初仕事1
「「幽霊退治!?」」 「ですか!?」
驚きのあまりフレインとシンクロしてしまった。
「あの、幽霊なんて本当にいるのですか?」
俺が思った当然の疑問をフレインが投げかけてくれた。アイリスさんが返す。
「それはわたしにもわからないの。でも冒険者ギルドが正式に受けた依頼だからあながちいないとはいえないかも」
アイリスさんは話を続ける。
「郊外に誰も住んでいない古びた洋館があるみたいなんだけど、あ、ちなみに依頼人はその洋館の持ち主ね。夜になると出るんだって」
「幽霊がですか?」
「そうみたい」
フレインとアイリスさんの会話を黙って聞いていた俺は、魔法が当たり前のように存在する世界なのだから幽霊だっているかもしれないと思い始めていた。
「それで具体的にはどうすればいいのですか?」
フレインがアイリスさんに確認する。
「今日一晩その洋館で過ごして、何かが起きたらその原因を突き止めて解決してほしいって」
「一晩だけでよいのですか?」
「フレインちゃんその質問はわたしもギルドの人に訊いてみたの。だけど一晩泊まればわかるからって」
アイリスさんは外国人のように両手を投げ出し、わからないというジェスチャーをしてみせた。
なんとも要領を得ない依頼だが初仕事に変わりはない。
俺は二人の話を聞いていて実はそこそこやる気になっていた。とりあえず今日泊まる場所はこれで確保出来たわけだしな。
「じゃあさっそく今からその洋館に行って夜まで待つとしますか」
「あら、随分乗り気ではないですか。カイルさまは楽したいんじゃなかったのですか?」
ここぞとばかりに嫌味を言ってくる自称許嫁。俺はアイリスさんに言ったつもりなんだけど。
フレインの言う通り俺は楽して生きたい。でもそれを邪魔してるのが自分だとは夢にも思ってないらしい。
正直な話、俺の魔法力は小さい頃から鍛錬に鍛錬を重ねて今では10000程度になっている。この世界の貴族の魔法力の相場がどれ程なのかは知らないが、これまで会った貴族の中でも一番高くて800くらいのご老体がいただけだから、いかに俺の魔法力が飛び抜けているかがわかる。
その気になれば一国家くらいなら武力で制圧できるかもしれないが、ただその分敵は必ず出てくる。それでは元も子もない。いかに敵を作らず恵まれた魔法力を利用して楽して暮らしていけるかというのが今の俺の命題なんだ。
俺一人なら多少の無茶は出来るかもしれないが、今は連れが二人もいるからな。
俺の苦悩を知る由もない二人は俺そっちのけで女子会トークよろしく会話に花を咲かせていた。女子はこの世界でもコミュニケーション能力が高いんだな、と感心して…………いる場合じゃないな。
「もちろん楽はしたいさ。でも何をするにもまずは先立つものがないと、だろ?」
「え、ええ。そうですわね」
「カイル君の言う通りね。洋館の場所はわたしが知ってるからついてきて」
そう言ってアイリスさんと俺とフレインは郊外にあるという洋館に向かった。




