第五十八話 魔竜人
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5回にわたるボスラッシュにより俺たち3人は激戦を繰り広げて来た戦士のような顔になっている。
どの階層も火竜、水竜、葉竜、岩竜、骨竜、あと身体中が真っ白に光っている光竜の6種類がランダムに出てきたので攻略は簡単に出来たと思うが、それでも一体一体が今まで出てきた魔物よりも強いので、神経は削られた気がする。
26階層にたどり着いた俺たちはまず目の前の様子を窺うが、この階層からはボスラッシュは終わったようだ。
時間短縮や高額な素材が手に入ることによって、神経が削られると言っても俺たちにとってはうまうまな階層だったので結構ショックだ。
俺は探知魔法をかけると少し進んだところに階段が感じられたので俺は2人に教える。
「少し進んだところに階段があるから歩こうか。疲れたと思うけどボス部屋まで我慢してくれ」
「わかったよ。魔物とかはいるのかい?もし、エルくんがキツイなら僕が戦うよ」
「そう?ならお願いするよ。今のところ魔物は感じられないけど、ここまで来て魔物が出ない簡単な階層が出てくるわけないからな」
正直に言って、今の俺はもう集中力がほとんどなくなっている。さっきまでめちゃくちゃ集中して魔物を倒していたし、もう何日もキシリカ達とやっていないので、今の俺の脳内はエッチな事ばっか考えてしまう。
今もロメオと話しながらも俺の目線はキシリカの引き締まったお尻に向いてしまっている。
「私もまだ大丈夫よ。先に進みましょう!」
「無理はしないようにな」
剣士のキシリカは俺たち魔導士に比べて1番動いているのに、まだまだ元気のようだ。ちなみに当然のように覇気を纏っている。
この階層の魔物がキシリカの覇気で逃げるのかはわからないが、都合がいいのでこのままにしている。
そして、俺がお尻を見ていたことはバレていないようだ。
「じゃあ、右の壁に沿って歩いてくれ」
「わかった」
ロメオを先頭にして、後ろから俺が道案内をする。
意外にもロメオの背中は頼りになるな。
そこから魔物はチラホラ出てくるものの、普通に弱い魔物でロメオが魔法で叩き落としていく。
あっという間にボス部屋に着いてしまった。
「あれ?なんだったんだ?めちゃくちゃ簡単な階層だったな」
「わかんない。僕もこんなことは初めてだよ」
もしかしたら21階層から29階層は最初の5階層に力を入れて準備をして、その階層で倒すことを考えられて作られたのかもしれない。力の分配を行なったのか。
ダンジョンにそんな知力があるのかはわからないが、その可能性は高いと思う。
「まぁ、考えてもしょうがないわ。それに次のボスはあなたの考えが合ってればダンジョンマスターなんでしょう?なら休むわよ」
まだ誕生したばっかりのダンジョンと聞いたので、まだそこまで成長していないと俺は思った。多少ドラゴンが出てくることによって攻略難易度が上がっているが、成長速度は変わらないだろう。
「そうだね。キシリカの言う通りだ。飯にするか」
「僕もお腹が空いたよ。それにしてもこのパーティも今日で最後か。なんだか寂しくなるね」
「別に、俺はこれからもキシリカと一緒だからな。ロメオはこれからもむさ苦しいおじさんたちと頑張ってくれ」
「ひど!そこまで言わなくてもいいじゃん。もしかしたら僕とエルくんの立場が変わっていたかもしれないのに」
「たらればの話は興味ないね。もうこれは覆すことができない事実なのさ。それに転移魔法が使えないお前は俺の代わりはできないよ」
「それもそうだ」
ロメオはそう言ってポトフを美味しそうに食べる。相当お腹が空いていたのか、それとも食べ納めをしているのかはわからないが、いつもよりいっぱい食べているようだ。
ポトフは用意した半分も消費できなそうだったので、俺がたくさんおかわりをさせたのもある。
「はー、もうお腹いっぱいだわ。今日は何時間寝ていいの?」
「いっぱい寝ていいよ。俺もロメオもかなり魔力が消費してしまったから、満タンで挑みたい。それに相手は魔竜人だろうからね。作戦を考えないと」
「魔竜人ってのがいるのね。そいつは強いの?」
「強いよ。なんてったってエルくんが死にそうになった相手がこいつだもんね」
「そう言うこと」
ダンジョンマスターは少ないが種類がある。もちろん種類によって強さが変わってくるのだが、魔竜人はその中でもトップ3に入れるほどの強さを誇る。
魔竜人は簡単に言うと魔術師タイプの竜人で様々な魔法を使うことができる。
なので、どちらかというとロメオより俺に似た魔術師だ。
「魔術師なのね。それなら私の攻撃は通じるのかしら?」
「序盤は通じないだろうね。でも後半になると防御よりも攻撃に集中するかもしれないと言うか、そうなるように考えながら戦う。それまで隠れておいてくれ」
「僕とエルくん、どっちが前衛をする?僕としては前に出たい」
「ロメオがそれでいいなら前衛はお願いする。この中で回復魔法は俺しか使えないし、ロメオなら必ずダメージが通るからな」
「わかった」
「細かいことは一旦寝てから考えよう。今の眠たい状態でいい案が浮かぶとは思わない」
「ならエルくん達から寝ていいよ。僕が寝ている時に考えたらいい」
「そうだな」
キシリカはもう俺の方に寄っかかって寝落ちしていたので、横にして寝かせる。俺もそれからキシリカの横で寝ることにした。
それにしても魔竜人か最後のあれだけは気をつけないとな。
◆◇◆◇
魔力は回復した。キシリカもいつものように元気になった。ここには参謀タイプがいないが作戦は考えた。準備が完了した俺たちは満を辞してドアを開ける。
俺の予想通り相手はあの憎き魔竜人だ。こいつがいる時点でこのダンジョンの最終階層がここで確定した。ならあとは全力を出すだけだ。
『愚かなる侵入者よ。さっさと死んで地獄に堕ちろ』
「エルくん、なんかガウガウ言っているけどわかる?」
「...わかる」
俺の才能は魔物の言葉もわかるところが嫌なんだよな。魔竜人は敵意ビンビンなので気にならないが、たまに子供のように話す魔物がいるので倒しにくい時があるんだよな...
「気にせず突っ込むぞ。作戦は忘れるなよ」
「わかった」
ロメオが貯めていた魔力を使ってお得意の砂嵐を唱える。
魔竜人は魔法で作った障壁を作るが、その障壁を貫通して砂嵐が入ってくるのでまだ絵始めた。
しかし、すぐに身体中が緑色に輝きだしたのでどうやら回復魔法を全身にかけたようだ。これによって魔竜人は無駄に魔力を使わなければいけなくなった。
「バフをかけるぞ」
俺はその間にロメオに身体強化の魔法をかけたり、キシリカに幻影の魔法をかけて姿を消す。
その後、火炎魔法を魔力操作で凝縮して一点集中で障壁を破ってみる。しかし、全く通らずギロッと睨まれただけだった。
魔竜人も動き始め、最初に近くにいたロメオに向けて雷魔法を乱れ打ちする。ロメオはそれを真っ向から受ける。ロメオでも障壁を張れるので、攻撃は通らない。
『何?』
それを見た魔竜人はロメオの砂嵐もあって、劣勢だと思い焦り始める。
すると空間魔法から気色悪い杖を取り出す。昔に戦った時も取り出したのでこれは予習済みだ。
「今だ?ロメオ、砂嵐を抑えてくれ」
しかし、空間魔法は回復魔法よりも消費魔力が多いので一瞬障壁が緩んでしまった。
それに気づいた俺は転移魔法で魔竜人の上に移動をして、全力で魔力を込めた矛を振るう。
これは魔竜人に攻撃をすると言うよりも、取り出した杖を叩き折ることが目的だ。
杖を叩き折られた魔竜人は俺の首を鷲掴みしようとするも、また転移魔法で後方に下がる。
「エルくん、ナイス!」
それにムカついた魔竜人があからさまに顔が真っ赤になり、怒ってしまった。そして、体が大きく膨れ始める。
どうやら第二形態に移ったようだ。
「ロメオ気を引き締めろ」
「わかってるよ」
ここまでは作戦通りになったが、同じように続くとは限らない。
キシリカにあれだけ油断をするなと言っていた俺が気を抜くわけにはいけないな。
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