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異世界で魔改造された俺が、orzってる!  作者: 香しい肉球
俺、遺跡(仮)に立つ!!
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幕間③ 【????】

シリアス…と思いきやな…

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




『私を相手にするには、貴女はまだ・・・未熟!!』


 頭の中で何度も何度も反芻する言葉。

 ・・・もう何度目だろう。

 あの時の悔しさで、夜中に目が覚めた。


「くっ…」


 身体を起こそうとして思わず呻く。

 野晒しの場所で眠った所為か、体のあちこちが痛む。


「・・・惨めだな」


 だが、仕方ない。


 現在の自分を客観視して苦笑し、これが現実だと受け入れて嗤った。


 いくら歯を食いしばろうとも揺るがないのだから。


 私は、同じ志を持つ仲間達と立ち上がった。

 同じ夢を語り合った友達ともたちと共に戦った。


 現状の打破を目指して…。


 結果、私は敗残の将。


 今は、追手から追われる日々を漫然と過ごすだけ。

 ・・・それだけの敗者だ。


「こんな事なら、私も彼らと共に逝きたかった…」


 最早、叶うはずのない願いを呟く。


 望んではならない願いだが、つい漏れてしまった。


 この願いは、私を逃がす為に犠牲になった彼らに対する裏切りだ。

 姑息で卑怯な女王の犬共により次々と散らされた仲間達の顔が脳裏に浮かぶ。



 シャム。

 我が軍の参謀にして、私の妹分。

 彼女とは、良く陽だまりの中を静かに過ごしたものだ。互いに何時間も言葉を交わさずとも苦にならなかった。


『シャムまで私に付き合う必要はない。前線は戦えるものだけで…』

『私とねぇねぇは、ずっと一緒。ウンメイキョウドウタイ?…にゃん』


 そう言って輝いた彼女の笑顔は、今も目蓋の裏に焼きついている。目を閉じる度に蘇った。



 シバ。

 我が軍の剣にして、私の右手だった者。

 彼とは、良く朝まで飲み明かしたものだ。その際、上機嫌にフサフサの尻尾を振りながら自慢の毛並みを語るのがお決まりだった。


 そういえば、開戦直前に想い人について相談されたな。


『隊長…』

『ん?』

『俺、この戦いが終わったら彼女に告白しようと思うんだ』


 もし結果が違えていれば、今頃は勝利の栄光を手に想い人と寄り添っていたのだろうか。


「フッ…何を今更」


 既に実現不能な可能性に頭を振る。


 それに、キラキラした瞳で語るシバには言い辛かったけど・・・シバの想い人のモモちゃんには、ちゃんとしたイケメンの恋人がいる。




『我々は、この国に生きる民の真の解放を掴み取るのだ! 現状からの悪しき呪縛を! 我が正義の剣によって!』


 嘗て、私が同志達を前に声高々に叫んだ一説だ。

 今となっては、虚しい戯れ言の一つになった。


 サワサワ… サワサワ…


「ちっ…もう追い付いて来たか」


 植物達が追手の接近を教えてくれた。妖精族の中でも植物との感応性が特別高い私達種族ならではの能力だ。しかも、私はその中でも飛び抜けて高い。


「まだよ…まだ、捕まるわけにはいかないのよ」


 痛む体を支えながら寝床にしていた古木から重い腰を上げた。

 背中の翅を一度だけ振るい動きを確認する。


 少し休んだおかげで、翅の動きは思っていたよりも悪くない。


『【風よ】』

 

 私の精霊語の呼びかけに『風』が応え、風が僅かに頬を撫でた。

 徐々に重さを失くす感覚に身を任せ、私はそっと足を古木から離して宙へと飛び立つ。


 もっと奥へ。

 森の深奥なら…聖域ならば、奴らも追っては来れない。


 私の求める物も・・・そこにある、はず。


「このままでは終わらない。私は必ず帰ってくるぞ…」


 決意を秘めた思いを口に出した。

 誰に向けたでもない独り言だ。

 唯、再び自分を奮い立たす為の言葉だった。


 だが、少しだけその言葉は私の背を押し…翅を軽くした。





 妖精の翅から零れた粉は、陽に照らされ光の糸となる。


 その糸は、僅かな間だけ彼女の痕を追うように細く細く引かれていく。


 ・・・そして、人知れず森の奥へと続いた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 吟遊詩人にも語られる湖畔に浮かぶ美しき城のとある一室。

 水晶の机を挟んで二つの人影が会話を交わしていた。


「あのバカ娘は確保出来たの?」


 問いかけた側の人影は、これまた物語に登場する様な気高く輝かしいカリスマなオーラを纏った女性だった。…今は、凝り固まった眉間の皺を揉み解したりこめかみを押さえたりと険しい顔なので9割9分9厘台無しになっている。


「いいえ・・・まだです」


 対して答えた人影は、どっからどう見ても重鎮ですと言った雰囲気な老年の男性だ。普段ならば頭が切れる油断ならない人物という印象を他人に与えるのだろうが、こちらもまた疲れ切った表情で、今は弱々しく頼りない感じを受ける。


「バカ娘一人に、捕獲部隊は何をやっているのですか?」


「捕獲…いえ、捜索部隊は逃走予想進路に包囲網を敷いて対応しているのですが・・・それも悉く躱されている状態です」


「・・・・・・」


 重い沈黙で男性の報告を聞き、溜息で返す女性。


「姫さ…保護目標は、包囲網の穴という穴を神がかったように見つけ出しては突破しています。さらに、軍の上層部も驚愕するような隠密行動や人格を疑いたくなるような悪質な罠で追跡に向かった別動隊も壊滅させている始末で・・・中には、精神的障害トラウマを負った兵士も…」


「頭痛が悪化してきました。それで、これからの対応は?」


「はい。この先も継続して追跡を続行する予定です」


「そう、それでお願いします。多少は手荒く対応して・・・場合によっては、攻撃魔法の使用も許可します。バカ娘には、丁度良い薬になるでしょうから」


「さすがに攻撃魔法は…」


 コンコン


 と扉を叩く音が二人の会話を遮った。


「失礼します。分析班からの報告を持ってきました」


 一度、男性は女性に確認した後で


「入れ」


 すぐさま部屋への入室を許可した。


 部屋に入って来たのは、美しいよりも可愛いが似合う女性で、服装からこの城の兵士だと思われる者だった。彼女は、入室するなり女性へ書類の束を差し出すが、女性にはそれを手で制止される。


「読むのが面倒です。そのまま貴女が読み上げてください」


 不機嫌な口調で放たれた言葉に、兵士の女性は少しだけ及び腰になるが、これ以上機嫌が悪くなっては…という思いから即座に指示に従う。


「了解しました。目撃情報やこれまでの逃走進路から推測しますと……保護目標は、『森の深奥』へ向かっているようです・・・っ!!」


「な゛っ?!」


 報告を女性の隣で聞いていた男性が、その内容に含まれていた不吉なキーワードに絶句する。読み上げていた兵士の女性も報告書の内容は知らなかったようで、絶句していた。


「森の深奥…聖域へですか。・・・あのバカ娘は、本当に何を考えているのか」


 一方で、報告を受けていた本人は益々眉間の皺を深くしながらこめかみを揉み解す速度を上げると同時に、もう部屋一杯に響き渡る深い深い溜息を吐いていた。


「へ、陛下! どうなさいますか? もし本当に聖域を目指しているのならば怪我では済みませぬぞ!!」


「落ち着きなさい!」


 慌てふためき取り乱す男性を女性がピシャリと断じる。


「貴方が心配しているのは、精霊大樹の守護者でしょ? それなら問題はないわ」


「問題ないわけありません! 相手は【精霊竜木エレメント・ドラグツリー】。竜以上の戦闘力を持った魔法生物ですよ!!」


「誰よりも知っています。管理者は、私なのですよ。その私が言っているのです、落ち着きなさいと。いいですか、良く聞きなさい。現在、【精霊竜木エレメント・ドラグツリー】は活動を停止している状態ですから危害を加える事はありません。そうですね……後半年は動かない状態です。安心しなさい」


「・・・・・・は?」


 突然と女性に告げられた完全に寝耳に水な情報に、長い沈黙の後で、男は精一杯の疑問の一声を洩らした。

 男がこんな反応をしたのも仕方がない。【精霊竜木エレメント・ドラグツリー】は、この国自体の守護も担っている奥の手的防衛機能で、他国他世界にも誇る軍事的防衛力だった。それが動いていない…誰が考えても大問題だ。故に、男の頭は情報を頑なに拒否し受け入れに時間を要したのである。


「数ヶ月前にアルブームから客人が来たでしょ? 彼が壊しちゃったのよ。もう容赦ないほどに」


「【精霊竜木エレメント・ドラグツリー】を・・・精霊大樹の守護者をですか?」


「彼は、『精霊大樹の雫』を求めていました。ならば、掟に従い【精霊竜木エレメント・ドラグツリー】の試練に挑んでもらうのが道理でしょ? 彼に案内を付けて森へ送り出した時も帰還を果たした時も、貴方は一緒にいたはずですが?」


「はい・・・その通りです。彼がガロン帝国からの使者で、そのように求めていたのも聞き及んでいます。しかし、試練を突破したとは初耳です」


「私以外は何人であろうと守護者を破るしか精霊大樹に近寄る術はありませんでした。その彼は、既に城を去っています。察しがついたでしょうに」


「諦めたのかと…」


 以前、同じく『精霊大樹の雫』を求めたアルブームの某国の一個師団相手でも壊滅させた事もある【精霊竜木エレメント・ドラグツリー】を単独で突破できる人間など考慮出来るはずもないと男性は叫びたかった。


「ふー…彼はガロン帝国からの使者と言うよりは、帝国魔女の使いです」


「っ?!」


「そうです…ウィリデルパの主柱に認められた存在が使わした者なのです。半端な実力者なわけないでしょ?」


 さらに話を続けようとして女性は気付いた。


「これは・・・ダメね」


 男性が遂にフリーズ状態に陥った事を。既にあっちの世界へ逝き、ブツブツと独り言を始めている。その背後では、部屋から退出するタイミングを逃していた兵士の女性もフリーズしていたのでシュールな光景だ。女性の方は報告書を読み上げた直後からだろう。


 そんな二人をしばらく見つめた後、放っておくと決め、女性は椅子に深く座り直して目下捜索中のバカ娘に思考を向け直す。


「・・・・・・・そういえば、帝国の客人を案内したのはバカ娘だったわね」


 となれば、バカ娘は守護者がいない事を知っている。


 妖精大樹へはフリーパスで行ける事も知っている。


 目的は妖精大樹?


 でもなぜ?


 次々と廻る思考。

 いくら考えたとしてもバカ娘の狙いなどわからないのだが、女性には嫌な予感だけはしていた。いや、むしろ嫌な予感しかしていない。確実に、また問題を引き起こすのだろうと確信している。


「ったく、あのバカ娘は・・・『一日おやつ三回保障』とか意味不明なスローガンを掲げて、クーデターもどきの騒ぎを起こすなんて思わなかったわ。予想外過ぎるわよ」


 バカ娘と一緒になってバカ騒ぎを起こした子達は全員保護している。現在は、鎮圧に駆り出された兵士達の下で厳しいお仕置きでもされているだろう。


「・・・私、どこで教育を間違ったんだろう」


 そう呟いて、無駄に行動力だけが育ったバカ娘の顔を思い浮かべ、女性は再び眉間の皺とこめかみを揉み解す。そして、本日何度目になるかわからない溜息が吐いた。








新ヒロイン?

気付いた方もいらっしゃると思いますが、彼女は重度な病気を患っています。


当初は前半部だけで、三章への大きなフリでした。しかし、三話以上先へのフリとか長過ぎると思い変更。少しだけネタばらし。


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