第二話 職を得る
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「よくきたな、面を上げよ」
「「は!」」
遂に謁見が始まった。
今俺の目の前で玉座に座っている人が、俺が住んでいるシュトレント王国の王であるアマデウス・リン・シュトレントだ。
先代の王が病弱だった為若くして王位に付いた人で、剣術などは強くはないらしいが頭が良く人望がある為反乱はなかったらしい。今年で35歳になる。
俺と父上は陛下の前で片膝をついており、謁見の間の壁際には陛下の護衛と役職持ちの貴族たちが立っている。
いつもなら父上はこの壁際の貴族たちと同じように立っているのだが、今日は主役の1人なので、俺の横にいる。
昨日王宮筆頭魔導士になったロメオの姿がないので疑問に思ったが、まだ日が浅いので実績を積んでいるのだろう。その代わり前王宮筆頭魔導士が立っていた。
この人はもう60歳近くになったので昨日の大会には出ていない。しかし、長年魔導士として王宮で働いているので、ここにいるのだろう。
色々考えていると陛下が再び口を開いた。
「エルシアン・リン・シルトクレーテ、お主の魔法は先日見せてもらったぞ」
「ありがとうございます!」
俺は陛下に褒められたのでお礼を言う。陛下が大会を見ていたことを今知ったので俺は驚いてしまった。
俺たち魔導士にとっては人生を賭ける大会なのだが、その他の人にとっては数少ない娯楽であるため貴族や平民関わらず集まる。
なので、王族が来るのは難しい。それも王族の中でも1番地位の高い陛下が来るなんて思ってもいなかった。
「お主はこれまで王国のために努力してきたと聞いた。なので我は第五位男爵位を授けることにした。シルトクレーテ侯爵異論はあるか?」
「え?」
「陛下、このシドウィン・リン・シルトクレーテ異論はありません」
父上は間髪入れず答えた。
しかもこれまでに見たことのない笑顔でだ。
「うむ」
俺は何が起きているのか理解できなかった。爵位を得ることの難しさは理解しているつもりなので、突然のことに驚いてしまう。
ちなみに王宮筆頭魔導士になった場合も最初は男爵位である。それから実績を積んで伯爵位を得ることができると聞いた。
爵位を得ることは嬉しいが、今までの努力は何だったのだろうか。それにロメオに少し申し訳ない。
まぁ、ロメオは爵位のために王宮筆頭魔導士になったわけではなさそうなのでそこまで気にしなくてもいいと思うけど。
「では、宣誓を」
「......はい」
こうして俺は有無を言わされる暇もなく男爵になった。
「突然の叙爵に驚いていることだろうが、実はお主に任せたい仕事があってのう」
「私にですか?」
「そうだ」
「父上は知っていたのですか?」
「ああ」
本当にこいつは...父親じゃなかったらとっくの昔に魔法でぶっ飛ばしているのに、こういうイタズラが昔から多かった。そして、俺が爵位を得られたのには理由があるらしい。
理由がないほうが問題になってしまうから当たり前か。
「それで仕事とは何でしょうか?」
「それがのう、最近異世界からの転移者が増えてきておってな、それの発見から世話までやってほしい。これからのことを考え役職にしたい、なのでお主に爵位を与えた」
「そうですか...」
俺は一瞬驚いてしまった。もしかしたら俺が転生者なのがバレてしまったからなのか、それともただ魔法が使えるからなのか考えてしまう。
この世界で異世界人がどういう扱いをされるのかわからないため、今まで隠してきたがバレたとすると俺の人生が終わってしまうかもしれない。
それに、親にも異世界人だということを言っていないのでどこから情報が漏れてい流のかわからない。
なので正直に陛下に尋ねる。
「どうした?」
「いえ、どうして私なのでしょうか?」
「理由か、簡単なことだ。お主の才能は超読解であろう、それならば例え異世界の者とでも会話ができると思った。それに実力もある。だからお主が適任だろう」
そういえば俺には超読解という才能があった。この世界には全ての人に才能という力があり、その力が人生に大きく関わっている。
ちなみに俺の才能である超読解とは、どんな文字でも読むことができ、おまけに話すことができる。
金持ちの家には読めもしないくせに家宝として古代文字で書いておる本が多くあるのだが、この才能が公表されてから、多くの家から解読の依頼が来て、その中から魔法に関しての本もあったので、盗み見をして魔法に活用してきた。
もちろん意味のわからない本もあり、俺を困らせてきた。時々出てくるエッチな本の時は持ち主にどう報告したらいいのか頭を使ったものだ。
そして、今回頼まれた仕事は俺が転生者だから頼んだと言う事ではないらしい。俺の才能が理由だと聞いて安心した。
なら、この仕事を了承して問題ないだろう。
「了解しました。このエルシアン・リン・シルトクレーテこの役職全うしたいと思います」
「うむ」
こうして俺の新しい仕事が決まった。
少し不安ではあるが、ここで断ったら2度と仕事を得ることができないと感が言っているので断る理由がない。
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