間章その2
前話で第二章が完結しました。
すでにストックが尽きた状態で書き続けること数カ月……
そろそろ厳しくなってきました…………
「対魔獣用人間兵器……」
ロッドを携えた魔法使いの女性が、目を伏せながら呟いた。
「魔獣の侵略が酷くなると、必ずと言ってよいほど、研究される、残酷な手段ね……」
「ある意味では最も合理的な手段だが、人はそういうときに、合理的な手段をとれないものだ」
弓を傍らに置いて、若い男が訳知り顔で言った。
「ってかあんた、人間兵器を使った方がいいと思う訳?」
「そりゃあ、人類が全滅するぐらいなら、人間兵器でも何でも使うしかないだろうよ。数人の犠牲で人類が救われるんなら、その方がいいだろうよ」
「ちょっとだれか、こいつに道徳というものを教えてやってよ」
狭い石室に、冒険者達が言いあう声が木霊する。
「二人ともとりあえず黙っとけ、耳にこたえる」
「そ、それはそうと、そのあとは、あなた方はどうしたんだ」
盗賊の男が、ラルクとセレナに聞いた。
「そのあとは、しばらくこれと言った事件も起こらなかった。先生の機嫌もいつの間にか治って、僕達の訓練がいよいよ本格的になっていったのさ」
ラルクは当時をなつかしむように語った。
「そして冬がやってきた。私達の隠れ家は、雪が降る地域に建っていたから、冬の内に、私達は魔王と戦う準備を進めた。そのころには魔獣の侵略も凄いことになっていて、ついにはゼルメスまでもが、占領されてしまった。しかし、私達はただひたすらに耐えて、行動を起こす機会をうかがっていた。チャンスがやってきたのは、次の春、ほとんど雪が溶けて、道が通れるようになったころだったわ……」