表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/98

番外編: 盗賊魔王VS勇者一行

会話を皮切りにオニスが斧を振るう。それを未来のシフは短剣で受けきったのだ、しかも片手のみで。


(オニスすら上回るパワーを持っているのか!?)


「いいねぇ……! 力で上をいく奴は久方ぶりだ!」

「……お前は戦いの中で成長する。とっとと死んでもらおう」

「そうかよぉ!」


オニスは斧を手放し殴りかかるも、軽く捌かれてしまう。


ずば抜けた戦闘センスを誇るオニスが、まるで赤子のように扱われていた。


「オニス!!」

「失せていろ」

「ぐっ!?」


すかさず助太刀に向かうが、蹴り飛ばされてしまう。


(ただの蹴りがなんて威力だ……エメルがいなかったらとっくに再起不能だ……!)


防いだ腕は折れていた。たった1度の攻防で実力の差がはっきりする。


『災撃』


微かな隙を狙ったオニス最大の一撃。それでも未来の自分は慌てることなく悠然と構える。


嵐廻脚(らんかいきゃく)


「……ッ!!」

「嘘……でしょ……!?」

羽虫を払うが如く、軽々と相殺したのだ。


(今のは『風薙車』だ……あそこまで至るのか……!)


「八災__」

「遅い」


オニスは続け様に奥義を放とうするが、顎に掌底を貰ってしまう。


「その居合い、『八つ裂きの一振り』か。懐かしい技だが、溜めの長さが欠点だ」


天龍雷轟(てんりゅうらいごう)


蹴り飛ばしては『雷歩』で追い付き、繰り返していく。次第に加速し、音速を超えてソニックブームが出るほどに。


目ですら追えない速さ、周囲に散乱していく血飛沫を怯えて眺めることしかできなかった。


ズドォン!!


地に叩きつけられたオニスはギリギリ原形を留め、徐々に再生していく。


「しぶといはずだ。オニス(これ)に回復能力なんてあれば不死身に等しい。施してる奴に見当がつかんとすれば……」


(まずい!)


標的をエメルへと定めるよう睨まられ、身を挺して盾になる。


『ダイヤモンドプロテクト』


一瞬にして、未来の自分は魔壁に囲まれた。その中には復活したサフィアもいる。そしてこの魔法は……


「イヤド!」

「全く、服が血だらけよ」

「戦ってるうちに蘇らせた」


「よくやったわ。殺された記憶すらないのが怖いけど、後はあのバカ勇者がなんとかするって」

「な、なんとかって……」


オニスが完封された現状、全員で挑んでも勝ち目があるか不明。なのにどうして1人で……?


「ふぅ、大したものだな。1回死んだぞ」

「……閉じ込めたつもりか」


試すように呪いの短剣で斬りつけるも、魔壁は傷つかない。


「無駄さ、私が時を止めた」

「……ならば何故、貴様も入っている?」


「壁越しに話をするのは失礼であろう」

「話だと……?」


サフィアは剣を捨て、続けて話す。


「君を救いに来た」

「……冗談でも笑えんな」


「本気だとも」

「ハッ! 世界はおろか、身近な人間すら救えず……俺にも敗れた名ばかりの勇者がほざくなッ!!」


冷酷であった未来の自分は見相を変え、怒りをぶつける。


「おっと、自己紹介がまだであったな。私達は過去から来たのだ、しかも異なった歴史でな」

「……ならば尚更、何ができる? 口ぶりからするに、随分と腑抜けた世界だったろうな」


「そうでもないさ、特にシフの場合はな。ま、私の不甲斐なさもあって苦労をかけたさ。だったらせめて、世界が異なれどシフの力になりたいのさ」


「……そうか。なら__」


俯き、返答を述べる直前に睨みつける。


「死ね」


残像すら残し、サフィアの首元に短剣を突きさそうとしていた。


「血の気が多いな、戦乱の世を制しただけはある」


(止めた!? 僕やオニスすら捉えきれなかった攻撃を……!)


サフィアは未来シフの手首を掴んでいた。そのまま不自然に地へと倒れ込む。


「合気か……!」

「ご名答」


蛇削拳(じゃさくけん)

『時読み』×『風身一体』


未来シフは残る片手で蛇行する連撃を放つも、サフィアは手首を掴んだまま避けきる。


「ふぅ、危ない危ない」

「チッ」

(振り解けん、力が分散される……それにしても身のこなしが前の勇者とは違う……何か種があるな)


「サフィア……すごい!」

元より柔術に長けていたとはいえ、あの化け物じみた存在と渡り合えていることに驚嘆する。


(これがサフィアの全力……!)


「勇者として相応しくないが……守るべき存在がなく、自身の肉体すら顧みなければ、私は最強だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ