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にくしょく青春!犬と猫編  作者: 赤田 作
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犬と猫編 1st-contact

1st-contact

ここにも恋


高校入学から2年、成績は良好、部活動も充実している。

規則正しく起き、決めた予定の中で過ごす。

毎日の習慣として根付く生活の中に、ひとつ問題点があった。


「よっちゃん!何してるの?」


なぜだか、チャラ男にまとわりつかれるようになったのだ。


「見ればわかるでしょう。勉強です」


いつもうんざりしたように私が答えても、彼は臆することなく接してくる。


「冷たいなぁ。ちょっとは優しくしてよ」


「毎日毎日、懲りもせずによく来れますね」


何を言っても返ってくるのは


「だって好きなんだもん」


これしかないのだ。

図書室へ行こう。

あそこなら静かに過ごせるだろうし、この男も騒ぎはしないだろう。

結果は思った通りだった。

だが、ニコニコこちらを見続けられたせいで、ストレスが溜まるばかりだった。

休み時間ごとに来ては質問をぶつけてくる。

そしてとうとう、私の怒りは頂点に達した。


「……なんなんですか」


「よっちゃん?どうかした?」


「なんなんですか、あなたは!」


私の怒声に、その男は一瞬ひるんだ。


「休み時間ごとに私のあとをつけて回って、迷惑なんですよ……!鬱陶しいんですよ!」


彼は何も言わずに、ただ聞いているだけだった。


「なんですか、こんな時だけ黙り込んで、何か言ったらどうなんです?」


イライラはおさまらず、私はたたみかける。


「そんなに、迷惑だったんだね。ごめん。ただ好きだから、ずっとそばにいたかっただけなんだ」


俯きながら、男は言った。

力の無い笑いは、寂しさに満ちていた。


「あいにく、私はあなたが好きでもないんですよ。それなのに付け回される方の気持ちにもなってください。もう帰りますので」


ピシャリとそう言って、その日は足早に帰った。

次の日起きると、体が重かった。

頭痛もするし、なんだか息苦しい。

母に症状だけ伝えて、学校へ行こうとすると、泣いて止められた。

なので私は今自室のベッドで寝ている。

こんなことはこれまでもあった。

それでも私は、それを我慢してでも学校へ向かった。

母にはいつも怒られた。

それでも、時間を無駄にするのが惜しくて、休むこと無く勉強に打ち込んだ。

だが今日は特に症状が重く、立っているのもやっとだった。

布団をかぶってまもなく、私は眠りについた。

---

何時間ほど寝ていたのだろう。

外は赤く染まっていて、窓から入る光は暖かい。

夕方頃まで眠っていたようだ。

あれほどまでに熱く火照っていた体は、今は汗でひんやりと寒く感じる。

喉が渇いた、水でも飲もう。

そう思い、ベッドから降りるとインターホンが鳴った。

だるさが残る体で玄関へ向かい、ドアを開く。

そこには、昨日私が怒鳴りつけたあの男が立っていた。


「よっちゃん、あの、今日配られたプリントと、授業の範囲を書いておいたから、また見ておいて」


気まずそうにしながら紙の束を渡してくる。


「……何故ここまでしてくれたんですか?昨日はあんなことを言ったのに」


「えっと、今日、よっちゃん休んだでしょ?それで昨日のことがあったから、ちゃんと謝らないとと思って……」


「そうですか……それで?」


「いや、まぁ、はい。反省してます、ごめんなさい」


「そうじゃなくて、本当の気持ちを言ったらどうなんです?責任を感じただけではないんでしょう?」


男はあからさまに狼狽えて、顔を赤くしていた。


「何を照れる必要があるんですか。いつも言ってるじゃないですか」


「いや、まぁ、そうなんだけどね……でも何だか、こう、ちょっと」


「はっきりしてください。イライラしてきました」


「怒らないでね…?」


「怒りませんよ」


「あの、よっちゃんが、好きだからです」


この男は本当にわからない。

いつも感情をぶつけてくるのに、肝心なところでぼかしたりする。

その歯切れの悪い意思表示は、少し私の心に響いた気がして、少し微笑む。


「そうですか。反省しているのならもうやめてください」


「はい、分かりました」


帰る背中に少し寂しさが見えて、私は男に少し付け足した。


「……昼休みの時間なら、来ても構いません。あなたの自由にしてください」


それだけ伝えて、家へ入った。

気持ちが前を向いたような気がした。

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