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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
八章 Return 11月

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98/137

第98話 りんごとさくらんぼ

家に帰ると母が慌てた様子で玄関に駆けてきた。

「あっくん!丁度良かったわ。

 お母さんたらトマトを買い忘れたの。

 悪いけど今から『〇ミヤ』に

 お使いに行ってくれないかしら?

 好きなお菓子があれば

 一緒に買ってもいいわよ」

「別にお菓子はいらないけど、

 いいよ。

 行ってくるよ」

俺は1000円札をポケットに入れると

自転車に跨った。


スーパー『〇ミヤ』は

家から自転車で3分のところにある。

店に入ると、

いきなり一面の赤が目に飛び込んできた。

それは山積みに陳列された

様々な赤い果物だった。

いちご。りんご。さくらんぼ。

珍しい物ではイチジク、柘榴もあった。

俺はりんごの山の中から「フジ」

と書かれたPOPの下の1つを手に取った。

その直後、

「あかね」と書かれたPOPを見つけた。

俺は少しの間逡巡してから「フジ」を戻して

「あかね」を籠に入れた。

それから野菜コーナーでトマトを選んだ。

俺はトマトとりんごの入った籠を持って

レジに並んだ。

店を出る時、

赤い果物で埋め尽くされたゴンドラの前で

俺はふたたび足を止めた。

りんごの隣に陳列されたさくらんぼの中に

「さおり」と書かれたPOPを見つけたからだ。

一瞬迷ったが、

俺はそのまま店を出た。

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