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ⅹ 白うさぎの大ジャ〜ンプ!ピョンピョン!!!!



ー法廷にて



「それ、で…と。盗まれたのはこちらのケーキですかな。」と裁判長が公の前に何かを取り出して見せた。




白うさぎ「あれ?芋虫おじさんじゃないか。なんで芋虫おじさんが裁判長をしているんだ?おかしいな?」



法廷に一歩、足を踏み入れた白うさぎは変だなと一瞬目を疑ったが周りを見渡すともっとおかしなことが起きていた。




まず目に入ってきたのはここにくる前に一緒にコーカスレースをしていたグリフィンである。身体が大きく目立ったいでたちなのですぐ目につくのである。



そしてその隣にはドードーのご婦人。ドブネズミやアヒル達、そして驚くことに帽子屋や三日月うさぎ、眠りうさぎまでいるではないか。




全員参加って言っけど国中の者たちを呼び寄せたのか?赤の女王のやることは激しすぎてわからない。




と、戸惑っていた白うさぎに、裁判官はこう言った。



「そこのあなた。うさぎさんあなたですよ。」




指名された白うさぎだったが、彼は更に我が目を疑った。




裁判官が…!今度は人魚姫??どうなってるんだ?人魚姫が裁判をしている。これは夢か?誠か?




白うさぎは頰をつねって確かめてみたがあまりの痛さに痛いっとピョン!っと飛び跳ねてしまった。




この痛さは夢じゃない!なんだこの展開は?




ひどく混乱した白うさぎが頭を抱えながら状況の飲み込もうとうんうん、唸っていると、



「私見ました!確かにその人がケーキを食べたのを!」




と証言台に立ち、白うさぎの方を指差して強く疑いを突きつける少女がいた。




白うさぎ「アリス!アリスじゃないか!」




それはアリスだった。

それを確認して白うさぎが驚愕する中でも裁判は続いた。




人魚姫「それは確かね?ではうさぎさんあなたが女王の楽しみにしていたケーキを食べた犯人ですね?」




勝手に推し進められる裁判の展開に。




白うさぎ「ちょっと待ってくれ!私は女王様の楽しみにしていたケーキなど食べてはいません!私は何も…」



必死に反論をしかけたところで白うさぎはハッとした。




頭によぎった出来事が一つある…。




“私をお飲み”




白うさぎをピンチの場面で助けたあの紫色した飲み物だ。




いや、でも今はそれはいい。




問題はその後に味方であろうと思ったあの




“私をお食べ”




である。





そこには四角いテーブルの上にお皿があってそこにはケーキが乗っていた。




そしてどういうわけかそのケーキを乗せていた一枚のお皿が裁判長の芋虫おじさんの手に収められ証拠品として晒されているのである。



そうなのだ。

先程裁判長の芋虫おじさんが皆んなの前に出した何かとはこの真っ白な丸いお皿のことだったのだ。




白うさぎはわ…私はそんなつもりじゃ…泥棒なんて!



と口を動かしたがその口の周りにはケーキの食べカスがいっぱい付いていた。




それに気付くと驚いたような顔をして慌てふためいてそのケーキであろう食べカスを手で払った。




白うさぎ「な、こんなこと!さっきまでこんな食べカスなんて付いてなかったのに!一体なんだこれは!!」



赤の女王「犯人はお前だね!!誰か!捕えよ!その泥棒うさぎを捕えよ!」




女王はけたたましくそのうさぎを捕まえるようにと叫んだ。





そして「首をおはね!!」と眉尻を恐ろしく弓形に上げながら白うさぎに迫っていった。





そんな恐ろしい光景に白うさぎは混乱して目を回しそうになった。




そして極め付けには陪審員席に座っていた赤ずきんの口から「白うさぎは有罪!」と決定づけられ




アヒル達はその後を続いて「白うさぎは有罪!」とたくし上げたからもうその場は騒然。




もう白うさぎはたまらなくなってその場から逃げることを決意した。




ピョンピョーン!と、逃げる白うさぎの後を



赤の女王が追う。




もうその速いうさぎの脚はとっくに法廷を後にして薔薇の庭へと迷い込んだ。




その後を追う赤の女王の兵達。




皆トランプの形をしている。




そのトランプの兵が次々と追ってくる中白うさぎは必死に逃げた。




必死に逃げているせいであちらこちらに身体がぶつかって庭の赤い薔薇が舞っている。




すると、どういうわけかさっきまで法廷でその裁判の行方を観ていたイカレ帽子屋がいつの間にか目の前に居、手を伸ばしてきた。




帽子屋「さあ!さあ、こっちだ!うさぎくん!その短い手を伸ばせ!」




白うさぎ「帽子屋!それにチシャ猫じゃないか!助けてくれるのか?一体どうなってるんだもう訳がわからないよ!」




帽子屋「分かっていないのはあんただけだ頭空っぽうさぎ!さあ、こっちに飛び乗って来い!」



チシャ猫の縞々模様がほどけたリボンの様なテープに跨って飛んでいる帽子屋は早く、と急かせた。





白うさぎ「もう少し、もう少しで届く!後少し…」




と、その時。




「逃がさないよ!」



赤の女王の声が迫り来て




トランプの兵がワーーーーーッと一斉に飛びかかり、バサバサバサーッと激しく白うさぎの上に落ちてきた。





白うさぎ「わあああぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」











…ぶ






いじょうぶ…





どこからともなく声が聞こえた。しかも自分を追い詰める様なあの裁判で聞こえた厳しい声たちとは違う、とても優しい声。




それは聞き覚えのある、いいや、聞き慣れたいつもの優しい声。




「大丈夫?うさぎさん。」



その優しい声に導かれて白うさぎは自然と目を開けた。その時今まで目を瞑っていたのだと気付いた。





白うさぎは目を開けてどうやら心配そうに覗く顔が映るぼやけた視界を白い手でゴシゴシと拭った。



辺りは日も遠に暮れてすっかり暗くなっていた。




「あ…アリス。あれ。私、眠っていたかな?」




そう。どうやら白うさぎは眠っていてその中で悪い夢を見ていたようなのだ。




そんな悪夢から目覚めたばかりの白うさぎにアリスは、




「あなたうさぎ穴に落ちてそのまま気絶していたのよ。穴はとても深くて私たちではどうにもならなかったからチシャ猫に頼んで帽子屋を呼んでもらったわ。そして帽子屋があなたを助けたのよ。」




白うさぎはそんなアリスの説明を聞いてるうちに悪夢のことなど薄れていった。




赤ずきん「あなたうなされていたわ。」




白うさぎ「変な夢を見ていたかもしれない。もう思い出せないけれど。」





アリス「芋虫おじさんがここまで運んでくれたのよ。」




芋虫おじさん「いやあ…軽いもんさ…ちょいと背中に乗せるだけさ…」




白うさぎ「やぁ…。それはどうもありがとう。裁判ちょ…じゃなくて芋虫おじさん。」




帽子屋「ハハハッ大変だったんだぞ?チシャ猫の縞模様を伝って深い深いうさぎ穴に入ってキミを引き上げるのは!うさぎくんったら僕が君の頬をつねっても起きないんだから。キミの顔にそこら辺の葉っぱを何度も何度も何度もパーッと落としてやってやっとさ!」




チシャ猫もニヤニヤと自慢の歯を見せて笑いながらうんうん、とうなずいていた。




白うさぎ「いやあ。帽子屋っていつもふざけてばっかりいるけど頼りになるんだね、やっぱり。ありがとう。」




白うさぎはここまで背に乗せて運んでくれた芋虫おじさんと助けてくれた帽子屋やチシャ猫、心配してくれたみんなに深く感謝のお礼を言った。




そこにはもうたくさんのお姫様や主人公。色々な所から来た人々がいた。






主人公、といっても今日の主人公は紛れもなくこのまだ寝ぼけ眼の白うさぎで間違いないのだが。






アリスに赤ずきんに…おや、馬車からは人魚姫が今、降りてきた。こっちに気付いて手を振ってくれてる!…それにかぐや姫!ずいぶん遠くから参られた様だ、白雪姫に、眠れる森から来たオーロラ姫もいる!親指姫は王子様と一緒に来られたんだな。




そんな風に自分を取り囲む仲間たちや、お城を背景にした行き交い人の姿を一人一人確認していると、




大勢の人々が突然その群衆を割る様に道を開けた。



その割れた道の先には一人のとても美しいこの世のものとは思えないほどまばゆい綺麗な、ブルーのドレスを身にまとったお姫様が立っていた。




「あ。…はっ!エ、エラ様!」




目覚めたばかりでぼうっとしていた頭を無理矢理、一瞬でリフレッシュさせた白うさぎはすぐに敬う姿勢でそれはそれはお上品にお辞儀した。





エラ「実は今日私はお恥ずかしいことにガラスの靴を片方だけ落としました。」




エラがそして、と話を続ける。



「私はお城の中でひとつの嬉しいニュースを聞きました。

どなたかが私の靴を見つけてくれて届けに来てくれるそうだ、と。

そしてそのどなたっていうのは真っ白なうさぎさんだというの。

…貴方がその白うさぎさんね?

この度はありがとう…。

その、貴方が大事に抱えてくれているのは」



とエラは白うさぎが気絶して眠ってる間中もずっと肌身離さなかったそれに目をやり、



「私の靴でしょう?」



そう言い白うさぎに優しく微笑んだ。




白うさぎ「はい。エラ様、この靴は東の森で熊におもちゃにされそうな所を私が見つけ、保護して、ここまでお届けに上がった次第です。」




頼れる仲間と一緒に、とちゃんと付け加えて白うさぎはエラに報告した。




アリスたちもスカートの裾を持ち上げて上品にレディらしく挨拶した。



エラの美しさに見とれていた帽子屋も少し曲がったネクタイを締め直した。




エラ「まあ、東の森にあったのね?確かに馬車でそこを通ったわ。でもその時眠っていたようで落としたことに気づかなかったんだわ。そして熊さんからこの靴を守ってくれたなんてとても勇敢ね。うさぎさん本当にどうもありがとう。」




白うさぎ「お褒めに預かり光栄でございます。この靴を見つけた時私めの使命だと直感しました。私こそこのような出来事がきっかけであなた様にお目にかかれたことを生涯の宝にできます。」




白うさぎは大事にしまい持っていたガラスの靴を丁重にエラに渡し、エラはそれまで代わりに履いていた靴を脱ぎ、受け取った靴を今度は落とさない様にと、きちんと履いてかかとをコン、としっかり地面につけた。




赤ずきん「さっきまでの可愛い少し頼りないうさぎさんはどこへいったのかしら。ふふっ」



アリスはシーッと口に指を当てて秘密に、と赤ずきんに態度で示した。




でも二人はこっそり笑ったけれど。







エラ「さあ、皆さんもう時間です。いいえ、十二時の鐘がなる時間ではありませんよ。」






とエラがいうといつの間にかエラの方へと身を向けていた皆んながドッと笑った。




執事「さあさあ。今宵は今この時間から皆様の楽しみに待ちわびた舞踏会が始まりますよ!」




わあああ!!と皆んな歓喜の声を。




エラ「白うさぎさんも今夜は参加していただけますか?」



白うさぎ「え…っ私めがそんな…」



白うさぎはそんな突然のエラの誘いに気が引けたがエラがあまりにも優しく、可愛く笑うものだから





「え…ええ。是非…エラ様がお誘いになっていただけるのでしたら…私も踊らせていただきとうございます。」とエラの誘いを照れながら受けた。




内心お城のてっぺんまで昇るぐらい喜びで飛び跳ねたかったと思いますよ!





エラ「それじゃあ参りましょうか。」




こうして靴を取り戻したエラとエラの招待客たちは長い階段を登って踊りめく賑わいの舞踏会へと向かって行った。









おしまい。





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