幸先悪い……
舞台は三年後!
それぞれの未来はいかに!?
☆魁皇SIDE☆
「三年ぶりの故郷っつうのに……曇りかよ。幸先悪い……」
ぶつぶつ文句を言いながら空港を出る。
俺―尾上魁皇は三年ぶりとなる、故郷に帰ってきていた。
大学を卒業してからドイツに留学し、バリスタの勉強をした。
おかげでバリスタの知識はかなり豊富になり、最近は外国でバイトやらなんやらをしてまかなっている。
今日は野暮用で故郷に帰ってきたわけだが……
「これ! 魁皇! 何ボーっと立ち尽くしておる! もたもたしておらんで荷物の一つや二つ、持ったらどうなのじゃ!」
まるで老婆のような変わった口調でけたたましい声を上げるのは、俺の双子の妹・國立梗華だ。
双子なのに名字が違うのは昔に親が離婚し、別々に暮らしていたのが理由である。
ここ数年こいつとは行動を共にしているが、容姿性格ともに全く変わっていない。
容姿はまだしも、この上から目線の性格はどうにかしてほしい。
「荷物荷物って、お前のばかりじゃないか。自分のは自分で持て」
「こういうのは男が持つものであろう!」
「今まで黙っていたんだが、俺はカップより重たいものを持ってはいけないという呪いが掛けられているんだ」
「嘘をつけいっ!」
「まあまあ梗華さん、落ち着いて。分け合ってもちましょうよ。ほら、魁皇さんも」
にこにこ笑いながら梗華を静かに抑えてくれたのは、俺の彼女でもある桜庭天衣だ。
二年前付き合えることになってからというもの、梗華のパティシエを通じては二人であったり電話したりしていた。
ブラジルとフランス。遠距離だったというのに、よく続いたなと我ながら感心さえしている。
それでも月日は伊達じゃない、ようやく名前呼びが自然にできるようになった。
「ところで魁皇に天衣よ。そのそーべつかいとやらは、どこであるのじゃ?」
「もちろん、ルナティックハウスです。輝流さんが貸し切りで店を開けてくれるみたいで。でも残念ですよね、全員集まれなくて」
「医者は忙しいからな。水瀬は俺らのことなんか忘れて、アニメでも見ながらのほほんとしてんじゃねぇの」
「さ、さすがにそれはないかと……」
「喫茶店行く前に墓寄るけど、いいよな」
そういいながら、タクシーを捕まえある墓地へとたどり着く。
数々の墓が、同じように並んでいる。
その中の一つ、尾上家と書かれた墓石にゆっくりと手を当てた。
「来るの遅くなって悪かった。今、手入れするからな。梗華、水」
「自分でついでこんかいっ! まったく、世話の焼ける奴じゃ……」
「私にも何か手伝えることはありますか?」
「そうだな……じゃあ花の水替えを頼む」
「はい! 任せてください!」
二人がいなくなるのを機に、火をつけるための線香を何本か出す。
ここには両親はもちろん、実兄・尾上恒星が眠っている。
不思議なものだ。昔は憎くてしょうがなかったはずなのに、兄と会い死んでから心にぽっかりと穴が開いた気がする。
今度またお茶のかわりにコーヒーでもお供えするか。そう思っていると、二人が足早に戻ってきた。
「ほれ、水じゃ! 洗うのはお主がせい!」
「へいへい」
「花瓶、入れときますね」
「なんじゃ、その態度の違いは! わらわは主じゃぞ! 敬意を示せ!」
「お前はただのガキだ」
むきーとうなりながらもがく梗華を、天衣が優しく征する。
それを見ながら、線香に火をともす。
「おかえり、かいちゃん」と呼ぶ兄の声が近くで聞こえたような、不思議な感覚だった。
「よし! お参り完了じゃ!」
梗華はそういいながら、タクシーの椅子にぼ分と座る。
その横に天衣が静かに座るのを横目で見ながら、助手席に腰かける。
「梗華さんはこの後どうするんですか?」
「お主の家で待つことにする。鈴蘭にも久しぶりに会いたいしのぅ」
「じゃあ迎えはそこだな。悪いな、天衣。お前の姉さんに伝えといてくれ」
「いえいえ、お姉様方もきっと喜びます。あ、運転手さん。ここまでお願いします」
天衣が住所を書いた紙を渡すと、タクシーはゆっくりと動き出した。
(つづく!)
最近、ツイートにて宣伝するにあたり
かなり遊んでます
色々考えた末の内容ですので
もしよければみてくださいませませ
次回、送別会場の様子はいかに!




