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異世界転移は簡単でした!  作者: 魔竜之介
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第一話 夢やぶれて

「そこまで!勝者ロメオ・リン・ヴァオグリフ!!!」


 ああ、俺の夢が終わった。これからどうしよう...


◆◇◆◇


 いつものように朝起き、今日も魔法の練習をする。しかし、いつもと違い練習に身が入らない。なぜなら、昔から夢だった王宮筆頭魔導士になれなかった。

今まで仕事もせず魔法の練習をしてきたので、実家暮らしの俺は肩身が狭いと感じる。


 俺ことエルシアン・リン・シルトクレーテは、シルトクレーテ公爵家初めての上級魔導士だ。そして、誰にも言ってないが異世界からの転生者でもある。

 20歳の頃に目が覚めると赤ん坊になっていたので、トラックに轢かれなくても異世界に行けることにビックリだ。


 俺はこれでも昔は前世の知識を活かして異世界無双を使用と思っていたが、よく考えると真面目に勉強してきていないのでそんなことは全くできなかった。その代わりなのか俺は上級魔導士になることができた。この世界では魔法自体は5人に1人は使えるのだが、上級魔導士は数えるほどしかいない。

 神様ありがとうございます。


 俺はこの魔法を使って出世しようと思い、王宮筆頭魔導士を目指した。

 王宮筆頭魔導士になると身分や出身に関わらずに伯爵級の身分を与えられ、王家から多額の報酬が与えられる。さまざまな理由があれど魔導士なら必ず目指す場所なのだ。


 王宮筆頭魔導士の選び方は簡単で、何らかの功績を得た魔導士が選出された大会が開催される。それに優勝した最も強い魔導士が選ばれる。

 ちなみに俺は父の実家を襲いにきた古龍を倒した時に褒賞として参加権を貰った。

 大体10人くらい選出されトーナメント戦が行われる。


 俺は初出場で決勝まで進むことができたが、同じく初出場のロメオに負けてしまった。

 同い年で同じ師匠に習った奴だったので、戦術を知っていたのに...まぁあっちも同じか。


「何しているんだい?」


「カタ兄...これからどうしよう!」


 これからのことを考えるていると兄のカタリー・リン・シルトクレーテが話しかけて来た。この人は俺の5人いる兄の1人で次期シルトクレーテ侯爵でもある。

 とても優しく話し相手になってくれる人で、それにしてもこの人は18歳になった今でも子供扱いしてくる。前世も入れると38歳になるので恥ずかしい...


「その事だけど王家から呼び出されているよ」


「俺がですか?」


「うん、エルは王宮筆頭魔導士になれなかったけど王国で2番目に魔法が強いからね。だから王家もほっとかないよ。父上も呼び出されているから一緒に行っておいで」


 カタ兄は俺のことをエルと呼ぶ。


「それにしても昨日の大会は惜しかったね。魔法が使えない俺でもわかるくらい接戦だと思うよ」


「本当ですか?でも俺からしたら簡単には勝てないと思います。多分何かしら新しい技を考えないと勝てませんね」


 昨日の大会では僅かな差で俺が先に倒れた。その理由は俺の魔力が先に尽きてしまったからだ。俺もロメオも同じ上級魔導士なのだが、上級魔導士もピンキリで魔力量に結構な差がある。

 俺とロメオを比べた時に俺の方が2倍近く魔力量が多い。それなのに先に俺の方が先に魔力が尽きたと言うことは、ロメオの方が技術力が高いと言うことになる。

 なのでこれからも魔力量が増え続けるロメオの方がこれからも強くなっていくだろう。


 まぁ、俺も負ける気はないけど


「そうなんだ。俺は文系だから戦いに詳しくないからわからなかったよ。難しいものだね」


「勉強ができない俺からしたらそっちもすごいんですけどね」


「ないものねだりってことだね。ほら父上が待っているから行ってきなさい」


「わかりました」


◆◇◆◇


 2人で王城に向い、用意された待合室で待つ。

 こう言う時に先に喋るのは俺だ。俺の父親はカタ兄と同じ文系なので、ずっと本を読んでいる。

 この世界は紙が高いので本も自然と高くなる。それなのに会うたびに違う本を持っているので、いくら本にお金をかけているのだろうか?


 そんなことよりも今は陛下に呼び出されたことについてだ。古龍を倒し褒賞を貰って以来陛下とは会っていない。それなのに急に呼び出されて緊張する。

 父上はこの国でも偉い方なので、陛下と何度もあっているせいか全く緊張する素振りはない。


なので、少しでも考え込まないように父上に話しかける。


「父上、緊張してきました...」


「お前は一度来ているじゃないか」


「一度だけですよ、それに陛下に何を言われるのか...戦場送りとかになったらどうしましょう」


「そういうのは軍務系貴族やお前がなれなかった王宮筆頭魔導士の仕事だ。多分違う仕事だろう」


「なんかトゲを感じますが、父上の言うことには納得できますね」


 俺の夢が叶わなかったことを知っているくせにこの親はイジってきやがった。この父上ことシドウィン・リン・シルトクレーテ侯爵は、今までのシルトクレーテ侯爵の中でも凡人だと言われているが、ものすごくイケメンなので男の俺でも照れてしまう。


 俺の顔は普通なのに。もっと転生特典をくれても良かったんじゃないか?

「さぁ、早くいくぞ」


「はい」


 王家の家令が俺たち2人を呼びに来たので謁見の間に行くのだった。

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