【番外編】パンドラの箱
『そして物語は始まる。』番外編 サイド:レフィーの友人A
(ネタバレ注意。本編読了後お読み下さい。)
***『パンドラの箱』***
その日は、快晴だった。
休暇中の友人Aは、青空が大好きだった友人を思い出し、あいつ、元気にしてるかな? などと思いつつ、家の掃除をしていた。
足元でちょこまかしている子供達を、外で遊んでなさい! と追い出すと、ちょうど郵便屋が来たところであった。
「Aさん。郵便です。」
やけに大きな箱が届き、友人Aは首をかしげた。
んん? 誰だろう?
送り主を見て、友人Aは目をみはった。
慌てて、箱を開けると、一回り小さい箱と、手紙が入っていた。
「
ごめんなさい。結婚します。幸せです。
他の人への結婚式の招待状を同封します。よろしくお願いします。
親愛なる友人Aへ 愛を込めて レフィー
」
箱を開けてみれば、確かに、中には、ぎっしり招待状がつまっている。
律儀な彼女のことだ、この招待状一つ一つに、それぞれへのメッセージが書いてあるに違いない。
一体、何日かかったのだろう。
実家に子供達を預ける算段をつけながら、友人Aは決意した。
とりあえず、会ったら文句言ってやる。
「ごめんは余計だ」
元気にしてたんだったら、それでいいのだ。・・・幸せなんだったら、それでいい。あいつは、あの方の分も、幸せにならなかったら、それこそ、許さない。
なんやかんや言いつつ、笑顔であった友人Aは、自分の招待状を開いて、目を剥くことになる。
『ごめんなさい』ですむ問題か! むりっ! うわぁ、どうすんだよ。
暴走しそうな上司Xとか同僚Yとかを考え、レフィーの友人であり、元部下である友人Aは、これから起きるであろう騒動を考えて、頭を抱え込んだ。
それは、よく晴れ渡った日のことであった。横暴な上司に振り回され、滅多に家に帰らなかっため、妻に実家に帰られ、子育てと家事に翻弄されている友人Aのもとに、さらなる心労のもとが詰まった、その箱が届いたのは。
結婚式の二次会で、我が道を行く上司についていく大変さを語りあう友人Aとシオンの姿がみられたという。