エピローグ
――――――――薄暗い石室を沈黙が支配する。
長い時間が流れた後、魔法使いの女が声を発した。
「でも、でも未だに私達人間は生きているわよ」
「だが、たしかに地上を徘徊する魔獣の数が以前より減ったという話はあるな。確かその昔は、今よりはるかに多くの魔獣が闊歩していたという……」
剣士の男が呟いた。
「つまり、その還魂を集めているために、魔獣が減っていると……、そういうことかしらね……」
魔法使いの女は納得したように呟いた。
「そう……、となるとその術は、今尚働き続けているということかもしれないわね……」
セレナの呟きが、暗い石室に虚しく木霊した。
「しかしなぜ、その先生はあなた達をこんなところに閉じ込めるような事をした?普通に転移魔法を唱えれば良かったではないか」
弓使いの男が言った。
それに対し、ラルクが答える。
「あくまで予想でしかないのだけれど、先生は、その『強力な何か』が生まれ出た時に、それでも尚見つからないような場所に僕達を隠そうとしたんだと思う。人類の絶滅を防ぐために……」
「……………………」
暗い石室を、沈黙が支配する。
いつ世界が滅ぶかも知れない恐怖。それは冒険者たちの心に暗い影を落とし、蝕んでゆく。
そんな雰囲気を扶植するように、セレナが言った。
「まあ、そんなことは気にしても仕方ないわ。いずれにせよ世界の終わりはいつか来るのよ。ならば今を精一杯生きればいいじゃない。だから…………」
石化を解いてくれと頼んだ。最早、自分達が待つ必要はないと。世界が在るうちに、精いっぱい楽しみたいと。
救われなかった世界は、しかしいいまだ動いている。それでいいのだと。
なぜか仏教的な思想が混ざっている気がしますが……
別に宗教モノではありません。




