前へ目次 次へ 5/13 第5話:なんでもない(1) 「ねえ、くう」 「なに? ぽこ」 「ふふふ。……なんでもない」 二人は、巨大な「いねむり竜」のしっぽの上に座っていました。 竜がひといき吐くたびに、まわりのお花が青白く燃えます。 「なんでもない、ってなあに」 「あのね、くうのお耳が、一回だけぴこって動いたから」 「ふふふ。なあんだ」 竜が寝返りをうって、二人は空高く放りだされました。 地面にぶつかるまでの短いあいだ、二人は手をつないで、雲が綿菓子みたいだねと笑いあいました。