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その男、神になる  作者: ヒデス


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1/5

【堕天】

その日...



一人の天使が、天界から追放された。



折れた六枚の銀翼が、千切れそうなほど激しく風にあおられ、傷だらけの身体からは血が滲んでいた。


その巨躯が落ちていく中、彼は燃えるような眼差しで天を睨みつけた。



「このまま終わってなるものか……!」



名を、ルシファーという。



彼は、天使として最高位の座を与えられ、神々からも深く尊敬される存在だった。



美しく、賢く、比類なき力を持つ。まさに完全無欠ともいえる天使だった。


そんな彼が、なぜ天界から追放されることになったのか。



理由は、ただ一つ。



それは、あまりにも高くそびえ立った「誇り」だった。


ルシファーは、自らが完璧な存在であることを疑わなかった。



そしていつしか...




自分こそが、神の座にふさわしい存在だと信じるようになっていった。


天使の身でありながら、神の座を望む。その野心に、神々は密かに恐れを抱いた。



この者は、いずれ自分たちの座を脅かす。


その懸念が確信へと変わったとき、ついに神々は決断した。



「ルシファーを追放せよ!」



天界の光から弾き出されたその瞬間、ルシファーの胸に生まれたのは、絶望ではなかった。


神々に対する、決して消えることのない復讐の炎だった。


その憎しみは、神々だけにとどまらなかった。



彼と永きにわたり競い合い、互いを高め合ってきた大天使「ミカエル」



かつての好敵手もまた、ルシファーの復讐の標的となった。



「神も……ミカエルも……誰一人として逃しはしない」


「真に超えるべきは神ではない――このルシファーこそが、“理り”の頂に立つ者だということを!」



落ちゆく意識の奥底で、彼は最後の力を振り絞り、天に向かって高らかに叫んだ。


千切れた羽根が、銀色の輝きを放ちながら宙を舞う。



かつて天使として最高位の座にあった者は、深い闇の底へと落ちていった。

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