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異世界転移は簡単でした!  作者: 魔竜之介
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第五十九話 形態変化

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 第二形態に移った魔竜人は大きく膨れ上がり、爆発してしまう寸前で止まった。そして、次にその大きな体を整え始める。

 今攻撃しても障壁が邪魔をして魔法が通じないだろうから、様子見をする。

 無駄に魔力を消費しないためだ。


 膨らみ皮が張っていた体がみるみる筋肉質に変わり、大きなドラゴンが完成した。今まで見てきたドラゴンよりも模様が綺麗で翼が大きく、色もドス黒い色をしているので、男の俺は不覚にもかっこいいと思ってしまう。


「エルくん、障壁を!」


「ああ、任せろ」


 体が完成すると同時に火属性のブレスをはいてくる。

 部屋全体にはかれたブレスは避けるスペースがないので、障壁で防ぐしかない。後ろには防ぐことができないキシリカもいるのでしょうがないしな。


 長いことはかれたブレスが終わり、また息を吸い込もうとした瞬間に俺とロメオが土魔法を口に目掛けて放つ。

 俺は大きな石の状態の土魔法を、ロメオは貫通を付与していない砂状の土魔法を使うことで肺に砂が溜まりブレスが使えなくなる時があるからだ。


「ロメオ、どうだ?」


「綺麗に入ったね。多分効いていると思う」


 咽せ始めた魔竜人に俺は間髪いれず氷魔法をレーザーのように使い攻撃をする。

 ドラゴン形態の魔竜人は障壁をやめて、身体強化による防御力上昇をするので魔法は効きやすくなる。


 魔法で作り上げた障壁は魔法に特化した防御で、身体強化は物理に特化した防御なので第一形態の時よりも魔法が通じるのだ。


「攻め時だ!」


 ロメオもさっき受けた雷魔法のお返しとばかりに雷魔法を使う。

 脳天に雷魔法を受けたことで脳震盪を起こしたのか、少しフラつく。


 そこをチャンスだと思い、かなりの魔力を消費して俺が魔竜人の右腕に矛を叩き込んだ。

 さすがに魔物の中で最強を誇るドラゴンだとしてもこの攻撃で腕が耐えるはずもなく、綺麗に千切れる。


「よし!作戦通りだ。さすがに2回目だと余裕だな」


 しかし、そう油断した発言をした瞬間千切れた右腕が俺に目掛けて器用に襲ってきた。

 いきなり鷲掴みにされたことで矛を落とし、転移魔法が使えなかった俺は一気に壁に叩き付けられた。

 俺は口から血を吐き、一瞬で体力を削られる。


 まさかトカゲの尻尾のように千切れても動かすことができるとは思わなかった。


「エルくん!早く立ち上がって!」


 まだ力尽きてない右腕は追撃を俺にしようとまた襲いかかってくるものの、両足が折れてしまったのか、立ち上がることができない。


「一撃が重すぎだろ...」


 俺はなんとか転移魔法を使い後方に下がる。

 それにからぶった右腕は力尽きたように倒れる。実際に力尽きたのだろう。


「少し時間をくれ!」


「私に任せて!」


 俺は折れた足を回復魔法で治しつつ、周りの状況を見張る。

 今まで隠れていたキシリカが飛び出したものの、物理攻撃が効きづらい今の状態にどうするのか気になったからだ。


 キシリカには戦う前に魔竜人のことについて教えたので、考えなしで突っ込むわけはないだろう。


 ドラゴン形態の魔竜人は右腕を失ったことで、四足で体を支えることができず、顎で体を支えている状態だ。涎が垂れ、グルルと唸っている。

 頭の位置が下がり、狙うとしたら絶対に首だと言う状態になった。


 できれば第三形態に移る前に首を落とし、倒しきりたい。

 今は何より俺が攻撃に加われないのが痛いのだ。


 そう考えているとキシリカがロメオが放った雷魔法を奪い必殺技の形に動いた。


「マジか!」


 まさかこのタイミングで使うとは思わなかった。

 実はロメオの魔法では魔竜人の首を切り落とすことができない。なぜなら風魔法以外の魔法は打撃系の攻撃になる。簡単に言うと剣や斧よりもハンマーやヌンチャクのような攻撃と思っていい。

 しかし、キシリカが政宗を通して雷魔法を使うことで斬撃にすることができるのだ。


 しかも、まだ詳しく調べていないからわからないが何故か普通の魔法を放つ時よりも威力が上がる。これは近くで見た俺だからわかるがあからさまに違った。


「これはいけるぞ!ロメオ、キシリカの剣に魔力を注いでくれ!キシリカ切り落とせ!」


「このまま魔力を注げばいいってことだな。任せて!」


「キカ・スラッシュゥゥゥゥ!!!!!」


 キシリカが覇気を、政宗が魔力を纏い魔竜人の首めがけて剣を振るう。

 その瞬間爆風が起きた。


「やったのか?」


 俺はキシリカの剣の衝撃で爆風が起きたと思った。

 パワータイプの剣士同士が戦うと稀に剣と剣がぶつかる際に衝撃で風が起こるからだ。


 しかし、風に色がついている。水蒸気のような真っ白い色だ。

 これは一度見たことがある。魔竜人が第三形態に移るときのエフェクトだろう。


 何も見えない状態でも2人の状態を確認しなければならない。


「おい!2人とも無事か?返事をしてくれ!」


「僕は大丈夫。けど左腕が動かない。一旦下がる」


 ロメオは簡略的に答える。


「わかった。キシリカ!返事をしてくれ!キシリカ!」


 全く返事が返ってこない。俺は自分に回復魔法をかけ終え、探知魔法をかける。すると気持ち悪い大きな魔力反応とこっちにゆっくり下がってくる魔導士の反応と、俺よりも後方に壁にめり込んだ人の反応がある。

 この壁にめり込んだ人の反応がどうやらキシリカのようだ。


 俺は部屋を半分に分けるように大きな土の壁を土魔法で作り、たまたま俺のところにたどり着いたロメオを抱えて転移魔法を使いキシリカと思われる場所に転移する。

 そこには壁に埋まったキシリカがいた。斬る時にジャンプをしていたのでそのまま暴風によりここまで吹き飛ばされたのだろう。


 血がもの凄く出ているが、どうやら気を失っているようなので一安心だ。しかし、少しでも回復魔法が遅れていたら危なかった。

 そう考えるだけで俺は冷や汗が出る。


「ロメオも回復魔法が必要だろう?左腕を出せ」


「いや、時間がない。僕は回復薬でなんとかする。それよりもエルくんは魔竜人の相手をしてくれ。あいつは相手がいないと一瞬でここまで辿り着くよ」


「...そうだな。任せろ」


 俺は上級の回復薬を取り出しロメオに渡す。上級と言っても俺の回復魔法よりも劣るので全回復することはできないだろう。


 俺はまた転移魔法を使い魔竜人の元に転移する。


 そこにはほとんど人間と言っていいほど人間に近い姿をした魔竜人がいた。

 身長も160cmほどで街でよく見る少年のようだ。


 しかし、ビンビンと殺気を感じる。右腕がないので、それを切り落としたのが俺だとわかっているのだろう。

 魔力も変わらず感じるが最初の頃に感じていた時の5分の1ほどしか感じられないので、相当ロメオの砂嵐が効いているようだ。


 ロメオとキシリカは最後まで頑張った。なら最後は俺の出番だな。

 これを頑張った後、家に帰ったらキシリカと茉莉奈に十分褒めて貰おう。

 陛下と王宮筆頭魔導士から褒められてもぶっちゃけ嬉しくともなんともないからな。


 そうふざけたことを考えながら空間魔法から2つ目の矛を取り出す。

 実はこの矛、俺がこの世界に来た時に同じくこの世界に来たと言われている。


 なので、俺はこれが俺の神から与えられる転生特典なのではないかと思っており、この話を聞いた時に何百枚という金貨を使って買ったものだ。


 その名も“天之日矛”。太陽神が依代にした矛だ。


 俺はそれを笑って魔竜人に構えた。

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@doragon_narou8で検索したら出ると思います。名前は魔竜之介です。

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