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プロローグ

三章第一話も18:00頃に投稿します。




 夢か現か幻か…


 漆黒と純白が同居する矛盾した空間で、全ての行く末を決める時が刻々と近付いていた。


 決断を迫られるのは、神を見限った至高の八柱。


「うぬぅ、ここまでカルマが深いとは…」


「狂っても神だったという事じゃね?」


「ホント…忌々しい限りですっ!」


 丁寧な言葉使いながらも吐き捨てるような口調だったが、それを咎めるような者はこの場に誰もいなかった。

 円卓を囲む他の龍王と魔王も口に出さずとも思いは同じだったからだ。

 事実、皆一様に苦々しく顔を歪ませていた。


 四つの世界を滅びから救った。

 神に依らず一つの世界をも創造した。


 そんな彼らであっても…


 新しい宇宙と世界の幕開けを目の前にして、生じた障害の根を断ち、取り除く事は叶わなかった。


「あのよぉ、無学な俺が言うのもなんだけどよ。ここまで影響を与えるものなのか、普通?」


「ど~か~ん。しかもコレってさ、直接向けられてもいない力の余波だろ? ちょっとヤバくね?」


「そうだよねぇ~。彼らは神と言っても双子神だしぃ~、他宇宙を治める単独神と比べればぁ当然に劣ってるしぃ~、こんな圧倒的な力を持ってないハズなんだけどねぇ~」


「くふふ…元双子神なんじゃない? だって、今は、互いに個神を認識できない程に混ざり合っているじゃないの」


「…じゃのう。二体の半端な神が闘争を繰り広げているというより一体の完全な神が暴れ狂っていると考えた方がしっくりくるわい」


「んでぇ~、そこへ偶然にも一致した何らかのベクトル要素が定められればぁ~…」


「この影響のデカさも納得がいく・・・ってわけか」


「あぁ~それ、ボクが言いたかったのにぃ~」


「…そういえば、全てに於いて反発し合っていた奴らでも、ある一点の感情に関しては共通していました」


「・・・憎悪」


「難儀な事じゃて。最早、明確な意思さえ残っていなかろうに・・・いや、故にかの。唯の混沌じゃからこそ、憎悪を無差別に撒き散らしておるのか。……ほんに達が悪過ぎるのう」


 円卓を囲んだ会議が始まって以来、何度目になるかわからない重い沈黙が再び場に降りた。


 既に、各世界で目に見える形の悪影響が出ている。


 魔物が存在しなかった世界では、現存する生物に変異が生じた末に魔物が生まれた。


 精神アストラル体を祖にする種族が栄える世界では、狂わされた個体が爆発的に増加している。


 広大な大地と数多の種族を誇った世界では、暴走した天候により陸地の殆どが海へと沈んだ。


 肉体的にも精神的にも完成を迎えた住人の世界では、愚かな原始的闘争へと導かれている。


 そして、それは…彼らが全身全霊を懸け創造した世界であっても変わらない。失われた世界から継ながれた希望が悪夢へと転じて蘇ったのだ。



 ・・・全ては、混沌の憎悪にマナが汚された事に起因する。



「そろそろ…、覚悟を決めるかの」


「・・・ですね」

「同意」


「ぶーっ! 全部終わった後は、1000年間遊び倒す予定だったのにぃ~」


「ハハハッ! 仕方ないんじゃね?」


「その通りだ。我らとて、愚かにも数多の世界を滅ばした一役を担ったのだからな」


「所詮、私達もあの双子神と同罪なのよ。犯した罪は、ちゃんと償わないとね」


「先延ばしにしていたツケを払う時が来たってだけだぜ…っと!」


 この会話を最後に、最初の一柱がその場を去った。

 他の八柱達も互いに頷き合い…あるいは苦笑してから、同じように次々と去った。


 やがて、誰もいなくなった円卓は存在自体を虚ろへ解かしていく。

 四つの世界へと散っていった彼らを惜しむかのようにゆっくりと…。


 神の力は、途方もないくらい強大である。

 それは、至高に立つ存在にとっても同じだ。


 故に、彼らは自身を礎にするしか世界を守る術がない事を理解していた。


 故に、己の全てを贄として捧げるしか世界を保つ術がない事を知っていた。


 龍王と魔王・・・陰と陽の存在を柱に混沌の海から世界を支える。


 森羅万象・・・『一にして全』を、宇宙の理を以って世界と混沌を隔てる。


 ルブレス・ウィリデルパ・ラーウムラル・レウムフォンスが四色の光で輝いた。


 四色の光は、其々の世界より四色の糸を伸ばし、最後の世界を目指した。


 四色の糸は、繋がり…四色の光は、混ざり…虹が、アルブームを包んだ。



 そして、世界が成った。


 そして、新たな宇宙が始まった。







次から後書きが本編裏で進行するキャラの会話的なモノに変わります。

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