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ⅶ 一難去ってまた一難というもの




白うさぎは相変わらずアリスを探して歩いていた。


急いでいたので小走りに近いかもしれない。



しかし小走りといっても小さくなったうさぎの小走りなので通常の大きさの白うさぎからしたら歩いてもないようなものかもしれないが。




しばらくすると、今度は四角いテーブルがあり、そこにはひとかけのケーキが真っ白な丸いお皿の上に乗っていた。




「ああなんだかあそこにケーキがあるぞ。今度は 私をお食べ? そう書いてある。しかし、私はどうなっちゃったんだろう?ずっと歩いてきてわかったんだが、この道にある石ころも壁にかかってる絵も花もきのこも全部大きいぞ?まるで自分だけ小さいみたいじゃないか。」



と、その時やっとじぶんが縮んだかもしれないと感づき始めた白うさぎは「どうしよう!私が小さくなったらアリスを見つけてもアリスが私を見つけられないじゃないか!」と顔を青ざめた。




そしてもう一度ケーキに目をやると



“私をお食べ”



やっぱりそう書いてある。




先ほど小さな穴の空いた部屋で紫色の“私をお飲み”に助けられたせいか、この目の前のケーキをさほど疑いもなく味方のように思えて今度は簡単に平らげてしまった。




そしてみるみるうちに身体は元に戻って…




戻って…



戻って…




「ストップ、ストップだぁ!止まれそこで!」と叫ぶ白うさぎの思いは宙を切って。




残念ながら白うさぎの思いとは裏腹に大きくなりすぎてしまったようだ。





もう、こんなことが何で起きるのかと焦りと不安とそれから悔しさでいっぱいになり大きくなった巨大うさぎからは次第に大粒の汗が出てきてしまった。



あまりにも汗だくなので白うさぎは汗を拭おうとした。

そしてポケットを探ったがなかなかハンカチが見つからなかった。

白い、隅にスミレの刺繍がしてあるお気に入りのハンカチ。それが見つからない。



ガサガサゴソゴソ前のポケット左のポケット右のポケット後ろのポケット…懸命に探しているうちに汗がポタ、ポタ、ポタポタと次から次へと落ちてくるではありませんか。




ポタポタ落ちてきてるその汗はやがて小降りの雨のようにザーッと降って大きな水溜りになってしまった!




「わああ。」白うさぎはもうハンカチを探すことなど忘れて、その汗でできた水溜りで溺れそうになったので泳いで抜け出そうとした。




すると、バサバサっと音がして無理な体勢から無理矢理後ろを確認してみると



そこには頭は鷹で体はライオン、おまけに大きな翼の生えた恐ろしいグリフィンがいた。



そしてなんと自分のシャツをくちばしでくわえ白うさぎを連れ去ろうとしているのだ。



「食べられる!」



白うさぎはそう思い、恐怖を感じた。





「やめて、やめてくれぇ。私は美味しくないぞ!腹は太っちょだが頭は硬い、それに今日は何にも食べていないんだ、他のにしといたほうがいい!ほらあそこに沢山いるじゃないか、勘弁してくれ!」



そう嘆くとほらあそこにと言った大きな広場を指差した。




グリフィンはそのままその指のさす方へとサーッと翼を広げ降りていった。




すると、パチパチパチと、手を叩く音が聞こえた。



それは拍手だった。



「お手柄ですね!グリフィンさん。やっぱり貴方の大きな翼は人の役に立ちますわね。」




と、これまた大きな鳥が。ドードーであろうか。




「素晴らしい人助けですよ、翼のない私には到底真似できっこない。」




と、今度は割と大きなネズミが言った。ドブネズミだろうか。でん、としている。




そしてアヒル達が「こんにちはうさぎさん。あなたがあの池を作ったの?」



と、白うさぎに向かって問うた。




白うさぎ「ああ、あぁ…そうだよ。多分だけど。どうしてか私から出てきたらしい。あんないっぱいの水どこにあったんだろう。ハハハ。」



グリフィン「無事でよかった。あのまま一人でいたら溺れていたかもしれなかった。」



白うさぎ「あ、ありがとう。助けてくれて。…そのさっきはすまない。勘違いをして。私すっかり食べられるものかと。」




「まあ!グリフィンさんに食べられるですって?オホホホホ。ご冗談を!こんなに頼もしい人は他にいなくてよ?おかしな人!」



ドードーの甲高い笑い声が響いて耳がキーンとした。



特にうさぎは耳が良かったので少し痛かった。




白うさぎ「あーあー。服がびしょ濡れだ。参ったな。これじゃあまとわりついてうまく動けないぞ。」




グリフィン「服を乾かしたいのかい?うさぎ殿。」




ドブネズミ「なら乾かしたらいい!」




アヒル達「乾かしたらいい!」




それを輪の中で聞いていたドードーはこんな提案をした。




「コーカスレースをしましょう?」




そこにいた皆んなは、それはいい!と口ぐちに賛成した。











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