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異世界モノ作りアングラー  作者: 砂野ちや
第1章 ミステイク
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37 石橋工事1

 秋が終わり冬が来た。表では木枯らしというか、突風が吹きまくっている。年を越すころになると、突風は吹かなくなり、晴れる日も増えてきた。その分、放射冷却は厳しく、氷点下二十度以下の気温にはなっていると思う。

 サーズカル前の川は、ルルドまで一キロメートルに渡って全面が氷付き、工事を考えていた厳冬期がやってきた。但し、このあたりは、水深が浅いために人が乗れるほどは氷が厚くはない。


 人が乗れるのは、やはり昨年第一大隊が上陸しようとした川幅二百五十メートルのA地点よりも下流で、ルルドからもこの位置は見えないので、見回りの兵に気をつけていればここから川の上を移動できる。

 この場所では、サーズカル前と水の流速は変わらず、川幅が狭まったせいで水深があるが、ここより下流が、ダウンヒルになっていて川があの崖の高さの落差二十メートルの勾配になっている。

 このため工事場所のB地点では、流速が三倍になっているらしい。


 持っていく工事道具の中で長さ十メートルの俺が作った土砂を流す鉄製の溝が二十本ある。

 これが搬入口から入れることが出来なかった一番の厄介者だ。

一つが百五十キロもあるので、A地点まではサーズカルの兵士がルルドに見えないルートを通って運んでくれた。 


 俺たちは、アイゼンを付け氷の上に立つ。大丈夫だ充分歩ける。

 氷の上から、溝を受け取り川の中央まで滑らせて送ると、勢いを付けて川下に向けて滑らせる。

 ソリのように、面白いほど滑って行った。氷の上だと摩擦係数が小さいため。百五十キロのものでも、五キロ程度の力で動かすことが出来る。実際には凸凹もあるので、そう理論通りには行かなかったが。


 そしてタルボガンの着ぐるみに包まれた俺たちは、氷が割れて落ちた時のために、お互いをロープで結び合い冬山を登るように、えっちらおっちらと、先に滑らせた鋼鉄製の溝のところまで歩き、それぞれが、溝を押してB地点まで移動したのだった。


 天気が良い日は貴重なので、午後からは早速作業を開始した。

 タルボガン達は、トンネルの出口部に大きな水槽を作るために、その場で作った煉瓦を積み始める。トンネル工事で流した土砂を一度受け止める水槽だ。

 夕方までに、俺が作ったテラスの上に、長さ十メートル、奥行十メートル、高さ二メートルの水槽を作り上げた。固化して固め、水槽出口に堰を設け一つ目の溝を取り付ける。


 ダンジョン兵舎に戻り、本日の工程会議、食事。

 俺には、この兵舎での楽しみがあった。実は先行工事の日程が余ったので、一階の階段横にもう一つ部屋を作り、岩風呂を作った。

 八人くらいは入れるお風呂で、ちゃんと脱衣所もあり、しかもサウナ付き。

 柿沼さんに小石を焼いてもらい、それを湯舟とサウナにスコップで入れてお湯にする。

 ちゃんと水抜きの排水溝工事も済ませている。


 もちろん、ミステイクのみんなは温泉を経験しているので、好評だった。

 やっぱり寒い中で作業をしたときは、お風呂は最高だね!

「サーズカルの兵舎よりも快適です!」

「ミステイク、最高!」

 などと、募集で集まった兵士たちにも高評価だった。


 翌日は、午後からやっと作業可能な天気になった。

「じゃぁ、やるか!」

 俺は、トンネルを掘り始め、槽が一杯になると休憩。

 亜湖さん、柿沼さんが長手方向五メートルピッチ、幅六メートルで、氷に一メートル弱の穴を千鳥に開けていく。やはり予想通り柿沼さんの方が断然早い。兵たちは、鋼鉄の溝を組み合わせて右に左に、出来た穴に土砂を流し込んでいく。一日で四個の穴が埋まった。俺は、全部を固化して回る。


 水に土砂を流し込んだ時に出来る山の角度を安息角と言うそうで、案外緩い角度になってしまうらしい。一メートルの穴から流し込んだ土砂の山の裾野は、直径十七メートルにもなるそうだ。

 だから、大量に土砂が必要で、一日五つが限界だと分かった。


 半月後、川の中央を超えた百五十メートル地点まで、五メートルピッチの柱が立った。

 次は対岸だ。

 翌日対岸まで溝を滑らせながら歩いて行き、兵舎側と同じようにトンネル出口の槽作りから始まる。途中から吹雪き始め、帰りの川渡りが辛かった。対岸にも兵舎が欲しいよな。

 吹雪で休んだ日もあり、更に半月後、対岸側も五メートルピッチの柱が完成した。

 これで、もうほぼ土手の土台は出来たようなものだ。


 ここからは、本当に氷に割れが入り始める工事になる。そのため作った柱の間の氷を先に柿沼さんの火魔法で溶かして、中央に土砂を入れて、土手作りを岸から順番にしていく。

 未だ土砂は大量に必要だし、トンネルはどんどん深くなっていく、俺は往復で天手古舞だ。

 しかも、固めた土手が水に濡れ、凍てついて滑る。よくもまぁ、亜湖さんがスパイク付きブーツを作っていてくれたものだ。十日後、百二十メートル地点までの橋の土台が出来上がった。

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