第三十八話 ダンジョン
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「よし、行こうか!」
「ええ」
「さすがに緊張してきましたね」
少し日が昇りダンジョンに行く準備が整った。今日は久しぶりに日が昇る前に起きたので少し眠たい。
流石にあの寝坊常習犯であるキシリカは1番に起きていたが。
「防具は何とかなってよかったよ。今からじゃ店は空いてないからな」
「あなたすごいの持っているのね。こんな良い装備王家にもなかったわよ」
王家の防具類は性能よりも見た目重視なのでおしゃれに興味のないキシリカからしたら良い装備とは言えないのだろう。
俺のは逆に性能重視だ。
「昔に戦闘経験を積む時にダンジョンにいる魔物をたくさん倒さなければいけなかったからね。その時にいつの間にか良い装備が集まっていくんだよ。でもほとんど空間魔法に死蔵していたけど」
「売れば良いのに。でも今日は役に立つわね」
キシリカは防具や武器類はしっかりと持ってきていたのだが、夫の俺からしたら不安だったので、俺が持っていた防具を渡した。この装備なら魔王でも倒すことはできるだろう。
キシリカに渡したのは主に二つ、聖女のティアラと肩代わりの指輪だ。聖女のティアラは傷や疲労などを少しずつ自然回復してくれる装備で、肩代わりの指輪はその名の通り致命的な攻撃を肩代わりしてくれる。
肩代わりの指輪はあまり珍しくないのだが、聖女のティアラは多分俺しか持っていないと思う。
「過保護すぎる気もするけど…茉莉奈の装備に比べたらマシね」
「俺はこれでも不安」
「これどんな効果があるのですか?」
茉莉奈は全身伝説級の装備で固めてある。見た目はいつもと変わらないのだが、魔導士なら誰でもわかるほど今の茉莉奈の周りには魔力が満ちている。
特に最後に羽織った精霊王の羽衣の効果はすごく、フードを被るとどんな人でも存在を認識できないと言う効果があり、暗殺者なら喉から手が出るほど欲しがる品物だ。
「これ昔に俺が着ていたからちょっと汗臭いかもしれないけど我慢してね」
「わかりました。ちょっと旦那様の匂いがします」
そう言って茉莉奈はくんくん羽衣の匂いを嗅いでいる。それはちょっと恥ずかしい。
「ダンジョンではしっかりとフードを被ってニトロバイコーンの上から降りないようにしてくれ」
「はい。もう何度も聞いたので大丈夫ですよ。それにしても旦那様の格好はすごいですね」
「そうね。私でもわかるほど高価なものよね」
「多分そうだと思うよ。これで王宮筆頭魔導士を決める大会に出たからね。俺に合っている装備はこの世界で1番はこれだと思う」
俺が着ている装備は見た目は赤と黒を中心とした普通の騎士服なのだが、性能は魔法に特化しており、全て装備すると魔法の威力が5.8倍になるとんでもない装備なのだ。
「旦那様は魔導士なので武器は杖だと思っていたのですが、それでも大丈夫なんですか?」
「ああ、別にこれも魔力は上がるからね」
よく魔導士は杖を持っているイメージを持たれる。この場合の杖は魔力増強やコントロールを高めるために装備される。なぜかと言うと魔力増強などを行う役割の素材が杖にしやすいからお金のない魔導士は杖を持つのだ。そのため、お金と時間をかけるとそう言った素材を剣や槍にすることができる。
俺が持っている武器は矛である。これは俺が前世で好きだった漫画の主人公が、これを持っていたからだと言う理由だけで俺が大金を叩いて作ってもらった武器だ。あの師匠のモモがこれを見た時に若干引くぐらい魔力を宿しており、魔力増強などはもちろん刃こぼれや劣化は絶対にしない武器となっている。
「これが噂のあなたの矛ね。王宮でも前に噂になっていたわよ。確かダンジョンマスターの核と意味わからない金属で作ってあるのよね?」
「そうだよ。ダンジョンマスターの核はジャンケンで勝ったからもらえたんだ」
昔魔導士達で倒したダンジョンマスターは魔導士タイプのアンデッドだったので、ダンジョンマスターの中でも武器にすると魔力が上がるものだった。
キシリカが言う意味わからない金属とは異世界から持ってきた合金の事で、金属を配合すると言う考え方がこの世界にはないので、この矛を作った鍛治士は不思議がっていた。ちなみに合金はダンジョンから出たことにしてある。
「それじゃあ行こうか」
「うん」
「はい」
◆◇◆◇
ダンジョンは守衛はいるものの入場料は取っていないため簡単に入れた。その代わり何があっても自己責任なのだろう。
「すごいわ!中はこんな感じになっているのね。想像以上だわ。でもなんか私たち浮いているわね」
「こんな浅い階層に俺たちみたいにガチガチに装備を固めるやつなんていなからね。それにしてもここはすごいね。相当このダンジョンは成長していると思うよ」
ダンジョンに入るとそこは広大な草原だった。俺が攻略したダンジョンは古代遺跡のようになっていたので、ここまで広くは無かった。ダンジョンは時間が経つにつれ成長していくと言われているので、この広さだと少なくとも1000年くらいはここにあるのだろう。
ちなみにダンジョンマスターを倒しても1時間後に復活するので、ダンジョンを完全に機能停止にさせることはできないらしい。
「それにしても人が多いわね。どこにも魔物がいないわ」
「多分この階層は魔物が弱いから子供の冒険者が多いんだよ。まずは5階層まで行こうか、そこからなら人も少なくなると思うから」
キシリカの話を聞いてみると、10階層までは鶏や豚など肉になる魔物がいて、5階層から牛の魔物が追加で出てくるらしい。牛の魔物は気性が荒いらしく子供の冒険者は戦っても勝てないし、大人の冒険者は同じ強さでももっと金になる魔物を倒しにいくので牛の魔物は人気がないと思う。
「ゆっくりと行こうか」
「魔物がいたら戦っていい?」
「いいよ、気を付けてね。茉莉奈もまだフードは取っておいて良いからな」
「はい、風が気持ちいですね。どこから吹いているのでしょうか」
「そんなこと気にし始めたらキリがないよ。ここは不思議な場所だから」
「そうですね。扉を潜ると草原な時点で、不思議ですからね」
次の階層にいく階段は前の人について行けば良いので、探索魔法を使うまでもない。キシリカは魔物を必死に探していたが全くいないのでいつの間にかニトロバイコーンの上に座っていた。
浅い階層は大体どこのダンジョンでもこんな感じなので仕方がない。
それにしても俺も久しぶりの冒険者活動なので何だかワクワクしてきたぞ。
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