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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第四幕】 【王都】
139/325

その五十九 その通り、オレたちは盗賊団だ


「さて、と」


 通行証の目途が立ったことを見て取って、そうつぶやいたかしらが続ける。


「シスターさんは王都に入れそうだし、オレたちはここでお役御免だな。できればオレたちも王都に入ってみたかったが、まあこればっかりはしょうがねえ」


 そこでかしらはフーラを見て、


「フーラさんっていったっけ、シスターさんのことは頼めるか? 王宮魔導士なら心配はいらねえだろうし、門を通れないやつらが何人もぞろぞろと行っても、迷惑になるだけだろうからな」

「まかせてくださいっ」


 ポンッと、自分の胸を軽く叩きながらフーラが答えるのを見て、かしらは安心したようにうなずき、それから仲間の二人に言う。


「よし。そんじゃあ行くぞおめーら」


 そうして背を向けようとしたかしらに、


「待って……!」


 と金髪の少女が声をかけた。振り返るかしらに近寄ったあと、自分のポーチから財布を取り出すと、何枚かの紙幣をかしらへと差し出す。


「ここまで運んでくれてありがとう。受け取って」


 一瞬目を丸くしたかしらは、なっはっはと笑い声を上げると、


「いらねえよ。金が欲しくて助けたわけじゃねえからな」

「えっ、でも……」

「いいから気にすんな。ほら早く行くぞおめーら!」


 そう言って、さっさとその場から走り去っていき、


「「ちょ、ちょっと待ってくださいよおかしらー」」


 そのあとを慌てて若い女と若い男が追いかけていく。遠ざかっていく彼らの背中を、金髪の少女はぽかんとした顔で見つめていた。



 草原を走りながら、若い男が戸惑った様子でかしらに尋ねる。


「ちょっとおかしら⁉ なんでもらわなかったんですか⁉ せっかくのお金なのに!」

「だから言っただろ。俺は金が欲しくてあの子を助けたわけじゃねーんだよ」

「でも……」

「それにずっとおまえもぼやいてただろ、オレたちは盗賊団なのにって」

「え……?」


 若い男へと、かしらは不敵な笑みを向けながら言った。


「その通り、オレたちは盗賊団だ。だったら、金はもらうもんじゃねえ、奪うもんだ。違うか?」

「…………」

「なっはっは!」


 夜の草原にかしらの笑い声が響き渡った。



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