第23話 コーヒーの機械を使ってみたら、少しだけそれっぽくなった
「……」
箱を見ている。
少し大きめ。
少しだけ、ちゃんとしてるやつ。
「……買ったな」
私は小さくつぶやいた。
きっかけは、よく覚えていない。
なんとなく。
「……あったら、よさそうだったしな」
箱を開ける。
中から出てくるのは、
コーヒーの機械。
「……」
しばらく見つめる。
「……これで、ちゃんとした感じになるのか」
根拠はない。
でも、そんな気がした。
キッチンに置く。
少しだけ場所を取る。
「……増えたな」
説明書を見る。
文字が多い。
「……」
閉じる。
「……なんとなくでいけるか」
水を入れる。
カプセルを入れる。
ボタンを押す。
「……」
音がする。
「……おお」
少しだけ、それっぽい。
思わず、声が出てしまった。
しばらくして、
コーヒーが出てくる。
「……」
私はカップを持った。
「……それっぽいな」
一口飲む。
琥珀色のそれ。
「……」
少しだけ考える。
「……苦いな」
もう一口。
「……まあ、こんなもんか」
悪くはない。
でも、
「……すごく良いかって言われると」
言葉を探して、やめた。
「……」
私はフライパンの方を見た。
もやし。
「……おまえには、関係ないな」
もやしは、何も言わない。
私はもう一口飲んだ。
「……」
少しだけ、部屋を見る。
ダンボール。
レシート。
コーヒーの機械。
「……」
少しだけ、違う気がした。
「……ちょっとだけ、ちゃんとしてるな」
根拠はない。
でも、そんな気がする。
私はうなずいた。
「……まあ」
カップを置く。
「……毎日は、いいか」
理由はない。
でも、そう思った。
「……」
私はスマホを手に取る。
残高を見る。
「……」
少しだけ減っている。
「……まあ」
「……それっぽいしな」
私は小さく笑った。
「……たまにでいいか」
コーヒーの機械は、そこにある。
使うかどうかは、まだわからない。
でも、
「……あってもいいか」
私はそう思った。
「……いけるか」
少しだけ、ちゃんとした気がした。




