第十三話 出店
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恭介が来てから3日目、遂に出店をする日がやってきた。
前の日に試しにたこ焼きを焼いてもらったが、久しぶりに食べるたこ焼きはものすごく美味しく感じた。
久しぶりに食べたので俺の味覚が何十倍にも美味しく感じている可能性があるので本当に美味しいのかは自信がない。しかし、キシリカや孤児院で働いている料理人も美味しいと言っていたので問題ないと思う。
出店についても王都では商人ギルドに出店の許可を取れば次に日から出すことができた。
ちなみにキシリカの名前で取ったのでメインストリートの1番いい場所に出せることになった。
こう言う時に王族パワーを使っていくことが上手く生きていく秘訣だ。
「遂にこの日がやってきた、接客と会計は俺とキシリカが行う。茉莉奈は今日も恭介の手伝いをしてくれ」
「任せて!」
「わかりました」
『接客は俺たちに任せて恭介はひたすらたこ焼きを焼いてくれ』
『わかった!言葉が通じないから俺は接客などできないだろうからな』
今回の出店は4人で行うことにした。
孤児院の人に手伝って貰おうとも思ったが、意外にも店の中が狭く4人しか入れなかった。
それに忙しいだろうから俺の仕事まで手伝わせるわけにはいけないからね。
それでもたこ焼きはプレーンしか作らないので大丈夫だろう。
他の味を用意するのは味に飽きられないようにするためだと恭介が言っていた。なら3日しか営業しないので必要ないことになった。
「『それじゃあ、開店だ!!!』」
◆◇◆◇
あれから1時間が経った。
出店には信じられない数の人が並んでいる。
なんでも昨日キシリカが知り合いに出店を開くことを教えたらしい。
知り合いと言ってもキシリカはこう見えてもこの国のお姫様なので、教えられると無視することはできない。なので、たくさんの貴族や商人の執事やメイドが買いに来ていたのだ。
それを見た近所の住人が貴族御用達の料理だと勘違いをし、多くの人が押しかけてきたのだ。
恭介は泣きそうな目でたこ焼きを作り、茉莉奈はゾースなどを塗っていく。キシリカは1人で会計をしている。
俺はと言うと分身の魔法を使い長蛇の列の整備を行なったり、ストックしていたたこ焼きや2日目以降の材料などを持ってくる。簡単に言えば使いっ走りをしていた。
割り込みなどで喧嘩になったりしているので必要だったのだ。
『おい!たこ焼きのストック無くなりそうだぞ!』
『待ってくれ!今焼いているから!!!』
「たこ焼き8個で銅貨3枚になります」
「おい、キシリカはどうにかして時間を稼いでくれ。俺は今から鉄を買ってきてたこ焼き用の鉄板を新しく作る!」
「わかったわ!」
「わかりました」
初めて30人以上に分身したが意外にもできるものだな。こう言う時でしか限界って越えられないのでちょうどよかった。
こうして3日分の用意していた材料は1日で無くなってしまったので、たこ焼きは売り切れてしまった。
元々恭介が焼くたこ焼きが美味しかったためリピーターを呼び瞬く間に人が集まっていた。
ちなみに、王家の使いも買いに来たのでキシリカを溺愛する陛下の命令だろう。
◆◇◆◇
『ごめんな、まさか1日で売り切れるとは思わなかったよ』
『いや、俺がもっと材料を買っとけば良かったんだ。異世界無双がこんなに大変だとは思わなかったよ』
『そうだな』
たこ焼きをいくら売っても異世界無双にはならないと思うが、疲れていたため否定せずに適当に返事をする。
片付けは茉莉奈とキシリカに任せ、俺たちは近くのベンチに座っていた。
キシリカも今日は何もトラブルを起こさずに接客をしていたので、もしかしたら接客の才能があるのかもしれない。
そう思いながら落ち着いてきたので恭介と孤児院に戻る。
お別れの時間がやってきた...
『もう少しこっちにいてもいいけど...』
『いや俺も早く帰りたいし、もうたこ焼き食べ飽きただろう?』
確かに昨日と今日の2日間ずっとたこ焼きを食べた。
飽きてはいないが今食べたいとは思わない。
ちなみに茉莉奈に恭介の手伝いをさせていたので作り方は覚えているだろう。
俺はいつでもたこ焼きが食べられるようになったのだ。
『そんなことないけどね。今日の売り上げは孤児院のために使うとするよ』
『売り上げは好きに使ってくれ、それじゃあ転移頼むよ。じゃあな!』
『ああ、じゃあな』
こうして3人目の異世界人は元の世界に帰っていった。
年も近いこともあり、とても話が合うやつだったな...
「ただいま!」
キシリカと茉莉奈が帰って来た。
キシリカの元気な声に寂しさが少し薄れる。
「もう異世界人は帰ったの?」
「ああ、元の世界が寂しくなったんじゃないかな、すぐに帰っていたよ」
「そうなのね、まぁ今日は盛大に飲みましょう!」
「いいね」
「私も混ぜてください」
「当たり前でしょ!」
こうして3人で初めて眠たくなるまでお酒を飲んで騒ぐのであった。
しかし、キシリカが持ってきたお酒は50年もののワインだったので、恭介に孤児院のために使うと言ったたこ焼きの売り上げは、一瞬で無くなってしまった...
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