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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第四幕】 【王都】
179/325

その99 呪いの段階


「……サトリとは、あらゆるものの情報を公にしてしまう力のことを指します。本人の意志に反して発現し、段階を踏んで強力になっていき、本人の身体と精神を蝕むことから【呪い】だと定義されています」


 老人がまず紡いだ言葉は、既に周知の事実となっているサトリの性質だった。だが黒髪の少女達は口を挟まない。静かに老人の話に耳を傾ける。


「サトリという呼称も、呪いだと定義したのも、大昔のゼントの先祖……つまりサキさんの先祖がそうしたとのことです。ゼントとはサトリの呪いについて共に探った仲であり、本来ならその時の思い出話もしたいのですが……」


 老人はサキに視線を向けて、それから目を伏せる。


「……いまはやめておきましょう。短時間で話し終えられるとは思えませんから。とても長くなってしまうでしょう」


 それから再び、老人はサトリに関する事柄について話していく。可能な限り余計な過去や自身の主観には触れずに。


「サトリの呪いには段階があると言いましたが、より正確に説明していくと……まず第一段階として、手で触れたものや近くのものの情報が頭の中に流れ込んでくるそうです。これはゼントから聞いた事柄ですが」


 少年はちらりとサキを見やる。サキは小さくうなずいた。彼女が呪いを継承した当初は、この第一段階だったらしい。


「次の第二段階では、何もない空間に窓のような四角形の枠を出現させ、そこに知り得た情報の文章を記述していきます。私がゼントに出会った当初、彼はこの第二段階でした」


 その状態はいまのサキの呪いの段階でもあるといえるだろう。


「ゼントは便宜上、その枠のことをウィンドウと呼んでいました。この第二段階と次の第三段階では多少なりともサトリを制御することが出来、使いようによっては絶大な力になり得るかもしれない……とゼントは言っていました」


 サキが持つサトリは多くの者……悪用しようとする者達に狙われている。その理由が、この第二と第三段階における絶大な力を利用する為だろう。


「そして、かつて私が出会ったゼントは、私が出会ってからしばらくして次の第三段階へと進行していました。その段階では文字情報だけではなく、いま私達がこうして目にしているままの光景がウィンドウに現出していました」

「……目にしている光景……?」


 つぶやきを漏らしたのはサキだ。彼女には老人の言葉の意味が、いったいどういうことなのかすぐには想像がつかなかったからだ。

 しかし少年と青年には即座に理解出来た。少年が口を開いて、小さな声で言う。


「……映像ですね……動画とかテレビとかと同じ……」


 青年もまたうなずいた。


「だな。ちょいと昔の言葉でなら、ビデオとかもそれだな」



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