第70話 太陽が眩しい
「おーい、こっちだよ洋!」
「待てよー、翔太ー!」
波打ち際で走り回る海パン姿の2人を
俺は砂浜に腰を下ろして眺めていた。
8月25日。
夏休みも残り数日となったこの日、
俺達少年探偵団は朝臣市にある鈴木家の別荘に
1泊2日の予定で遊びに来ていた。
「翔太さんも洋さんも暑いのに元気ね」
隣に座っている茜が
口に手を当てて小さな欠伸をした。
茜は小学生にしては少し派手な
ピンクのビキニの水着を着ていた。
「子供は元気な生き物だからな」
俺の言葉に茜が怪訝な表情を浮かべた。
「いや、一般的な話だよ。
勿論、俺も茜も元気いっぱいだろ」
俺はすぐに言葉を足した。
葉山を救えなかったことが
俺の気持ちを暗くしていたが、
それでも無邪気にはしゃぐ
翔太や洋を見ていると随分と心が癒された。
「・・そうね。
それより私、一服したいわ」
俺は周りを見回した。
ビーチに人影はなかった。
それもそのはずで、
ここは近隣の別荘の所有者に開かれた
所謂プライベートビーチだった。
さらに夏休みも終盤を迎えて、
別荘地自体に人が少なかった。
「ここなら誰もいないし吸っても大丈夫だな。
でも万が一、
人の姿が見えたらすぐに消すんだぞ」
「うん」
茜がバッグから煙草とライターを取り出した。
「あっくんも吸う?」
「もらおうか」
俺が煙草をくわえると
茜が素早くライターに火を点けた。
その火に煙草を近づける際、
茜のビキニの谷間が視界に入り
俺は慌てて目をそらした。
その外見から奥川や相馬よりも
幼いと思われがちな茜だが、
こうして煙草を燻らせている姿は
2人よりもずっと大人ぽく見えた。
「嫌だ、あっくん。
私の顔に何か付いてる?」
「い、いや、何でもない。
それよりお礼を言わないとな」
俺の言葉に茜は首を傾げた。
「今回のこと、
俺のために3人で計画してくれたんだろ?」
「翔太さんも洋さんも
あっくんのことを心配してたの。
もちろん私もよ」
俺は砂浜に寝転んだ。
太陽が眩しくて目を瞑った。




