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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
六章 Reality 9月

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第76話 この時代

学校ではプールの授業が終わり、

運動会の練習が始まった。

20年後であれば

春に開催される運動会も珍しくはない。

しかしこの時代、

運動会といえば秋に行われるのが一般的だった。

運動会の練習は学年ごとの合同練習で、

6年生はボス猿がその指導をした。

ボス猿の指導は

まるで軍隊であるかのように厳しかった。

少しでも私語をしようものなら

怒号が飛んできた。


ある日の組体操の練習中、

6年2組のお調子者の男児が

ちょっとした悪ふざけをした。

ボス猿はそれを見逃さず、

すぐさまその子の所へ飛んでいくと

容赦のないビンタを食らわせた。

当然ボス猿の指導に対しては

多くの生徒が不満をもっていた。

しかし。

この時代このような指導は

ごく当たり前のことだった。

教育という名の下で行われる体罰は

学校という閉鎖社会では当然のように

正当化されていた。

この時代、

運動中の水分補給などももっての外だった。


努力。忍耐。根性。


これらの言葉が無心に崇拝されていたし、

誰もがそれを当然のことと考えていた。

これから20年で社会は大きく変わる。

この時代に当然とされていたことが、

ことごとく否定されていく。

我が物顔で喫煙している人間が、

20年後には片隅に追いやられるなんて

本人たちには想像すらできないだろう。

マスコミの先導による

プロ野球人気も陰りを見せてくる。

CD販売で巨万の富を築いていたミュージシャンは

インターネットの発達とともに

その稼ぎを失っていく。

葉山の死も20年後であれば

もっと詳しい捜査がなされていたかもしれない。

それに。

たとえマスコミや警察がスルーしても

個人で情報を発信することができる。

声を上げる人間が1人でもいれば

それは大きな波を起こすきっかけになる。

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