レーヴェンの覚醒
一匹のブラットウルフがアンとミラへ飛びかかる。
討伐隊の皆は目の前のオーク2体に意識を向けていた為、まさかブラットウルフが飛び出してくるという事は誰も予想しなかった。
まるでこのタイミングを狙って飛び出したかのように。
アンとミラの近くにはレーヴェンしか居なかった為、フーデン達は反応が間に合わず、全員が動けなかった。
アンは自身の身体を前にして、驚いてしまったミラを庇うようにし、これから来る痛みに両目をギュッと閉じる。
…動け!! 頼むッ!! 私の足動いてくれッ!!
だが、そんな誰も動けない中、レーヴェンは恐怖で動けない両足に強く念じる。
もしあのブラットウルフの牙で、あの子が私と苦しい生活を送るようになるのは、今生きている人生をきっと恨みや自身に対する憎しみで辛い人生を送る…
だから…動けッッッ!!
私がそう強く思うと不思議な現象が起きる。
何故か今の光景がスローモーションで動くのだ。
フーデンさんは急いで戻ろうとしている所、ラウさんは大声で2人の名前を呼ぼうとする所、他の隊員も驚いて目を向けている所、一匹のオークがその剛腕な右腕を振り回そうとする所…
もう世界がゆっくりになった。
そして、私自身、何故か今までと比べてより力が入っており、今、あの飛び出したブラットウルフへこの鎌を振り下ろせそうな感覚がした。
だから私は今自身で感じている強力な力を両足に踏み込んで、あの飛び出したブラットウルフへ振り下ろす!!
ザァァァン!!
今、何処からか強力な突風が起きる。
それはブラットウルフを縦に切り裂いており、血しぶきが飛び交う。
それは驚いているアンとミラへ降りかかる。
2人は血まみれになるが、それよりもある男性を驚いて見ていた。
彼は元牧場主で、戦闘した事なく足が震えて動かなかった人だった。
だが、何故かその彼は見た事ないスピードで飛び出した魔獣を切り裂いていた。
…そう、レーヴェンであった。
この光景にアンとミラだけでなく、討伐隊の皆が驚いており、オーク2体も驚いて振り回そうとした剛腕を止め、レーヴェンを恐れ始める。
ラウも驚いていたが、すぐにレーヴェンが何故ここまで強くなったか、ある仮説を立てる。
「もしかして…レーヴェンさんの受けている呪いがあそこまで強力な力を与えている…?適応したって事…?」
とそう言葉を零した。
レーヴェンも「え…?」と自身で魔獣を切り裂いた右手の鎌を見ながら驚いていた。
「レーヴェン!!」
フーデンさんが急に私の名前を大声で呼ぶ。
大声で呼ばれた事で私は驚いていた頭を止められ、フーデンさんの方へ顔を向ける。
フーデンさんは必死な顔をして私に、
「まだ戦えるか!?頼む!!一緒にこのオーク達と戦ってくれ!!」
とお願いしてくる。
いきなりあのオークと戦うというのは無理があると思うが、何故か今の私はあのオークさえも倒せそうで、だから私は双鎌を構え、
「…わかりました!!」
私は力強く承諾し、2体のオークに向かって駆け出した。
するとまたあのスローモーションの世界となり、フーデンさん達を追い越すと、討伐隊の皆さんが私の方を見て驚いていた。
あのオークも驚いているのか、右腕の剛腕で私を叩き潰そうとする。
しかし、私からはゆっくりに見え、ギリギリの所へ躱し、振り下ろさせた腕に向かってまた鎌を振り下ろす。
小鎌はやはり切れ味が良く、あのオークの剛腕を切ってしまい、一匹のオークは右腕を無く、そこから血が溢れ出してくる。
グモォォォォ!!
と痛そうな鳴き声をあげるが、その隙に私は飛び上がり、そのオークの首に目掛け、左の小鎌でオークの頭を討ち取った。
討ち取られたオークの身体は後ろへ倒れ、頭を失った所から血がドロドロと出てきていた。
私は着地し、もう一体のオークへ意識を向ける。
もう一体のオークは私を恐れ始め、逃げようとしたが、フーデンさんが先回りをしており、大剣でオークの両足を切り、オークが倒れた瞬間にオークの頭へ大剣を突き刺してトドメを刺す。
大剣を突き刺されたオークは暴れたが、やがて動かなくなり息絶えた。
これが私レーヴェンの初戦闘であった。




