お大事に
舞台は三年後。
かつての同僚達が再会を楽しんでいる中、
昔のマスターは・・・?
☆明王SIDE☆
「ではこの薬を出しておくので、今は様子を見ましょう。お大事に」
そういいながら、少し笑いかける。
ありがとうございましたと去る患者の後ろ姿を見ながら、ふうっと一息つく。
俺―神宮改め金城明王は現在、母が勤める金城医院でもう一人の医者として働いている。
ルナティックハウスのマスターから転職して三年、ようやく形になったというところだろうか。
母さんや他の看護師に助けられ、なんと会社としてやれてきている。
「あきちゃん、そろそろお昼よ。休憩してきたら?」
噂をすれば、というやつだろうか。
院長である母が、ひょっこり顔を出した。
「そういう母さんはちゃんと休んだのか? まだ俺は平気だぞ」
「ふふ、大丈夫よ。ご飯は食べたから。あきちゃんが倒れたら困るし」
「そこまで俺はやわじゃねぇよ」
「それにさきちゃんったら、一緒にご飯食べるって聞かなくて。早くいってあげて」
さきちゃん、というのは俺の五つ離れた弟・真咲のことだ。
生まれつき足が悪く、小さい頃からここで生活している。
最近はあいつの足を治す手術を成功させたいため、色々研究してるわけだがまあそれはさておき……
白衣を脱ぎ楽な格好になりながら、真咲の病室へと行く。
休憩室にいた看護師から弁当を受け取り、病室を開けるとそこにはいるはずのない人物がいた。
「あ、明王君。遅かったね、仕事お疲れ様」
「おっひさしぶりです~! ミョウちゃん!」
それは高校からの親友で東京に行っているはずの、玲音と悠翔だった。
それをあたかももいつもの光景とばかりに、真咲がにこにこ笑っている。
「なんでお前らが……つかなんで真咲の病室に」
「えっへへ~! ミョウちゃんがお医者さんになったって聞いて、前々から行きたいな~って思ってたんです」
「ちょうどこっちで公演することが決まってね、せっかくだから二人で行こうかって話になって」
「兄さんが来る間待っとくついでにって、母さんがここに呼んだってわけ」
なるほど、それで母さんがあんなににこにこしてたわけだ。
そういえばCMとかでよく流れてたな。行くか行かないか迷ってたが。
まさかこんな形でまた再会しようとは……
「それにしても……お前ら全然変わってねぇな。本当に成長してんのか」
「ひどい言い方だな~。これでも背は伸びたほうだと思うよ? ね、悠翔君」
「はい! 今年は三センチ伸びました~! それにしてもミョウちゃんはかわりましたね~あんなにキレイに伸びた髪を切っちゃうなんて」
別に好きで伸ばしてたわけじゃないんだが……
反論しようとしたが、その前ににこにこ笑いながら真咲がポツリ。
「ああそれ、如月さんのせいなんです。なんか髪型がアニメのキャラに重ねられるから、そう見られないようにって」
「真咲、余計なこと言うな」
「アニメのキャラってなんのことですかあ?」
「明王君、彼女さんと何かあったの?」
「お前らも聞き返さんでいい」
まったく、これだから真咲は。
余計なことまでべらべらしゃべるのは、間違いなく母さん似だな。
こっちが何度恥ずかしい思いをしたことか……
「あ、如月ちゃんといえば結婚したんだよね? 式はいつなの?」
「決めてねぇ。おそらく二か月後だな」
「わ~! おめでたいです! 僕達も招待してくれるんですよね?」
「誰がするか」
「あれ? そういえば今日ってプチ同窓会があるって言ってたよね? いかないの?」
真咲に言われ、前に届いたメールを思い出す。
宛名は鈴木からで、桜庭達が帰ってくるから久しぶりに会おうという話だった。
俺は当然仕事優先のため断ったが、如月は昨日の夜まで嘆いてたな。
仕事がなければーとか言って。
「あれならいいんだよ、断ったから」
「えー? せっかくみんなと久しぶりに会えるのにですか? もったいないです!」
「そうやって仕事優先してるから友達少ないんだよ?」
「真咲、黙れ。あいつらも同僚との方が気楽だろうし、それに……誰がお前らの相手するんだよ」
我ながらなんてこっぱずかしいことを言ってしまったのだろう。
三人の顔を見れずに、さっと顔をそらす。
「あ、兄さんが照れてる!」
「照れてねぇ!」
「ミョウちゃん、かわいいです―! ギュー!」
「悠翔はひっつくな!」
「明王君のにぎやかな人ばかりだね」
ひっついてくる悠翔に、それを見ながらにこにこ笑う真咲。
そして、くすりとほほ笑む玲音……。
何一つ変わらない三人を見ながら、俺は静かに笑って見せた……
(つづく!!)
ここにきて、友達二人をぶっこむなんて
どれだけ明王さん推しなんだって話ですよね。
そんな中でですが、本編は次回で終わります!
最後のしめは、やはりあいつ!




