↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
三章 Remnant 6月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/137

第43話 「熊谷雑貨店」

翌日の放課後、

俺はふたたびナカマイ先生に呼び出された。

どうやらナカマイ先生は

昨夜のうちに

大吾の家に連絡をしてくれたらしい。

そして善は急げの言葉通り、

これから俺達は大吾の家を訪ねることになった。


大通りから2本中に入った路地に

大吾の家はあった。

「熊谷雑貨店」と書かれた古い看板が

大吾の死を悲しんでいるように見えた。

「熊谷雑貨店」は

大吾が「少年X襲撃事件」を起こした年に

店を閉める。

そして一家は大吾が刺殺された翌年に

この町を出る。

どちらにせよ

この手のお店はあと5年もすれば

コンビニエンスストアにその地位を奪われる。


ナカマイ先生が

「ごめんください」

と言いながら戸を引いた。

奥から現れた大吾の母親は

この店のように疲れて見えた。


俺とナカマイ先生は畳の部屋に通された。

仏壇に飾られた大吾の写真が、

俺を責めているような気がして

俺はそれを直視することができなかった。

それから俺は大吾の部屋へ案内された。

「あの子が死んでから

 まだ部屋はそのままにしてあるのよ。

 あたしはわからないから

 勝手に探してちょうだいね」

そう言って大吾の母親は部屋を出ていった。

1人になった俺は部屋を見回した。

畳の部屋には

勉強机が2つと2段ベッド、

そして本棚があった。

大吾は妹と2人でこの部屋を使っていたようだ。

のんびりと探している時間はなかった。

俺はまず大吾の勉強机から調べた。

机の引き出しを順番に開けていったが、

どこにも目的の物はなかった。

よく考えたらデジカメやスマホと違い、

この時代のビデオカメラのような大きな物が

机の小さな引き出しに入るわけがないのだ。

俺はもう一度ぐるりと部屋を見回した。

しかし目に見える範囲にも

それらしき物は見当たらなかった。

押入れの中を調べたがそこにもなかった。


俺は三度、部屋を見回した。

あと探していないのは本棚くらいだが、

ここから見ただけで

そこには無いことはわかった。

そもそもビデオカメラが

目に付くところにあったら妹が気付くはずだ。

そしてそれは両親の知ることになる。

なぜビデオカメラのような高価な物が

この家にあるのか大吾には説明ができない。

借りていると言えば

返してこいと言われるだろう。

きっと大吾は発見され難い場所に

隠したに違いない。

俺は改めて部屋を見回した。

その時。

俺の目が捉えたのは2段ベッドだった。

ベッドの下の床との間の空間だ。

俺はしゃがみ込んで中を覗いた。

奥の方に何かがあるのがわかった。

右手を伸ばすと指先がそれに軽く触れた。

俺は腹這いになって手を伸ばした。

今度はしっかりと

その物体に触れることができた。

取っ手のようなモノに手がかかり、

俺はそれを引っ張り出した。


それはアルミ製のアタッシュケースだった。

目的の物はこの中に入っていると

俺の勘が告げていた。

ただ、

アタッシュケースは

その大きさに比べて軽かった。

揺すってみても中で物が動く気配がなかった。

それにビデオカメラとテープを隠すために

わざわざこんな大きな物を

用意する必要があるのかも疑問だった。

中を確認しようにも

アタッシュケースには鍵が掛かっていた。

そして当然だが鍵は見当たらなかった。

大吾の机からも鍵は見つからなかった。

あまり時間をかけるわけにもいかないし、

俺はこのままアタッシュケースごと

持ち帰って鍵を壊すしかないと判断した。

もし中身が違っていたら後日返せばいい。

そしてその時にもう一度探せばいい。


大吾の家を出る時、

大吾の母親は

「あの部屋にそんな物があったかねぇ」

と首を傾げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。