第十八話 お悩み相談
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山﨑さんが来てから3日たった。
山﨑さんは昔からここに住んでいたのではないかと言うほどここに馴染んでいる。
キシリカの話し相手をしたり、茉莉奈と一緒に料理をしたりして毎日を過ごしているようだ。
しかし、子供達とは関わろうとはしない。
たまに子供達に話しかけられるときに相手をするものの、それも一瞬である。
「茉莉奈はどう思う?」
「私がいた世界では学校での問題は日常茶飯事でした。もしかしたら山﨑さんが働いていた学校に問題が起きてそれが原因で教師を辞めたのかもしれません」
「やっぱそう言うことだよな」
山﨑さんが抱えている問題がわからない以上教師にはなってくれないだろう。
「ちょっと話してみるよ」
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私の名前は山﨑徳美と言います。
今はなぜか異世界にいます。
運が良かったのかここで出会えた人はとても優しい方ばかりです。
しかし、少し肩身が狭い。
それもそのはず、お世話になっているのにも関わらず、私に対しての要求は断っているからです。
私も大体のことには断るつもりはありません。
だが、あちらの要求は私が教師をやることです。
私は少し前まで小学校の教師をしていたのでスカウトされた。
「山﨑さん、ちょっと話があるのですが」
ここで教師を勧めてきた人が孤児院の中庭に来た。この人の婚約者がトップらしいのだが実質的なトップはこの人だと思う。
「あの、どうして教師になってくれないのか教えてもらえませんか?」
「そうですね...」
この人は子供たちのために真剣に考えているのだろう。忙しいのに毎日子供の面倒を見ているようだ。
だからか、私は自然と過去のことを話してしまった。
「私は先生失格なのです」
あの時、12歳の女の子の相談にしっかりと対応しておけば...
◆◇◆◇
それはある夏の日。
「山﨑先生...ちょっといいですか?」
今日も暗い顔をした女の子がやってきました。
悩み事がある子が元気なわけがないのでお悩み相談だろう。
「いいですよ、こっちの席に座って」
「はい」
それから少したわいのない会話をする。
いきなり本題に入っても緊張して話すことができないのでこういった会話は大切だと思う。
少し時間が経つと女の子が少し笑顔になったので本題に入る。
「それで相談したいことはない?」
「それが......」
女の子は少しずつ話してくれた。
なんでもクラスのある男の子がいつも近くにいると感じるらしい。
いわゆるストーカーだ。
「私友達に相談しようと思ったんです。けど、その時も私の後ろにいて、怖くて言葉が出ませんでした」
「そうなのね、でもその子は不器用なのかもしれない。きちんと話してみたらいいんじゃない?」
「でも...」
私はその子が相談に来ている女の子が好きなんだと思った。
私には小学生がストーカーみたいなことをするなんて考えられなかった。
「勇気を出して聞いてみなさい!」
「...はい」
◆◇◆◇
それから次の日、今日も仕事に行くと職員室は騒がしかった。
「教頭先生、どうしたのですか?」
「ああ、山﨑先生か、どうやら6年3組の生徒が同じクラスの女子生徒を椅子で何度も殴ったそうです」
「え!」
6年3組といったら昨日相談に来ていた女の子がいるクラスだ。
もしかして...
それから少し時間が経ち、その生徒が誰なのか分かった。
私が考えた通り昨日相談に来た女の子が椅子で殴られたそうだ。
相手も昨日話していた男の子だった。
原因は女の子が男の子に「近寄らないで!」と言ったことらしい。
私はそれを聞いてゾッとした。
女の子は私が言ったことを実際にやってみせたのだ。
しかし、私が想像していたやり方ではなかった。
「私が間違っていた...」
あの時、小学生だからと甘く見ていなかったら...、相手への返事の仕方をもっと考えてあげられていたら...
私は長く働いていたせいで慢心をして、生徒をしっかり見ていなかったようだ。
あの女の子は無事だったようで、怪我が治ってから遠くの街に引っ越して行った。
しかし、私はもう教師には向いていないと思い教師を辞めることにした。
◆◇◆◇
「だから私はもう教師にはなりたくないんです」
「そうなんですか」
私は全て彼に話した。
これで諦めてくれるといいのだが...
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どうやら山﨑さんの過去はかなり大変だったようだ。
しかし、俺は反省する方向性が間違っていると思った。
「山﨑さんはその事故が原因で教師を辞めたのですね」
「ええ、そうです」
「それであなたは何の為に辞めたのですか?」
「私がいるとまた同じことが起きるからです」
やっぱりそう言うことだったのか。
「俺の考えを言っていいですか?多分その考えだと何も変わらないと思います。山﨑さんでもこの事件は起きたのですから、知らないだけで似たようなことは起きています」
「ではどうしたら良かったのですか?」
山﨑さんは声を荒げることなく聞いてくれる。
「俺には実はもう1人師匠がいるのですが、その人に「同じ失敗は繰り返すな」と言われたことがあります。なので教師を諦めるのではなく、同じ事件が起きないようにしなければならないと思いますね」
「同じ失敗ですか...」
山﨑さんは考え始めたようだ。
「そうです。時間が経てば同じことが必ず起きます。今から作ろうと思っている孤児院の学校でもね」
「そうですか」
「ここまで悩んでいるのですから、山﨑さんは同じ失敗をしないと思います。なので続けてください!」
「...考えてみます」
山﨑さんは異世界人のために用意した部屋に戻っていった。
俺は少しでも後押しできたのだろうか?
◆◇◆◇
あれからまた3日経ち、山﨑さんが来てから7日経った。
山﨑さんが元の世界に帰るのならば今日が最終日だ。
「山﨑さん、これからどうするのか決めましたか?」
「ええ、あなたのおかげで決心がつきました」
どうやら後押しは上手くいっていたようだ。
多分だが教師になってくれると思う。
「私は先生を続けようと思います」
「ええ、それは良かった」
「なので、元の世界に帰ろうと思います」
「え?」
ここで予想外の一言が出た。
教師を続けることは俺の予想通りだったが、まさか元の世界でとは。
「後少ししか働くことはできませんが、頑張ろうと思います」
「...そうですか」
相談に乗った際にカッコつけたこともあり、引き止めることはできない。
「あと、エルシオンさんは教師に向いていると思いますよ」
「俺がですか?」
意外な一言に驚いてしまった。
「ええ、それではお願いします」
「わかりました」
こうして4人目の異世界人は帰って行った。
孤児院の教師は山﨑さんがやってくれると思い考えていなかった。
どうしようかな...
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