第百九話 ニュー・フロンティアでの暴動 その16
もちろん、ニュー・フロンティア州政府は、惑星調査員と武装探偵による「事実上の不動産業」を禁止しようとした。
州警察・州軍は未調査地域にでの活動を拒否したので、「経済制裁」を手段とした。
未調査地域での建物を建設するのに必要な重機・建設用資材を惑星調査員と武装探偵に販売するのを禁止したのだ。
しかし、ほとんど意味は無かった。
ニュー・フロンティアの州法で禁止にしたが、罰則が軽い罰金刑でしかなかったのだ。
法案を通そうとした州議員は、当初は厳罰を求めていたが、「一般的に販売されている物を違法薬物のようにあつかうのはどうか」という意見が多かったのだ。
ニュー・フロンティアの有線ネット通信でのフリマアプリで、売買されるのを止めることはできなかった。
都市部で購入したトラクターを惑星調査員や武装探偵が、これ見よがしに堂々と乗り回した。
政治的問題に巻き込まれるのを怖れて、州警察は手出しをしなかった。
惑星調査員グループと武装探偵グループがお互いの重機・建設資材の破壊活動をするようになった。
その手段が「水」「Water」だった。
子供の水遊びのような方法だが、火器や爆発物を使って破壊すると、警察が介入するので、それを避けるためだった。
重機の精密部品や建設資材の木材など、水で濡れると壊れたり、資材として使用不能になる物をお互いに狙ったのだ。
使用されるのは普通の水ではなく、粘性の物などにして与えるダメージを多くしている。
成人した男女が水鉄砲と水の入った容器を抱えて、街を駆け回り、お互いに水鉄砲で攻撃しているのだ。
……以上が、記憶促進装置により、数秒とかからずノリオの脳に新たに刻まれた記憶である。
「日本本土の一般的なニュースでニュー・フロンティアのことは全然話題にならないので、今、初めて僕はこのことを知りました」
ノリオの言葉に小川艦長が応じた。
「まあ、ニュースというのは昔も今も『話題性』が大事だからな。毎年のように暴動が起きるのでは『新鮮味』がない。日本本土の唯一の地上波放送局である『統合日本放送協会』も昔は人間の特派員をニュー・フロンティアに派遣していたそうだが、今は人工知能の撮影スタッフロボットさえ送らないそうだからな」
西暦の二十一世紀から発達したインターネットにより、テレビの地上波放送は経営難により壊滅に追いやられた。
日本本土は「伝統と文化の保護」を重視するため、最後まで残った公共放送局・民間放送局を統合した半官半民の放送局が「統合日本放送協会」である。
ちなみに、新聞社も壊滅しており、半官半民の「統合日本新聞社」が紙の新聞を発行している。
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