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【視覚強化】でいろんなものが見えるようになりました。  作者:
第1章 【視覚強化】って?

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プロローグ


「はぁ…はぁ…はぁ…」


「ブフォ…ブフォ…」


薄暗い空間に二つの荒い息遣いだけが響く。



部屋の奥に置かれた金色の宝箱を手にするためには、こいつ(・・・)を倒さねばならない。


二足歩行の牛の魔物。

ミノタウロス。体長はこちらの二倍ほどもある。

その両手には巨大な曲刀が二本握られていて、ダンジョンの仄かな明かりを受けて鈍く光っている。



対してこの手に持っているのは一振りのロングソード。

もう頼れるのはこいつと自分自身だけだ。

今までの全てを使ってこいつを倒さねばならない。


状況は五分。

負けてもいないが勝ってもいない。


もうどれほど時間が経ったのか。防具の下に着ているインナーが肌にべたっと貼り付く。


血なのか汗なのか、はたまた奴の体液なのかもわからない液体で全身が気持ち悪い。



ぴくり…とミノタウロスが動く。

片脚を引いて身体を沈ませている。ミノタウロスの下腿、大腿、股関節と筋肉が力を溜めているのが見える(・・・)

芸術品の様に張り詰めた筋肉に見惚れる。みちみちという音が聞こえてきそうだ。


全身をまるで弓の様に引き絞り、一歩ごとにダンジョンの床を抉りながら一気に肉薄してきた。


今までよりさらに一段階速い。


しかしそれすら見えている(・・・・・)


その速度から袈裟に振るわれた曲刀をロングソードで迎え撃つ。


左前方に踏み込み、金属が触れ合う瞬間に曲刀を受け流す。


そのままミノタウロスと交差した。


通り過ぎたミノタウロスの背中、今度はこちらから接近する。


奴ほどではないが、爆発的な加速で背に迫る。


ミノタウロスの体勢が悪いのを良いことに、全身で振りかぶったロングソードを上から叩きつける。



「だらあぁぁぁ!!!」


渾身の一撃も、しっかり反応されている。曲刀二本とロングソードの衝突で衝撃波が生まれた。

ミノタウロスの足元が数センチ沈み込む。


ミノタウロスの口の端が歪に上がった。


力で跳ね返されるが、難なく着地。


着地の体勢から反動をつけ、ミノタウロスと同時に地面を蹴る。


衝突。


ロングソードを横薙ぎに振るうと、ミノタウロスの曲刀を弾き返す。


すぐにもう一つの曲刀が迫ってくるが、それも見えてる(・・・・)


無数の火花を散らしながら、霞む程のスピードで剣を打ち合う。

考えてからでは間に合わない。反射レベルで二本の曲刀を弾き返し続ける。


脳が焼け付く。


ロングソードと身体、その境界線すらなくなっていく。


まるで、魂と魂で殴り合っているかのよう。


そこには生も死も、恐怖すらない。


奴は笑っていた。俺もきっと笑っているだろう。


どっちが勝つとか負けるとか、もうどうでもいい。


奴と俺、どちらが最後に立っているか。


重要なのはただそれだけだった。





ガキンッ!


唐突に、その瞬間は来た。


目の前でロングソードが、折れた。

破片が飛び散ると、それがスローモーションの様にはっきりと見える。


折れたロングソードの向こうでミノタウロスの目が細められた。その表情は、到底勝者のものではない。


「はっ…」


止まっていた息を吸う。


たったそれだけの刹那で、曲刀はすぐ目前まで迫り---

はじめまして!

現代ダンジョン風のローファンタジーやってきます!

よろしくお願い致します!


代表作がまだの方はそちらを是非とも!


空間魔法は殴る(近接戦闘)ための魔法です!~アルと狐のダンジョン回遊記~

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