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ⅸ お前も!お前も!お前もだ!!!!




しばらくアリスを探し回った白うさぎはいい加減疲れてしまって



ふぅ。少しひと休み。と言って手頃な岩に腰掛けた。



服はもう乾いていた。



不思議なことに身体の大きさも元に戻っていた。



身体中から大きな汗が出たことで小さくなったのか、コーカスレースで頑張りすぎて縮んだのか、急なお茶会にギョッとしたショックで元に戻ったのかはわからないが…。




「あれ。ここはよく見ると私が仕える赤の女王の城じゃないか。」



見上げた先の一番高いところに赤いハートのマークがそびえ立っていた。




アリスを探し迷っているうちにどうやら赤の女王の城に迷い込んでしまったらしい。




しばらく脚を休めていた白うさぎはいきなりピョン!っと飛び跳ねとっさに隠れ場所を探した。



「首をおはね!!」



それは赤の女王の恐ろしい罵倒だった。




茂みに身を隠した白うさぎはビクビクするのを抑えてソーッと声のする方を覗くと




確かに赤の女王が居た。




スパンッ




突如何かを何かで叩くような乾いた音がした。




「女王様お手柔らかに…お願いしてはいただけませんでしょうか?」




弱々しく低姿勢に懇願するそのフラミンゴは頭が下、足が上という姿勢で全くの逆さま状態になっていた。




一体なぜでしょう?



その訳はすぐにわかります。




スパンッ




「お黙り!」



赤の女王の好き放題の振る舞いから発せられた言葉は周りにいるもの達の臆病な心を震え上がらせた。




「私に逆らえばおまえの首なんてすぐにはねてしまうよ!」





女王様のたくし上げる強い口調にフラミンゴは皆と同じように震え上がった。




そこでは女王自身がルールの身勝手なクロケーが行われていた。




ボールを打つ為のマレットと呼ばれる木槌が逆さまにしたフラミンゴ。



そしてそのフラミンゴに打たれるボール役がハリネズミ。




なんて可哀想なこと。




身体中にトゲがついたハリネズミを逆さまにされたフラミンゴの頭が打つというなんとも地獄絵図な光景である。




スパッ




さっきよりも鋭い振りを見せた女王は「もう、どいつもこいつも頭にくるね!誰だい!?私のケーキを食べたのは。」いつも以上に苛つきが抑えられない様子で言った。





フラミンゴに打たれたハリネズミは打たれて転がり止まった場所から自分の足でいそいそと定位置に戻ってきた。




赤の女王「なんで!こんなに!苛々するんだ!それもこれもあのケーキが!私が楽しみにしていたケーキが!どこかの大馬鹿者に盗まれたせいよ!」




スパッ!!



フラミンゴ「お、お手柔らかに…女王様…。あ…なんだかもう頭に血が上ってふわふわとしてきた…。」




ハリネズミ「おい、おい、やめろ!フラミンゴ!女王様に聞こえるぞ。おいらまでとばっちりを食らうのはまっぴらだ!」




ハリネズミは囁き声で頭に血が上っているフラフラのフラミンゴを女王に聞こえないように叱った。




赤の女王「全く、さっきから五月蝿いね!全部聞こえてるよ!」




と言葉を叩きつけると同時にマレット役のフラミンゴを叩き捨ててしまった。




フラミンゴ「あらら。頭の血がサーッと降りてきた。良かった良かった…。」



ハリネズミ「今日は長引かなくて良かったな!」



ハリネズミはフラミンゴの耳元でヒソヒソ今日の地獄のクロケーが終わったことを告げた。






「こうなったら裁判だよ!あんたも!あんたも!お前もだ!お前ら全員!法廷に来い!絶対参加だよわかったね!!」




と赤の女王は怒涛の声を上げると




「そこにいる、お前もだ!!!!」




と、不機嫌な女王様が怖くて怖くてずっと茂みに身を潜めていた白うさぎを指差した。





白うさぎはいつもの癖で「は、はい!!仰せの通りに!」と従い茂みから身をピョン、と露わにしてしまった。




こうして迷いうさぎの白うさぎも巻き込んでその場にいた全員が裁判に参加することになった。







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