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美容食

[ブローニングM2重機関銃、最大射程2キロ、有効射程は6キロにもおよび、発射される12.7ミリ弾はおよそ音速の3倍もの速度で射出されます。その為800メートル迄の距離なら狙撃、、、、、、、]

 「取り敢えずこれで撃てばいいんやね?」


[、、、、、、そうです。]

何かもの言いたげな先生にこの銃の撃ち方を教えてもらい、狙いをつけて引き金を押す。


“ガガガガガガガ”と私の知る銃とは明らかに違う異質な音を立てながら銃弾が飛んでいく、激しい振動で銃身が跳ね上がり、大半の弾丸はあらぬ方向に飛んで行った。

同時に無数の瓦礫が、蛇の後方に降り注ぐ。


「す、凄いねコレ、、、、」

予想外の威力と発射音に息を飲む。

その凄まじさにピャーチは耳を伏せ尻尾を丸めてる。


[さぁ決めてしまいましょう]

先生の言葉に黙ってうなずき、再び力を込めて引き金を押す。

暴れる銃身を力で押さえつけ、蛇の頭部に弾丸を浴びせる。この銃の威力を以てしても、殆どの弾が滑り流されるが、偶然の1発が蛇の身体に喰い込んだ。

同時にそこが大きく弾け、大量の血が噴き出してくる。


「なっ、、なんか爆発したで???」


[12.7mm炸裂弾です、この弾は標的に突き刺さると炸裂し、内部から破壊していきます。さぁ、続けてください。]


「う、うん、、、」

スプラッタな未来が想像されて、若干抵抗を感じながらも引き金を押し続ける。有効打になるのは20発中一発ぐらいだろうか?それでもその一発の威力が凄まじく、蛇の肉片が飛び散っているのが遠目からでも確認できた。

体が破裂する度に蛇は”ギュー”と声に成らない悲鳴を上げるが、やがて崩れるようにとぐろが押し潰れた。


「何だか今まで鍛えて来たのがバカバカしくなるねぇ、、、。」

大姉は大きくため息を吐きながらそんな事を言う。


「はい、、、。同時に未来が末恐ろしく感じます」

キングさんが動かなくなった蛇を半ば呆然と見つめながらそう答えた。


「科学って言ったっけ?人の技とは思えない技術だねぇ」


「いやいやいや。魔法の方が有り得へんよ、計算するだけでバリア張ったり、怪我治したり。これと同じ様な威力の魔法もあるやろ?」


「威力だけで言えばこれ以上の物も沢山あるさ。でもね、そんなのを使えるのは限られた極一部のものだけなんだ、ところがこの武器はどうだい?少し使い方を覚えれば誰だって直に使えてしまう。ほんと恐ろしい力だよトーコの技は。」

確かに、誰でも均一の結果を出せる様にするのが科学の持ち味だ。


「はい、恥ずかしながらこの世界の主体が魔学である事に安堵しております。」

とはいえ、この私が責められてるような空気は何だろう、、、、。


「キングさん、安心するのはまだ早いわよ?先生が言うには魔学と科学はけして無関係な間柄じゃ無いそうなの。こんな武器を造らせないように若い世代に伝えて行くのが私達の役目よ?」

小姉までもが追い打ちをかける。


「ハイ!肝に銘じます。」

ハイじゃねーよキングさん、、、、


「私が作ったんちゃうもん、、、、、」

やるせがなさ過ぎて、思わずもんとか言うてもうたよ。


「アハハ、なんでトーコがイジケてるんだよ。そんな事よりも、さぁ、早速味見といこうよ」

私の傷心をこんな事って言った?!、、、、、ん?味見?


「大姉、、、味見って何、、、、?」

なんて言った時には既に半分ほど蛇の方に歩いてる。


「ちょっまって。えっ?!それ食べんの?!食べれんの???!」

大姉だけでなくピャーチを含めた全員が歩き出しているので慌てて追いかける。


「ガタイはデカイけど見た目も特徴もショーロースネークそのままだ。そうだろ先生?」


[はい。ショーロースネークが異常成長した個体で間違い有りません]


「マジで?!こんなデカイねんで?ちゅうか、この階層のボスやで?」

蛇を食べる事に抵抗は無いけど魔物だよ?

それを言ったらこの世界の野生動物は全て魔物なんだけど、ダンジョンボスまでその括りで良いんだろうか?

そんな事を考えてたら、既に大姉がキングさんに指示を出して切り分け始めてる。


「ウフフ。ショーロースネークってね、とっても美味しいのよ。お肉もコリコリサクサクで、食べたらお肌もプリップリになるの」

小姉は嬉しそうに話しながら、私の腰の皮袋から調理器具を漁ってる。


「プリップリかぁ、、、、、。」

この三ヶ月大姉のシゴキが酷すぎて、手入れを放棄された自分の肌を触ってみる。

食事のためと言われたら抵抗を感じるのに、美容のためと言われたら抵抗どころかより効果的にありがたく感じられるから不思議な話だ。


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