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049_山脈の主たち2 木竜、土竜


 水竜に他の竜の情報を聞いたところ、その生態についてほとんど知らなかった。

 争いを避けるために、他の竜と距離を取って生活してきたのだから無理もない。

 木竜や土竜、風龍のいる場所はわかるが、ほとんど会わない。

 闇龍、光龍たちはいる場所すらわからない。

 火竜は攻撃してくる危ない奴ら。

 火竜には気を付けてと言われた。


 次の目的地は、セシュレーヌ調べによると水竜と同じくらい御しやすい木竜だ。

 セシュレーヌの話では木竜も気性が穏やかな竜なのだそうだ。

 偵察に来た時もそんな風に見えたとのこと。


 転移術で一気に近くまで行く。


 さてどうだろう。


 木竜たちは、木々が深く生い茂る山林の中にいた。

 空を飛び回っている者はいなかった。

 しっとりとした緑色の鱗は自然と木の中に溶け込み、森と一体化していた。

 どの個体も静かで、動いてさえおらず、まるで眠っているようだった。


 近づいても、特に威嚇をされたりしない。

 薄っすらと目を開けてこっちを見て、また眠りに戻る程度だ。


 またセシュレーヌが近くにいた木竜に話しかけて、族長のいる場所を聞き出した。


 族長は大きな竜だった。

 水竜とは族長の判断基準が違うのだろう。


 こちらに気付いた族長は横たえていた首を上げた。


 水竜の時と同じようにセシュレーヌとの話し合いが最初に行われ、10分ほどして話がまとまった。

 木竜も基本的に水竜と同じで、平和を好んでいるという。

 竜なのに平和を好むとか、一見おかしな話だ。

 だけどもし、竜族がみな好戦的であるならば、同族で殺し合って絶滅しているか、そうでなければ人間に退治されているかのどちらかだろう。

 好戦的な者は早死にする運命にある。


 セシュレーヌが聞き出した木竜の目的は、木と森を守ること。

 どこかの住宅販売会社かNGOみたいなことを言う。

 木や森は木竜に癒しを与えてくれる。

 拠り所である場所を守りたいというのは、自然な発想だ。

 西にいけば広大な森があるが、あそこは精霊やエルフの領域で、自分たちの縄張りは山脈の森なのだという。


 山林には天敵がいる。

 火竜である。

 火竜はその字のごとく、火を使う。

 極めて好戦的で、火を撒き散らすため、山火事が起こる。

 水竜は火竜が現れるとそそくさと逃げるので、消火を手伝ってはくれない。

 木竜だけでは消火できない。

 戦ったところで属性的に優位な火竜に勝てないので、仕方なく退散する。

 できることといえば、森を縄穂張りにして守り、その能力で木の繁殖を助けたりするのだという。

 自然を守り、植林をする。

 環境保護団体顔負けの活動をしている。


 セシュレーヌが、俺の支配下に入れば進化して強くなることができて、努力次第で水属性をも扱えるようになる。

 また、火竜も配下に加える予定のため、利害が一致するのではないかと言ったら、快諾してくれた。


 木竜にドラゴンフルーツを与える。

 木竜がそれを食べると進化が始まった。


 身長は約2メートルほどだろうか。

 やや筋肉質でお腹周りも若干ある。

 ひげも生えたおじさんになった。

 髪の毛は木の幹と同じ、濃いめのブロンドで、目は淡い緑色をしていた。


 裸のおっさんはちょっとアレなので、服を与えた。


 木竜のおっさんが跪いて俺に忠誠を誓った。


 他の竜も進化できる者が数体いたので、ドラゴンフルーツを与えた。

 木竜はこんなおっさんばかりなのかなと思ったら、ちゃんと女性もいた。

 スラっと背が高く、出ているところが出ていて、とても良いスタイルをしていた。


 これは非常に……


「ダメです」

 セシュレーヌが言う。


 いや、だからまだ何も言っていない。


 人型に進化した者、全員に服を与えた。

 ここも水竜の時と同じように、レベリングしてもらってからの受け入れになるため、一時的に置いていくことにした。

 セシュレーヌの部下の木龍が、彼らの教官になる。


 木竜から他の竜の情報を入手した。

 火竜は話を聞かない戦闘狂。

 風竜は縛られない、自由人なイメージ。

 土竜は頑固。

 闇龍は洞窟に引きこもったまま。

 光龍は居場所は分からない。

 だそうだ。


 そういえばさっきの水竜の子がしていた、ご主人様だと認識する儀式がないようだ。

 おっさんにされてもちょっと嫌なので、何も言わないでおいた。

 きっとあれは特別だったのだ。

 そう思うことにした。




 次は土竜。


 木竜に聞いた話では、支配下に置くのは難しいのではという認識だった。

 土竜は鉱物の採れる、決まった土地にしかすまないのだそうだ。

 土地に執着があるのであれば、強くなることや、配下になることにそこまでメリットにはならない。

 支配下に入らなければ、武力行使をして土地を取り上げるぞと脅すわけにもいかない。


 うーん。

 困った。


 考える前に当たってみよう。

 相手の話を聞いてから対応を考えればいいのだ。

 最悪、一回の訪問で決着を付けなくてもいい。


 というわけで、土竜の領域まで転移した。


 採石場のような場所で、小ぶりな山が切り崩されていた。


 土竜の群れに近づいて行くと、威嚇まではいかないが、警戒されている。

 セシュレーヌの部下たちも油断無く辺りを警戒する。

 何かあればすぐに戦闘行動に入れるように。


 土竜は茶色の鱗に所々岩のような外皮に包まれていた。

 他の竜よりも防御力が高そうに見える。

 鉱物を食べているせいか、体の一部の色が変形している者もちらほらいた。

 どの部分が何色に変化するのかは決まっているのだろうか。

 もしかしたら土竜の中では色と部位によって、オシャレとか美意識があるのかもしれない。


 

 屈強そうな竜が3匹近づいてきた。

 遠目に他の竜も様子を窺っている。


 竜が何かを話しているようだ。

 目的はなんだと聞かれたらしく、セシュレーヌが族長に会いたい旨を伝える。


 少し待たされた後、許可が下りた。


 族長は群れの中で、見た目が一番大きな土竜だった。

 外皮も厚く、屈強そうに見える。

 族長の後ろには護衛の為か数匹の強そうな個体がいた。


 セシュレーヌが用を告げる。

 族長は黙って聞いている。

 今度は族長が何か話している。

 難航しそうだなと思う。


 10分後。


「支配下に入りたいそうです」


 えっ、嘘。


 土竜が土地に固執しているのは、限られた場所でしか採取できない鉱物を確保するためである。

 土竜は鉱物が大好物だ。


 いや、真面目な話。

 なんだか寒いことを言っているようだが、本当なのだ。


 珍しい鉱物や固い鉱物を食べ、強くなるのだそうだ。

 また、味もそれぞれの鉱物で異なるらしい。

 因みにこの場所の鉱物は族長の一番のお気に入りなのだとか。


 流石、土竜。


 で、セシュレーヌはどうやって説得したのか。


 第一に、支配下に入れば強くなって進化までできる。

 そうすれば今まで身体が大きすぎで入れなかった洞窟に入ることができる。

 進化することによって得られる知識と技術によって、もっとたくさんの鉱物を採掘できるようになる。


 第二に、他の勢力、例えば火竜などから害される心配がなくなる。


 第三に、仙人種に進化したり、精霊種に進化することが出来れば、自前で鉱物を創り出せるようになる。

 そしたら作り放題、食べ放題だ。


 この3つは、彼らにとってとても良い条件だった。


 条件を知るや否や、快諾したという。


 素晴らしい。

 セシュレーヌさん、なかなかやるではないか。


 あとでご褒美を考えよう。


 土竜の族長にドラゴンフルーツを与える。


 ムキムキのおじさんが現れた。

 黒くてべったりとした髪の毛に、淡い土色の目をしている。

 工事現場にいそうな、タンクトップが似合う、ちょっとイケメンのゴリゴリのおじさん。

 すぐに服を与えた。

 族長は跪いて忠誠を誓う。

 暑苦しい。


 戦闘レベルがカンストしている他の竜にもドラゴンフルーツを与えた。


 水竜や木竜よりも、進化できた個体が多かった。

 たまに火竜とやり合って、戦闘経験が豊富だからだそうだ。


 土地を明け渡さない、動かない土竜相手に火竜は何度も戦いを挑んでくるらしい。

 なるほど。


 それよりも重要なことがある。

 ゴリゴリの中に何体かすごい個体がいる。

 出るところが出ていて、引き締まるところが引き締まって。

 木竜とは違った魅力が……


「ダメです」


 もう言葉も出ない。


 何もなかったことにし、みんな分の服をアイテムボックスから出して与えた。


 同じようにセシュレーヌの部下の地龍を教官として置いていく。


 忘れずに他の竜の情報も入手する。

 火竜について、あいつらは馬鹿だから気を付けろと言われた。

 風竜は自由な奴らで、何を考えているかさっぱりわからないという。

 光龍と闇龍は強いらしい。

 しかし、洞窟に籠って出てこないから、動向が分からない。

 洞窟は迷路のようになっていで、入口と出口が何か所もあるらしい。

 山脈の地下にあるダンジョンのことだ。


 よし、次はそろそろ火竜に会ってみることに決めた。


 儀式はない。


 大いに結構。




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