第百八話 ニュー・フロンティアでの暴動 その15
惑星ニュー・フロンティア・ナンバー・ワンにおける不動産、つまり自然な状態にある惑星の土地は、すべてがニュー・フロンティア州政府の所有である。
惑星調査員による調査が終了した土地が州政府により不動産市場に出され、個人や企業などの団体が買い取るのだ。
つまり、未調査地域は、不動産売買される土地ではないのだ。
惑星調査員グループと武装探偵グループが始めた「不動産業」は次のようなものであった。
例えば、ある企業が商品開発のための大規模な研究所を建設する計画があるとする。
州政府が所有する土地を購入するのが通常の方法である。
間に不動産会社を挟むが、州政府の独占市場のため、価格は高値で固定されている。
企業は高値で購入するしかない。
その状況に「土地の事実上の低価格販売」を始めたのが、惑星調査員グループと武装探偵グループだったのだ。
未調査地域への一般市民の立ち入りは法律で禁止されてはいない。
一般市民が立ち入らないのは、有線通信インフラが整備されてない土地では日常生活ができないからだ。
怪我や病気になっても救急車は来ないし、保険も適用されない。
一般市民が生活するにはリスクが大き過ぎるのだ。
そのため、惑星調査員と武装探偵が未調査地域で怪我や死亡した場合の保険金は高額になっている。
少し、話が逸れたが、一般市民が未調査地域に住もうとは普通は思わない。
しかし、例えば、有害物資が発生する研究所や工場は様々な規制がされている。
有害物資を無害化するための設備が必要なためコストが増すのだ。
しかし、未調査地域では工場を建てても規制が無い。
未調査地域で建物を建築することが想定されていないからだ。
例として、ある企業が新しく工場を建てたいとする。
武装探偵グループが自分たちが確保している土地を提供する。
未調査地域の土地は本来売買できないが、武装探偵グループは、「自分たちの活動のために必要な施設」として工場を建てる。
企業は、工場と土地の代金を武装探偵グループに名目上は「寄付」する。
工場の従業員は全員「武装探偵助手」にして保険の対象にした。
惑星調査員グループも「補助調査員」という役職をつくり、同じ対応をした。
未調査地域は、惑星調査員グループと武装探偵グループにより、無計画に土地開発がされて行った。
ニュー・フロンティア州大学の日本史を研究している教授は「この状態はまるで『墾田永年私財法』のようだ」と発言しました。
古代日本で土地がすべて国有地だったのが、その法律で崩れたのとは違い、ニュー・フロンティアでは法律が対応できず崩れたのでした。
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