表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第四幕】 【王都】
170/325

その90 昨日起きた出来事


 修道長が続けて言う。


『その者達はジャセイの仲間であり、チート能力者もいました。さらに……』

「ジャセイの仲間⁉ おっさん! まさかジャセイが復活したのか⁉」


 思わず大声で言ったのは青年だった。彼は司祭長の横に来ると、テーブルに思いきり手をつきながら修道長に尋ねる。


「どうなんだ⁉ もし奴が復活したとなりゃ、滅茶苦茶厄介なことに……!」

『……ハオさんですか……いえ、ジャセイは復活していません。彼らとしてもジャセイは厄介な人間だったようで、ジャセイの状態を確認するだけに留めました』

「……そうか……だが、ジャセイの仲間が……」


 落ち着きを取り戻した様子で青年がつぶやく。その顔にはいつものようなふざけた調子やひょうひょうとした感じがなく、真剣に考えている表情があった。

 箱の向こうの修道長が言葉を続ける。


『そこにはケイさんとサキさん、アスさんもいるのですよね?』

「はい」「修道長さんの仰る通りです」


 ケイとサキが答え、アスは相変わらずの無言を貫く。彼らがいることを確認した修道長は、


『……皆さん、聞いてください。昨日、私の身に起きたことを。そして貴方達に迫りつつある脅威について』


 ケイとサキ、ハオ、及び司祭長がごくりと喉を動かす中、修道長は昨日起きた出来事を話し始めた。


 ……。…………。……………………。

 時間にすれば、そこまで長い時間は経っていないはずである。しかし話を聞き終えた面々は、とても長い時間が経過しているような錯覚を覚えた。

 それほどまでに修道長の話は衝撃的であり、驚愕的であり、そして脅威的であった。


「……マジかよ……ユウナさんが……実は敵だっただと……」


 話が終わってから最初に口を開いたのは青年だった。次いでケイとサキが口を開いてつぶやく。


「……イブさんが俺達を追って、王都に来てる……」

「……大丈夫でしょうか、イブさん一人で……」


 彼らのつぶやきは修道長にも聞こえたのだろう。彼は重々しい雰囲気をまとったまま、確かめるように言った。


『その様子では、イブはまだ貴方達とは合流していないようですね』


 代表するようにケイが返答する。


「はい。でも、分かるでしょうか? 俺達がいるところが……」

『イブは聡明ですから、時間は掛かるかもしれませんが、いずれ貴方達と合流出来るでしょう。私はそう信じています』


 その言葉に、ケイもサキも内心では心配していた。本当に大丈夫だろうか、イブさん一人で、もしも何かトラブルに巻き込まれていたら……と。

 しかし、いまは信じるしかない。彼女が無事に追いついてくれることを。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ