第六十一話 報告
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「ねぇ、2つ魔法陣があるってことは次の階層があるってことでしょ?どうするのよ?」
「...どうしようか」
3人ともゴールしたと思ったら、そこはゴールではなくまだ続きがあると伝えられ、全員ダンジョンマスターに勝った時に喜んでいたことが嘘のように落ち込んでいる。
前世で中学生の時に部活でマラソンをしていた時に同じことが起きて先輩がブチギレていたことを思い出した。
「普通に考えて選択肢は2つある。ここで体力と魔力を全回復するまで休んで次に進む事と、ここでダンジョン攻略を終わらせて帰る事。申し訳ないけどエルくんが決めて」
「そうね。私もあなたに従うわ」
2人とも今まで俺が引っ張ってきた事と、最後まで戦っていた俺に気遣って判断は俺がして良いと言ってくれた。これは別に俺が責任を押し付けられたわけではない。
ここは素直に俺の気持ちを伝えたほうがいいだろう。
「俺は帰ったほうがいいと思う。さっきの魔竜人はダンジョンマスターで間違いなかった。ということは必ずこの先にそれ以上の未知なる存在がいる。ここで手こずった俺たちには進む資格はない。あと、素直に言ってもう帰りたい」
「ハハハ、エルくんらしい素直な理由だね。でも僕も限界だから賛成だね」
「そうね、あなたらしいわ。私もこれ以上は戦えないしね。茉莉奈も寂しいがっているだろうし早く帰りたいわ」
「よし、なら帰るぞ!」
キシリカもロメオも俺の意見にノータイムで了承をする。元々俺の意見には賛成するようにしていたのか、それとも最初から帰りたかったのかは分からないが、皆の意見が揃ったので次に進まず帰ることにした。
「はぁ〜、結局想定通りの攻略日数になったな。でも3人揃って帰れるから別にいいか」
「そうだよ。何ならこのダンジョンは今までのダンジョンと違いダンジョンマスターの続きがあるからね。これを報告すれば追加の褒美がもらえるよ」
「でもまた潜らなければなりそうだな。お前は確定だろう」
「うん。でもエルくんも十中八九参加だと思うよ」
「まぁ次は必ず王宮魔導士全員で攻略だと思うから、俺の仕事はサポートかな?前線には出ない」
「もうこれからの話はいいから帰りましょうよ。それともまだ調査か何かしなければならないの?」
魔導士2人でこれからのことを話し合うっていると、キシリカがもう帰ろうと言ってくる。
「いや、もう何もすることはないかな。帰るよ」
「ええ」
「そうだね」
3人で脱出用の魔法陣に乗り込む。ここで間違って違う魔法陣に乗ってしまう失敗はしない。丁寧に脱出用と書いてあるしね。
魔法陣が白く光り発動する。眩しくて目を瞑ってしまい、次に目を開くとそこはダンジョンの入り口の前だった。
外は明るいがまだ肌寒いのでどうやら日が上り始めてすぐのようだ。ちょうど茉莉奈が起きてくる頃だろう。
「転移魔法で帰るのでしょ?早く我が家に帰りましょう」
「ちょっと待って。まだ魔力が回復していないんだよな。ちょっと寝させて」
「そうだったわね。なんだかんだ言って魔竜人と戦った後だったわ。なんであなたはそんなケロッとしているのよ」
「別にいいだろう。ほら膝枕して。ロメオはもう腕が治ったんだから見回りしてこい」
「なんかいきなり我儘になったわね。まぁいいわ。あなたのこと心配だしね」
馬車の中でキシリカが正座をしたのでそこで寝ることにする。1週間お風呂に入ってないのにいい匂いがするのはさすが女の子って感じがする。
「1時間ほどで回復すると思うから起こしてね」
「わかったわ」
そこから一眠りをする。早く帰れよと思うかもしれないが、俺だって帰れるなら早く帰りたいわ!
◆◇◆◇
転移魔法で家に帰る頃には日が完全に昇っており、孤児院の庭には子供達が元気よく遊んでいた。どうやら今日は学校が休みらしい。
もっと進むと孤児院の前に茉莉奈がベンチに座って待っていた。
「ただいま。家の中で待っていてよかったのに。体調は大丈夫なのか?」
「お帰りなさい。旦那様達がいないので暇だったんです。なので最近の日課はここで旦那様の帰りを待つことだったんですよ。キシリカ様もお帰りなさい」
「ただいま、茉莉奈。お腹はまだ大きくなっていないわね」
「まだあれから1週間しか経っていませんからね。そんなすぐに大きくなるほうがびっくりしますよ」
「それもそうね。元気そうでよかったわ。寂しがっていないか心配だったのよ」
「寂しかったですけど、毎日モモさんが家に来たから1人ではなかったですね」
どうやら師匠が茉莉奈の様子を見てくれていたようだ。もしかしたら寂しかったのは師匠の方だったかもしれないが、今はどっちでもいいか。
茉莉奈のお腹を触るとまだ全然ぽっこりしていない。でも茉莉奈が健康そうだったので俺は安心した。
ダンジョンでの話は夕飯の時に話してあげよう。
「じゃあ、ロメオお疲れ。これからも頑張れよ」
「えっ!今から歩いて帰らないといけないの!転移魔法で送ってよ。それに陛下への報告はエルくんもついてこないとダメだよ!」
「...微熱って言っといて」
「無理だよ!早く行けばすぐに帰ってこられるからさっさと行こうよ」
「わかったよ。ちょっと行ってくるね。キシリカも留守番よろしく」
「了解。行ってらっしゃい」
「ああ」
今度はロメオと2人で王城に転移をする。孤児院から王城まで歩いて1時間かかるのだがロメオも歩きたくないようで、俺の転移魔法に入ってきた。
王城ではロメオの王宮筆頭魔導士は身分が高いので、すぐに謁見の準備をしてくれた。陛下の今日の用事がもうなかったというのも大きいだろう。
「ロメオ・リン・ヴァウグリフただいま戻りました。これからダンジョンについて報告したいと思います。」
「2人ともよくやってくれた。キシリカも無事に戻ってきたようだしのう。報告の方も頼むな」
「わかりました。まず今回探索したダンジョンは素材が高価であるドラゴン類の魔物で形成されたダンジョンとなっているのですが、その分攻略は難しくなっております。なので、ダンジョンマスターまでの攻略をするのであれば、2人以上の上級魔導士が必要だと思います」
「なるほどのう。攻略はできたのか?」
「それがですね、ダンジョンマスターを倒し恩恵を授かることはシルトクレーテ男爵が成し遂げました。しかし、なぜかダンジョンマスターを倒した後に次の階層に進む魔法陣が出てきたのです。その時は全員満身創痍だったので先には進みませんでした。なので、完全に攻略できたというわけではありません」
ロメオの言ったことに周りの魔導士が驚き始める。今周りにいるのは武官でよくダンジョンに入る人達なので、興味があるのだろう。
「そういうことは今までにあったのか?我は聞いたことがないぞ」
「いえ、私も聞いたことがありません。次に進むとしたら上級魔導士が少なくとも5人以上必要だと思います。それに上級魔導士以外の参加は悪手だとも私は思います」
「そうだな。我も無駄に兵を使い潰したくはないからな。それに最近ダンジョンが多く発生していることに関係しているのかもしれないから、調査に出さなければな」
いくら危険と言っても放置することはできないので、陛下はまた調査に上級魔導士を出すという。
これは俺とロメオの予想通りなので驚かないが、チラッとこっちを見たのが少し怖い。
「もう他のダンジョンの攻略は終わったのですか?」
「ああ、どのダンジョンも今までのダンジョンと変わらないらしいから、上級魔導士にとっては簡単だったらしい。ヴァウグリフ男爵達が運悪くハズレを引いたということだな」
「あははは」
「シルトクレーテ男爵もご苦労だったな。また呼び出すかもしれないから準備をしておいてくれ。異世界人の方も変わりなくよろしく頼む」
「わかりました」
「それでは報告ご苦労。詳細はヴァウグリフ男爵が資料にまとめておいてくれ。帰りに報酬を貰っていくことを忘れずにな」
「「ははっ!」」
こうしてダンジョン攻略の全てが終わった。しかし、またダンジョンに潜ることがほぼ確定したことわかったので少し気分が落ち込む。
帰ったら茉莉奈にいっぱい甘えるぞーーーーー!!!
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