を置き、汗を拭う。
「良し」
低く言う。
「武器側は完成だ」
ゼノが続ける。
「あとは――」
レアが笑った。
「カードだけだね」
工房の空気が、少しだけ熱を帯びる。
次はミーニャの番。
クロス零のオルタナティブは、
確実に“全員仕様”へ向かって進み始めていた。




