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【書籍化】ジジババ勇者パーティー最後の旅  作者: 福郎
第二章

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プロローグ あやふやな夢

 夢の中でも夢だと分かる。


『逃げろおおおおおお!』


『ぎゃあああああああああ!?』


 文字通り寒く貧しかったはずの寒村が炎で暖かくなっている。


 麦畑が燃えるだけならいい。


 巨大なカマキリの群れから叫び逃げ惑う隣人。圧し潰される老人。食われる青年。明らかに出血死している婦人。散り散りになる家族。


 大魔神王にしてみれば取るに足らないどころか、把握すらしていなかったらしい小さな部隊が踏み潰した、小さな小さな村。


 そこから必死に逃げるしかなかった若い手足が動く。


 そして誓った。


 あの赤い空を正しき形に、青空に戻してみせる。と。


『青空だって? 馬鹿なのか?』


『できるわけがない……』


『もう死ぬしかないんだ……』


『頭がおかしいのか?』


『そんな粗末な剣と盾で? ははっ』


 うるさいぞ大人達。俺はやると言ったらやるんだ。


 暗黒の世がどうした。滅びの定めがどうした。死すべき運命がどうした。


 なら暗黒の世をぶちのめせ。滅びの定めをはっ倒せ。死すべき運命をぶん殴れ。


『ひっく。おーいその酒瓶取ってくれ』


 なんだこいつ。酒臭すぎるぞ。ははあ、さてはヤバい奴だな。


『あんたらが最近有名になってるシャイニングスターかい? 話を聞かせてほしいんだがね』


 なんだこいつ。田舎のガキがどう見ても魔法使いの話を理解できると思うなよ。


『素晴らしい筋肉だな。名を聞かせてくれ』


 なんだこいつ。腰に布巻いてるだけとか完全に変人だろ。


『仲間に入れてくれないか?』


 なんだこいつ。本当に人間か? なんかドラゴンとかそういうのが混じってねえか?


『人の世は存続させねばならんのだ。協力しよう』


 なんだこいつ。本当に人間か? ぜってえなんか隠してるだろ。


『共に大魔神王を打倒しましょう』


 なんだこいつ。目線は合ってるのに俺のこと見てねえだろ。それどころか自分も見ちゃいねえ。聖女ってのは皆こうなのか?


『神の傀儡ごときが!』


『人が星を食いつぶす前に消し去るのみ! 星の力を見よ!』


『GAAAAAAAAAAAAAAA!』


『審判はとっくに終わっている!』


『モンクは最早過去の遺物なり』


『運命操作術式展開』


 大馬鹿の周りにいた奴らの声か。


 どいつもこいつも化け物共め。いったい何度死ぬと思ったか。


『傀儡かと思ったが人としてか! はははははは!』


『ああ……星よ……』


『GA……a……』


『なぜだ!? 審判の天秤は確かに!?』


『こんな拳が……』


『これが……私の運命だと?』


 概念やら理がどうこうで無敵とか通じないなんざ言うんじゃねえ。頭が痛くなるだろうが。冗談抜きによく俺も生き残ったものだ。


 そして……。


『さあケリを付けようじゃねえか!』


 うるせえ怒鳴るな大馬鹿野郎。


『フェアドおおおおおおおおお!』


 だからうるせえつってんだろうがああああ!

ちょい短かったですが二章の導入としてお許しください。次回からまた現代のジジババです。

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― 新着の感想 ―
[一言] つまり変人しか居ないと言うことですね(本人含めて)
[気になる点] これが噂の走馬灯… ってまだ見ちゃだめなヤツでは!? [一言] 再開お待ちしておりました。
[一言] ワンカットワンカット切り取ればシリアスなんだよなぁ(遠い目)
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