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第3話:お支払いの門
「この門、通るには『お供え』がいるんだって」
天空に浮かぶ「真白の門」の前に、水晶の石碑が立っていました。
『汝の心にある、一番美しい風景を、扉の鍵として捧げよ』
「一番美しい風景……。あったかなぁ、くう」
「えーっとね。……あ、ほら、さっきの『お歌のキノコ』はどうかなぁ。キラキラしてて、とっても素敵だったよ」
ぽこは迷わず、石碑におでこをぴたっと当てました。
「うん、それをお供えしちゃおう」
「……ねえ、ぽこ。いいの? あんなに『しあわせ』だったのに、忘れちゃうんだよ?」
くうが少しだけ不安そうに、ぽこのマフラーの端を握りました。
「いいんだよ、くう。だって、門が『開きたいよぉ』って言ってるもん。それに、空っぽになったら、また新しい『きれい』を拾えるでしょ?」
ぽこの胸の奥から、キノコを食べて消えていった数分前の多幸感が、まばゆい雫となって吸い込まれていきました。
門が開き、二人はスキップで通り抜けます。
「ねえ、くう。さっきまで何を話してたんだっけ」
「えーっとね。……わかんない! でも、なんだか体が軽くなって、最高な気分だよっ」




