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行って来い

斗眞の行方を見つけ、如月に思いのたけをぶつけ

さらには明王に勝負の持ちかけ!?


一大決心をした輝流の思いの裏側を、大公開!

☆輝流SIDE☆


いつからだろう。

君が……笑顔を見せなくなったのは。

王様がいなくなってしまって、とーちゃんが入ってきたことによってみんなの不安は安らぐことなく増えただけだった。

それだけ王様……マスターの存在が、大きかったってことだ。

あんなに強気だったミュウミュウでも、動揺を隠さずにはいられなかったし。

誰よりも不安だったはずのあまちゃんは、そんな彼女を優しくなだめて。

そして極め付きは、にがっちゃんが残した最後のメール


『すみません、用事を思い出したのでバイトを休みます』


同時に届いた、とーちゃんからの同じようなメールで確信した。

恐れていたことが、現実になったと。

おそらくとーちゃんは、にがっちゃんのことを本気で奪おうとしている。

そんなの、見てるだけでわかる。

だからって、オレにはどうすることも……


「おい輝流」


はっと我に返った。

すぐ隣には親友のチューンの姿があった。


「あ……ごめん……ぼーっとしてた」


「らしくねえな、まったく。大丈夫か?」


珍しく心配してくれるんだね、と言いたかったがそんな余裕はほとんど残っていなかった。

このままじゃにがっちゃんが王様ではない、誰かにとられてしまう。

その時彼女は、いつもみたいに笑ってくれるのだろうか……

考えてはいけないことなのに、どうしてもそのことがぐるぐる回っていて……


「……お前さ、わがままって言葉しってるか?」


するとチューンは、呆れたようにぽんと頭をたたいてきた。

彼はため息交じりに、ミュウミュウ達に


「おい鈴木、桜庭。こいつ、今から行きたいとこあるみたいだぞ」


といきなり……


「ってチューン!? 何言って……!?」


反論しようとするが、彼は即座に俺の口をふさぎ、黙れと小声でささやく。

とーちゃんだけでなく、にがっちゃんもいない状況に対してこの言葉。

当然、ミュウミュウが何も言わないわけがなく……


「ああ!? 今からやとぉ!? ただでさえ人が少ないっちゅうのに、何考えとるんねん! どーせまた女のとこやろ!!」


「まあ……あながちあってはいるな」


「そんなん許可すると思うんか、このアホウ! うちは認めへんで!!」


「……如月さんに、何かあったんですか?」


どなるミュウミュウに対し、あまちゃんは静かにそう問いただす。

皆の視線が一気に向いたからか、彼女は慌てて頭を下げた。


「あっ、すみません! 少々、気になって……マスターさんがいなくなってから、元気がないので……」


「まあ確かに如月はちぃっと心配やが……リュウ。あんた、このままで後悔せんの?」


確信をつくような、ミュウミュウの質問に思わず固まる。

一番嫌いな、二文字の言葉。

そしてみんなの視線が、オレを後押しするように見ていて……


「……オレには……王様のかわりにはなれないよ……今行ったところで、どうしようも……」


「情けないやっちゃなあ! マスターのかわりになんて、誰もなれへんわ! 大事なのは、如月を守れるかどうかっちゅーことだけやろ!?」


ミュウミュウ……


「私、みなさんのおかげで大切な思いと向き合うことが出来たんです。輝流さんも、自分のお気持ちを大事にしてください!」


あまちゃん……


「行って来い、輝流。後悔、する前に」


チューンの言葉を聞くが否や、オレは走り出していた。

どこにいるかも確認しないまま、がむしゃらに。

走り続けていれば、きっと彼女と会えるような気がしたから。


『輝流君……といったか。私には、君を育てる資格がない……』


昔の昔、そのまた昔の話。

オレには、両親がいた。

暖かくて優しくて、かけがえのない存在だった二人。

母が病死して、そのショックから父は壊れた。

オレのことなんて、ぽっきり忘れてしまっていて。


その時からオレは、後悔ばかりの日々を過ごしていた。

あのとき父を止められていたら、母をすくうことが出来たら。

オレは、独りぼっちにならずに済んだのだろうか……


『伝えたいことを伝えられないだけで、一生後悔することもあるんだ。好きになった奴だからこそ、守ってやらないといけないと俺は思うけどな』


いつの日か、王様がオレ達に向かって言った言葉。

今ならその重みが、わかる気がする。

でもね、王様。それは王様の役目、だったんだよ?

王様が守らなきゃ、彼女は誰かのところに行ってしまう。

にがっちゃんは自分で自分の良さを、まるで理解していないんだ。

だから、オレは……


「好きだよ。にがっちゃんのことが、ずっと好きだったんだ」


伝えないようにしていた思いのふたを、今覚悟を決めて開ける。

にがっちゃんに、幸せになってほしいから。

後悔、したくないから。


「ねぇ王様、オレと勝負してくれない?」


そしてオレは憧れの存在だった彼に、そう言葉を告げた……


(つづく・・・)

三部になったというのに、

彼だけが過去などが明かされぬまま

このままじゃダメだと思い、輝流の出番が多い

ここでいれちゃいました。


輝流の健気さには、こっちが尊敬するくらいですが

何より魁皇のイケメンっぷりですよ。

誰だ、こいつ状態ですよ


次回、男と男の勝負開幕!

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