第六十九話 告白
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父上の口から発せられた“不老”の文字に俺はあまりの衝撃で、時間が止まっていた。
「お前が衝撃を受けるのはわかるが、これは事実だ。実際に私が始めて会った18年前と見た目は全く変わっていない」
「女性は見た目が変わらないと言われているからな。シルトクレーテ男爵も気が付かなかったのだろう」
そうだよな。陛下が言うように女性は見た目で年齢が分かりにくいからしょうがないか...
って!そんなわけないだろう!
子供の時は誰よりも一生にいたんだぞ。見た目の変化に気づかないわけがない。
そして、師匠の見た目は変わっていた。
だから今まで俺は気づくことはなかったと思う。
「しかし、俺が覚えている限り師匠は年相応に変わっていったと思うのですが?」
「は?化粧や服装はお前の成長に合わせて変えていたが、見た目は変わっていなかったぞ。もしかしてエルシアンは何も思わなかったのか?」
「う~ん」
何も思わなかったのかと言われたら、それは違う。
だが、それは師匠の見た目ではなく会話によってだ。
「まぁ、不老が身近にいるとは普通考えないからな。気づかなくてもしょうがないか。しかし、これからは気を付けてあげろよ」
「わかりました」
しかし、一度師匠は俺との婚姻を断っているのか。
そう考えると意外にショックだな。
「なぜ師匠は婚姻を断ったのでしょうか?」
「知らん。私も何度か考え直すように言ったのだが、モモの考えは最後まで変わらなかった」
「そうですか...」
父上でも知らないとは。
言えない事情でもあるのだろうか。
「お主のことを本当に愛しているのだな」
「え?」
ここで陛下が口を開いた。
「我はまだそこまで長くは生きていないが、何よりも苦しいのが別れだ。モモナ嬢もお主との別れが辛くてできるだけ距離を取ろうとしたのではないか?」
「それでですか?」
「そうだと思うぞ。我も父上と母上が亡くなった時はそれはそれは悲しかったものだ」
確かにキシリカと茉莉奈が死んだとしたら、立ち直れる気がしない。
俺が魔導士だとしても男性よりも女性の方が長生きするので、俺の方が先に寿命が来るかもしれない。
だが、師匠が確実に俺の方が先に寿命が尽きるので、そう考えると断ったのが理解できる。
「フッ、そわそわしているぞ。早く帰りたいのか?」
「...はい」
早く帰って師匠を問い詰めたい
っていうのは嘘で、今自分のことをどう思っているのか気になっている。
「では、そろそろ解散とするか。他の仕事もまだあるからな」
「わかりました」
「それではこれで終了といたします」
父上が終わりの合図をした後、陛下が退場し、謁見は終了した。
ここで家に直行したいのだが、さすがに父上の小言を聞かないと後で大変なことになりそうなので、父上の元に行かなければならない。
「私のことはいい、早く家に帰りなさい」
しかし、父上は気を使ったのか断った。
「ありがとうございました」
何に対して感謝を伝えたのかは自分でもわからないが、感謝の言葉を言った後、急いで謁見の間を出た。
この時にロメオも何か言いたそうだったが、俺は無視した。
結局あいつは何のためにいたんだ?
◆◇◆◇
急いで家に帰った後、師匠を探す。
しかし、全然見つからない。
めったに街に出歩かないため、孤児院の敷地内にいるのは間違いないのだが見つからない。
10分ほど探していると、師匠の正体の所為でおきた興奮も冷めてくる。
よくよく考えると師匠を見つけたら俺は結婚を前提に告白しなければならない。
そう考えると緊張してきた。
だが、俺が王城に行く前に師匠は自分の名前を出せと言っていた。
多分だが、こうなることを予想していたのかもしれない。
そう考えると、上手くいく気がしてきた。
だって、俺と結婚することを前提に自分の名前を出すように俺に言ったのだろうから。
そういえばキシリカと茉莉奈には告白した記憶が無い。
結婚する前に手を出したからそこら辺があやふやになっている。
それでも師匠に告白するのは王命なのですでに確定だ。
なので一旦部屋に戻ってセリフを考えようと思う。
部屋に戻って俺は驚愕する。
信じられないと思うが、師匠は俺の部屋で寝ていた。
多分だが、今日の朝に茉莉奈が部屋にこもってしまったのでキシリカとの情事の後のシーツを変えていない。
俺は気にしないが、師匠も同類なのか?
そもそも湿っていたりしていたら嫌だ。
少し喚起をした後、大の字で寝ている師匠を起こす。
本当にいつでも寝巻のような服を着ているんだな。
「師匠、起きてくれ。大事な話があるんだ」
「ん?...帰ってきていたの?」
「もしかして俺が王城に向かってからずっとここで寝ていたのか?あれから2時間くらいあるんだけど」
「まだ2時間しか寝ていないの?もうひと眠りするわ。...それにしてもあなたの枕良い匂いがするわね」
「いや、それキシリカの匂いだから。俺だけで寝るわけないからわかるだろう?」
「...それもそうね」
「わかっていなかったのか」
俺とキシリカの夜を想像したのか急に師匠の顔が赤くなった。
まさか考えなしで寝ていたとはこれから告白をするのが心配になる。
しかし、こんなことで顔を赤くするなんて思っていたよりも初心なのかもしれない。
「ほら、そういうのを考えるのは後にして隣に座ってくれ。大事な話があるって言っただろう」
「そ、そうね。そうだわ、大事な話があるのだったわね」
顔を赤くした師匠が隣にポツンと座る。
いつもなら落ち着きもなく座るのだが、変なことを考えた所為で謎に緊張しているようだ。
更にその緊張が伝わってきて、俺も緊張してきた。
「聞いてほしい」
「さっきから聞いているわよ」
「俺の恩恵の所為で問題になっていたことについてなんだけど、師匠のおかげでどうにかなったんだ」
「そうなのね!よかったじゃない。もっと私に感謝しなさい」
「ああ、本当にありがとう」
「なによ、いつにもまして素直じゃない」
「それで、師匠が言っていたようにここだと言う時に師匠の名前を出したんだ」
「え?ちょっと待って!」
「だから俺たち結婚することになった。急な話で悪いけど師匠結婚をしよう!」
勢いに任せて言いたいことをすべて伝えた。
話している途中に表情が曇ったら最後まで言えないと思ったので目をつぶり、告白と同時に手を前に出した。
これで後は手を握るのを待つだけだ。
しかし、いくら待っても手を握ってくれない。
もしやこれは失敗か?失敗してしまったのか?
でも目の前に師匠の気配は今もする。
部屋から出て行くこともない。
疑問に思い片目でうっすらと師匠を見る。
なんと師匠は俺の前で気絶していた。
原因は何のか予想が付く。
この予想が正しい場合どれだけ師匠は初心なんだろうか。
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