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ゴールドの集い

ゴールドランク昇格には魔霧の里での一件が大きく働いたらしい。もともとキングゴブリン退治のあと俺をゴールドに推す声もギルド内で上がったらしいが、実績が少ないという理由でそのときはシルバーに落ち着いたんだそうだ。

俺が食堂に下りていくと給仕姿のソフィが歓喜の声を上げた。


「すごいっス師匠! ゴールドランク史上最速の快挙だそうっスね!」


誰から聞いたのか俺より詳しいことまで知っていた。アイリスさんも朝食の準備をしながら、


「おめでとうカイル君。やったね」


と喜んでくれた。


「わたくしもすぐに追いつきます」


とシルバーランクのフレインが椅子に座って言う。そしてもう一人。


「これでわたしの誘いを断る理由はなくなったわね」


アルマさんがそこに立っていた。多分俺のゴールドランク昇格のこともアルマさんが皆に伝えたのだろう。ゴールドランクなら早く情報を知っていても不思議ではない。


「アルマさん、こんな朝早くからどうしたんですか? またパーティーへの勧誘ですか?」


「それもあるけど別件よ。例の箱のことで進展があってね」


とアルマさん。


「とりあえず今からわたしと一緒にギルドに来てちょうだい」


俺はアイリスさんの朝食をなくなく諦め、アルマさんとギルドに向かった。

道中アルマさんの誘いをなんとかはぐらかしながらギルドに到着。そこにはザイードさんの姿もあった。


「ようカイル」


ザイードさんはいつになく真面目な顔をしている。


「それでは冒険者のみなさん、こちらに集まってください」


受付係の女性が声を発した。ギルド内には俺とアルマさんとザイードさんの他に三人の冒険者がいた。小柄な髭の男と大柄で屈強な男とシャルロットさんだ。俺たち六人はカウンターの前に集まった。


「ゴールドランクのみなさんに重大なお話があります。実は……」




「それで、どうするよ」


ザイードさんが口を開いた。

ここは幽霊ホテルの四階、自室。ギルドを出た髭の男と屈強な男を除く俺たちは、誰が何を言うでもなく自然と俺の部屋に集まっていた。


「私は正直自信がない」


と言うのは甲冑を着た凛々しい姿のシャルロットさん。彼女が喋るところを見るのは初めてだ。魔霧の里で会ったときはずっと気絶していたからな。

彼女が言う自信がないとはさっきの受付係の女性が話した依頼のことだ。

その依頼とは魔霧の里で見つかった箱の持ち主らしき男の捕縛だ。里の周辺の防犯カメラをくまなく調べたところ犯人が特定できたらしい。その犯人はレンゼン市から南数キロの隠れ家にいるという。

髭の男と屈強な男はそれぞれ「そんな奴おら一人で充分だ」「報酬はオレがいただく」と言って受付係の女性の話が終わるのも待たず出て行ってしまった。


「自信なんかおれだってないさ」


真面目モードのザイードさん。


「でもな、おれたちがやらなくて誰がやるんだ」


「そうね、ゴールドランクが逃げるわけにはいかないわね」


「……」


シャルロットさんは黙ってしまう。「それにな」とザイードさんが俺を見て、


「シャルロットは見てないがカイルはあの霧の中でも平気で動けたんだ。こいつがいるんだ、なんとかなるさ」


と背中をバンと叩いてくる。相変わらず痛い。普段は省エネのため微弱な魔力しか纏ってないんだからいきなり叩かないでくれないかな。

せき込む俺を見てシャルロットさんは怪訝な表情を浮かべる。


「本当にこの男が私を助けてくれたのか……? 信じられん」


「本当よ。こう見えてカイルくんわたしたちよりずっと強いんだから」


とアルマさん。俺ってどう見えてるんですか。


「パーティー組もうって誘ってるんだけどフラれてばっかりなのよ」


「いやアルマさんそういうわけでは……」


アルマさんの口撃にたじろぐ俺。


「そういうことなら……わかった私も行こう。それからカイル、魔霧の里では世話になったようだ礼を言う。ありがとう」


シャルロットさんは俺の目を見て感謝の言葉を述べた。きれいな瞳に吸い込まれそうになる。


「いえ、気にしないでください」


「よっしゃ! そうと決まればさっそく出発だ! ……の前に腹ごしらえだな」


「はーいごはんお持ちしましたよー」


とアイリスさんが部屋に入ってくる。ソフィとフレインも一緒だ。


「アイリスさん!?」


「おなかすいてるかなぁって思って。ソフィちゃんとフレインちゃんにも手伝ってもらったの」


と三人がおにぎりを乗せたお皿を運び入れる。


「タイミング良すぎでしたけど……もしかして話聞いてました?」


「え、ううん、全然」


「全然聞こえなかったっス!」


「わたくしは本当に聞いていませんから」


アイリスさんは聞いてたっぽいな。まあいいさ、腹が減ってはなんとやらだ。

俺たちは全員で少し早い昼食をとることにした。


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