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第36話 返さないままでも、少しだけ気になる
「……」
スマホを見る。
通知が来ている。
「ありがとうございます」
短い文章。
「……」
私はそのまま画面を見る。
返すかどうか、少しだけ考える。
「……」
でも、すぐには打たない。
画面を閉じる。
「……」
部屋は静か。
外の音が少しだけ聞こえる。
椅子に座る。
少しだけ間がある。
前なら、返していた気がする。
とりあえず。
なんとなく。
今は、少し止まる。
「……」
返したくないわけじゃない。
でも、急がなくてもいい気がする。
スマホを見る。
また閉じる。
「……」
少しだけ気になる。
でも、それ以上ではない。
立ち上がる。
キッチンに向かう。
もやしを取り出す。
袋を開ける。
フライパンを出す。
火をつける。
ジュウウウ、と音がする。
私は箸で動かす。
考えていない。手が動く。
窓の外を見る。
少し暗い。
人が歩いている。
「……」
少しだけ遠い。
でも、見えている。
火を止める。
皿に移す。
座る。
一口食べる。
「……」
同じ味。
スマホを見る。
通知は、そのまま。
返していない。
でも、消してもいない。
「……」
「……まあ」
小さくつぶやく。
少しだけ気になる。
でも、そのくらいでいい気がした。




