好きやで。うちは
育ての親でもあり、いとこである凪の両親の墓参りに
二人で行くことになった美宇。
そんな中、凪から突拍子のない一言が・・・!?
★美宇SIDE★
「僕のこと、好き?」
息が、止まるかと思った。
そのセリフに込められた意味が何なのか、考える暇などなかった。
凪の奴、なんちゅうた? 僕のこと、好き? やとぉ?
好きって、あの好きやよな。異性として……っていう。
あかん。顔が熱くなってきた。
凪のことを好きやなやんて、言えるわけないやろ! なんなんや!
「ごめんね、変なこと聞いちゃった?」
笑う凪の顔は、心なしか泣いているようにも見えた。
「不思議だよね。ここにお母さん達が眠ってるって思うと、色々思い出すんだ。すごく暖かくてずっと笑ってて……そのはず……なのに」
一つのしずくが、石ころに落ちる。
ぎょっとして、彼の顔を見た。
「……何も覚えてないんだ……どんな人だったのかも……僕が愛されていたのかも……」
「凪……」
凪が、泣いていた。
いつも笑った顔しか見たことなかった、あの凪が。
それが小さな心に秘められた、彼の本音なのだとうちは悟った。
「相談とか、話したいこととかいっぱいあるのに……一人ぼっちばかりで……僕、寂しかった……」
「な、悩みならうちが!」
「だって美宇姉、僕を置いてどっか行っちゃうんでしょ? 天衣さんから聞いたよ、スポーツで推薦が来てるって」
驚いた。まさか、そんなことまで知っているとは。
確かに部活の助っ人として実力を知ったからか、やけにスカウトが来る。
しかも、どれも県外ばかりだ。
だから凪には話さなかった。凪に、こんな顔をしてほしくなかったから。
「僕……一人ぼっちなの?」
初めて見た。凪のこんな一面。
静かに涙をこぼす凪を見て、うちは後悔さえ感じた。
うちは、こんな凪が見たかったんか?
違う。うちは凪を笑顔にしたいんや。
泣き顔なんてさせて、何が姉さんやねん!
「凪、顔あげぃ」
泣いていた顔を上げた凪に、うちはそっと触れた。
「そんな顔すんなや。いつうちが県外行くって言ったん?」
「だって……」
「うち、県外には行かへん。言うの遅くなって悪いな」
同じ言葉を、部活仲間や先生にも言った。
みんながみんなもったいないとか、ダメだよとか反対の声をあげた。
でも、うちがやりたいのはスポーツじゃない。
「うちは凪のそばにいたい。だから、正式な巫女になる。そう決めたんや」
『美宇ちゃんの夢は、本当にスポーツ選手になることなんですか?』
以前天衣がそういったのに、うちは答えられなかった。
今なら違うと答えられる。
凪の笑顔が見たいんや。そばで。隣で。
ずっと一緒にいたい、それがうちの見つけたやりたいこと。
「だから、凪が好きやで。うちは」
思わず出てしまった言葉に、ん? とつまる。
自分が何を言ってしまったのか、恥ずかしさでいっぱいになる。
「あー! いや、その! だから好きっちゅうんは、弟としてとかでー」
「ふふっ、なんだ。そうだったのか」
凪は安堵の笑みを浮かべると、涙を拭きながら微笑んだ。
「不思議。今の、美宇姉から告白されたみたい」
ぎくぅ! やばい、ばれる!
「本当、美宇姉には勝てないね。そういうとこ、昔から大好きだった」
へ!?
「これからもよろしくお願いします、日向神社の巫女さん♪」
凪の爽やかすぎる笑顔に、うちは何も言えずただただ見とれていた……
(つづく!)
美宇ちゃんの決意は、いつ見てもかっこいいですね。
男らしくて、芯が強くて、
ちょっとうらやましいくらい。
逆に、凪ちゃんのおとなっぽさは
こいついくつだよと思うほどですよね
なので、今回初めて弱みをみせてくれて
守ってあげたくなる美宇の気持ちもわかります。
次回はあまちゃんの気になる続きです!