寡黙少女エレナ
「なんだその恰好は?」
俺は当然の疑問をエレナにぶつけた。
エレナは俺がもといた世界で言うところの魔法少女風のコスプレをしていた。
「うちに帰るから」
答えになってないぞ。
エレナは普段は聖バエリア学園の学生寮に住んでいる。今日エレナは俺を連れて姉に会いに実家に帰省する。
結局昨日は押し切られる形でエレナの家に行くことを了承してしまったが、親とかに挨拶するの面倒くさいなぁと思っていると、
「今日は親はいない。姉だけ」
とエレナが話す。
通行人がエレナをじろじろ見ていく。当たり前だ。女子高生が道の真ん中でする格好ではない。
俺もいたたまれなくなってくる。
「ちょっと待ってろ」
俺は来ていた上着を脱ぐとエレナにかけた。
「あたたかい」
エレナの表情が少しだけほころぶ。
「なあ、きいてなかったけどおまえん家ってどこらへんなんだ?」
もしかなり距離があるのならこのまま歩いてってわけにもいかないしな。
するとエレナがすっと指を指す。
「ついた」
え。ここがエレナの家?
エレナの指差す先にあったのは大があと三つはつくほどの大豪邸だった。
ここって……レンゼン市長の家、だよな?
「エレナ、おまえのフルネームってなんだったっけ」
「エレナ・レンゼン」
やっぱりかあぁぁ。
エレナは驚く俺を見て微妙に首をかしげる。なぜ俺が驚いているかまるでわかっていない表情だ。
いつも無表情な変な女の家に無理やり連れてこられたと思ったら、そこは今住んでいる都市の市長の家だったなんて。よく見ると衛兵みたいな人が立っている。
すごいところに来ちゃったなぁ。帰ったらだめかな。
「入って」
エレナが塀の脇にある扉から中に入る。俺もあとに続く。
ナジャ家の家も大きかったがレンゼン家は比じゃないな。生前俺が住んでた家よりもでかいうさぎ小屋の横をとおり玄関までひたすら歩く。
庭の中に竹林があるぞ。
このまま着かないんじゃないかなんて考えていると、
「ただいま」
エレナの声で我に返る。やっと玄関に着いていたようだった。
「おかえりエレぴょんー! 遅かったじゃーん」
玄関を開けるとまた一人、魔法少女姿の女の娘が飛び出してきた。その娘はエレナに抱きついて頬ずりしている。
「……お姉ちゃんやめて」
ぐいっと引き離そうとするエレナ。
「あっもしかしてその人がカイルっち? 来てくれてありがとー!」
今度は俺に引っついてくる。
おいエレナ説明しろ。
「姉のミレイ。はたち」
それだけ言うとエレナは家の中に入っていってしまう。
「わたしのことはミレイちゃんって呼んでね、カイルっち。じゃあ行こうか」
と俺の手を握るとミレイさんは俺たちがもと来た方へと歩き出す。
「ちょ、ちょっと、行くってどこへですか? 家に入るんじゃないんですか?」
「えーエレぴょんから聞いてないの? 今日はわたしとカイルっちの初デートでしょ」
え? えええええええー!?




