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プロローグ
焼けるような痛み。
久しく感じた事のなかった感覚。
懐かしさすら覚えるその感覚にある種の愉楽を感じていた。
「……見事なり、勇者よ。この勝負、貴様の勝ちだ」
「そして戦争も貴様らの勝利だ」
「なぜこんな戦争を?」
「……決まっておる。我が大望を叶えるため。」
「大望?」
「大望、悲願、宿願、野望……我はたった一つの願いを叶えたかった」
「そうか」
(今世の我は敗れた。間も無く肉体は朽ち果てるだろう。だが、我が魂は朽ち果てる事は無い。おそらく一度切りだが、我は復活する。肉体を永い年月をかけて構築し、再度顕現する。まあそれを伝えていたずらに警戒させる必要はないな)
もう。疲れた。
眠ろう。
勇者の手前、カッコつけたが、もし次に目覚めたら自由に生きよう。
そうして魔王は眠りについた。
そして、200年の時が流れた。